ギタリストのCharの古希 (70歳) を祝う「Purple Phase Jam」が7月4日(金)に日本武道館で開催され、20組を超えるミュージシャンが2時間40分を超える競演を繰り広げ、集まった9000人のオーディエンスを沸かせた。
<一夜限りの「ポテキ」開店〜Smoky Medicine Jam>
ステージ下手には「POTATO KID」の看板があり、バー・カウンターやラウンジ・スペースが設けられた。関西のミュージシャンが毎夜集い、東京のミュージシャンも関西でライブがあれば必ず立ち寄るという大阪梅田の老舗ライブ・バー「POTATO KID=通称ポテキ」が、一夜限りで武道館に開店。マスターも大阪から駆けつけた。開演が近づくと「ポテキ」に、この日出演するミュージシャンたちが集まりだし、オーディエンスと共に開演を待つ。客電が落ちると、Charを始めミュージシャンがステージに登場。Charが18歳の頃(1973)に参加したバンド、Smoky Medicineのオリジナル・メンバー(亡くなったドラマー藤井章司に替わって古田たかしが参加)が再結集。1曲目は「SHOW WHAT YOU’VE GOT INSIDE OF YOU」。Charの5枚目のアルバム「Moon Child(1982)」に収められた曲だが、当時Smoky Medicineのメンバーで録音。この日の1曲目にふさわしいナンバーで遂に「Purple Phase Jam」が幕を開けた。2曲目の「TOKYO NIGHT」中盤に、演奏者がSmoky MedicineからChar Bandに鮮やかに入れ替わり、ステージはChar Bandのサポートでファースト・アルバム収録の「空模様のかげんが悪くなる前に」、サード・アルバム曲と懐かしいナンバー2曲を、古希とは思えないほど、伸びやかで艶やかなボーカルを披露する。
<1対1の真剣ギター・バトル>
ここからはギタリスト同士が対峙するコーナー。シングル「ブルー・クリスマス(1978)」のB面、「THE LEADING OF THE LEAVENG」という初期の人気曲にははたけ (しゃらんQ ) 。春畑道哉(TUBE)はCharがゲスト参加したTUBEの「I FEEL FREE (2022)」を演奏。一方がリードを弾くと、もう一方はカッティングを交互に繰り返しながら、ツインソロになだれ込むという、ふたりのギタリストのバトルをみせつけた。
<ポテキ・ステージでアコギ・セッション>
ステージはメインから、サブの「ポテキ」会場に移る。アコースティック・ギターを抱えた奥田民生、西慎嗣、佐藤タイジの3人をCharが『千鳥ヶ淵短期大学軽音楽の皆さん(笑)です!」と紹介し『清志郎と書いた曲です、聴いて下さい!』と演奏したのは「かくれんぼ」。忌野とJ.L.Cで1986年にリリースしたシングル「S,F.」の(又もや)B面曲だ。奥田とCharが美しいハーモニーを聴かせる。続く曲はJ.L.Cのファースト・アルバム(1979)に収められた「籠の⿃」。ここでは冒頭から4人がハーモニーを聴かせ、カレッジ・フォークを彷彿させるどこか懐かしいナンバーだ。
<時空を超えて再結集!ジョニー、ルイス&Char/ピンククラウド・ジャム>
爽やかなアコースティック・セッションから一転、メイン・ステージから金子ノブアキ(Dr)、KenKen(B)の重量級のリズムが鳴り響く。すさまじいまでの轟音だ。ここにCharが加わりJLC(Johnny, Louis & Char)/Pink Cloud Jamが始まった。JLCはジョニー吉長とルイズルイス加部とCharで1978年に結成した3ピースバンドだ(1982年よりバンド名はピンククラウドに)。ジョニー吉長の息子でもある金子ノブアキとKenKenとCharで超弩級のファンクサウンドを爆音で紡ぎ出す。KenKenは『ふたりは、長いツアーに出かけたけど』と亡くなったジョニー吉長とルイズルイス加部を偲び『でも、今日はみんなに会えて良かった!まーちゃん(ルイズルイス加部)のお嬢さんが来てくれました!』と加部の実娘2人を呼び出し、さらに母の金子マリも参加。奇しくも、時空を超えてJLCが再結成となり、Pink Cloudの1stアルバム収録の「WOULD YOU LIKE IT」を5人で演奏。まさかの再結成に涙ぐんで見守るファンもいたほど。そしてKenKenから『加部家、金子家と揃ったが、まだ竹中家が足りないんじゃない?』と呼び出したのはCharの息子、Jesse。1997年の新宿ロフト20周年記念公演がここ武道館で行われた際、まだデビュー前のJesseと金子と共演。演奏曲はそのときJesseが書いた「ONE MORE TIME」。『15歳のときに作った曲だぜ!70周年を祝いに来たぜ!』と、RIZEとJLC/Pink Cloudが時空と世代を超えたコラボレーションが実現。客席を大いに沸かせ、Jesse&Char親子は肩を組み合いながらステージを降りた。
<豪華ギタリスト競演!Purple Phase Jam>
ステージには野村義男、Rei、山内総一郎(ex.フジファブリック)のギタリストと、The BONEZのZAXが加わり、PinkCloudの「Uncle Jack(1990)」をジャムセッション。各々のミュージシャンのソロが披露されるスリリングなステージで客席を終始圧倒。12分にも及んだ大セッションにオーディエンスも惜しみなく拍手を送った。
<群馬のChar(?!)登場!>
「ポテキ」バーカウンター前にはCharを先輩!と慕うクリス・ペプラーが登場。『日本が誇る2大巨頭ギタリスト!』と紹介されたのはCharと布袋寅泰。先日、ミュージック・ステーションでふたりが出演した際、機材トラブルがあり生放送中、Charがギターのチューニングをすることに。この時のリベンジをしたいと!演奏したのは、「GUITARHYTHM Ⅷ」に収められたふたりの共演曲「SIDE BY SIDE」。ステージ真ん中にふたりのギタリストが向き合い、緊張感溢れる中、互いの呼吸を計りながら丁々発止のギターをプレイ。その圧巻のパフォーマンスに客席からもやんやの大喝采。ラストはふたりが掲げた右腕で握手。布袋は『Charさんがいる時代に生まれて本当に幸せです。俺は群馬のCharって呼ばれてましたから!』に、『自分でそう言ってるだけじゃないの?』とCharから突っ込まれる一幕も。続いて布袋から『みんなでハッピー・バースデー歌いませんか?』と呼びかけ、9000人のオーディエンスがひとつになってCharの古希をお祝いした。
本編ラストは若手ギタリストの山岸竜之介と並⽊瑠璃が加わり、 Charの代表曲でもある「SMOKY」を熱演し本編を締めた。
<アンコールでは新曲も!>
『今日のために書いた曲です』とCharから紹介されたのは新曲「NOW NOW JUICE」。ゲストにDef Techのふたりを迎え、ローリング・ストーンズの「Sympathy for the devil」やDef Techの「My Way」を挟みながらジャム・セッションのように演奏。この日、初めて披露された曲にもかかわらず、気がつけば最後の美メロ部分をオーディエンスが大合唱するほど盛り上がる。早く音源化して欲しい楽曲だ。ラスト2曲はCharのデビュー・アルバム収録の「SHININ’ YOU, SHININ’ DAY(1976)」に、Johnny, Louis & Charのファースト・アルバム収録の「NATURAL VIBRATION(1979)」と初心に戻った曲を演奏し2時間40分超にも及んだ「Purple Phase Jam」の幕を閉じた。この日の模様はWOWOWで9月に放送が予定されている。
この後、Charは9月20日(土) の群馬・高崎芸術劇場から秋のツアーをスタートさせる。また、使用休止となる直前の9月27日(土)に東京・日比谷野外音楽堂で開催される公演に参加ゲストも発表された。世界中からギタリストが参加する「ギター万博」にはブラジルからマテウス・アサト(Mateus Asato)。米フロリダ出身のブルース・ギタリスト、ジョッシュ・スミス(Josh Smith)、英・Total Guitar誌の「現代のギタリスト10選」で8位に選ばれた日本人ギタリスト、Ichika Nitoの3人の参加が明らかにされた。日比谷野音公演、秋ツアーの詳細は公式サイト参照。
<Char Nippon Budokan Live 2025 – Purple Phase Jam セットリスト>
2025月7月4日(金)18:30開演 日本武道館 ※(初出年度)
☆Smoky Medicine Jam
01.SHOW WHAT YOU’VE GOT INSIDE OF YOU (1982)
02.TOKYO NIGHT (1977)
☆Char Band +佐藤準 (Key)
03.空模様のかげんが悪くなる前に (1976)
04.TOMORROW IS COMING FOR ME (1978)
05.THE LEADING OF THE LEAVENG(1978) with はたけ(シャ乱 Q)
06.I FEEL FREE (2022) with 春畑道哉(TUBE)
☆Acuostic Guitar Jam with 奥田民生、西慎嗣、佐藤タイジ
07.かくれんぼ (1986)
08.籠の⿃(1979)
☆JLC(Johnny, Louis & Char) / Pink Cloud Jam
09.からまわり(1982)
10.WOULD YOU LIKE IT (1982) with 金子マリ、加部姉妹
11.ONE MORE TIME (1997/Jesse) with Jesse
☆Free Jam
12.WHY AREN’T YOU READY(1989) by 猿やBAND(仮)
13.ZIP IT by SHIVALA
☆Purple Phase Jam /Char Band
14.Uncle Jack (1990) with 野村義男、Rei、山内総一郎(ex.フジファブリック)、ZAX(The BONEZ)
15.SIDE BY SIDE (2025) with 布袋寅泰
16.SMOKY (1976) with 山岸竜之介、並⽊瑠璃
Encore
17.NOW NOW JUICE (新曲) with Def Tech
18.SHININ’ YOU, SHININ’ DAY (1976)
19.NATURAL VIBRATION (1979)
参加アーティスト;
☆Char Band:Char (G) /小島良喜(Key) /澤田浩史(B) /Tully Ryan (Dr) /佐橋佳幸(G) /福原みほ (Vo)
☆Smoky Medicine Jam:金子マリ(Vo)、鳴瀬喜博(B)、佐藤準(Key)、古田たかし (Dr)
☆JLC/Pink Cloud Jam:Jesse /金子ノブアキ (Dr) /KenKen(B)
☆Purple Phase Jam:奥田民生 /野村義男 /西慎嗣 /春畑道哉 /はたけ /佐藤タイジ /Rei /山内総一郎 /山岸竜之介
☆Special Guest:布袋寅泰
☆Giests:並⽊瑠璃、ZAX(The BONEZ)、加部姉妹、クリス・ペプラー
PHOTO:土居政則
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