セットチェンジで幕が閉まっている間に、幕前に出てきて準備をしているDJ-INA。スタンバイOKなのになかなかBGMが途切れず「なげーな」と一言漏らした瞬間に音が止まり、STC(木村世治、TAKA、CUTT)の3人とDJ浅井博章がろうそくに火が灯ったバースデーケーキを押してあらわれる。一瞬、びっくりした表情を見せるINAだが、「あ、そーいうことね」とすぐに納得した様子。hideの共同プロデューサーINAのバースデーは12月12日で、hideの1日前なのだ。INAの誕生日を祝ったあと、hideへのバースデーソングをみんなで歌い、DJタイムが始まった。DJブースの中にとどまらず、マイクを持ってステージをあちこち動いて、オーディエンスを巻き込んでいくINA。「FISH SCRATCH FEVER」では「DIEちゃんがこの曲をやりたいっていうのでデータをあげたりしてたんだけど、できなくなっちゃったから応援メッセージを送りたいと思います」とスマホでオーディエンスと一緒にメッセージを撮影。この動画には、緊急入院でイベントに出演できなかったDIEも喜んだことだろう。その後、DJ浅井博章が登場したり、お客さんをステージに上がらせたりと楽しく遊んだあと、「あっという間すぎたので、次はあっちのバー(会場2階のアティック)でDJやってるので遊びに来てください」とひとこと。INAのDJタイムはまだまだ続くのだ。
そして、ステージに登場したのは、このイベントには欠かすことのできない存在であるSTCの一人で、hideとも縁が深いCUTTがヴォーカルを務めるshame。1999年に「hide TRIBUTE SPIRITS」に「LEMONed I Scream」で参加して注目を集めた彼らは、解散と再結成を繰り返しながら今年3年ぶりに再集結し、久しぶりにhide Birthday Partyへの参加となった。骨太なロックサウンドに聞きやすいボーカルが魅力のバンドだが、サービス精神旺盛なCUTTのMCも聞きどころの一つである。「子 ギャル」のバースデーバージョンで会場を盛り上げたあと、「shameの曲でも盛り上がっていきましょう」とオリジナル曲「Doll」の練習をしたり、「LEMONed」の意味をしっかり説明したり、オーディエンスを満足させるためにいろいろ考えて実行しているところはエンターテイナーの鏡である。ラストを思い出の曲「LEMONed i Scream」で締めくくり、演奏が終わって幕が降りてきても、最後の最後まで会場に手を振り続けていた彼らは来年久しぶりのツアーも予定しているという。
幕が開くと、ドラムセットの前にメンバー3人が座っている。木村世治(Vo&Drs/ZEPPET STORE),Chirolyn(Vo&Ba/hide with Spread Beaver)、高野哲(Vo&Gt/ZIGZO)の3人からなる全員ヴォーカリストのスリーピースバンドSillysのhide Birthday Party初参戦。とはいえ、木村世治とChirolynはこのイベント常連組なので、新鮮でありつつ、安心感も共存するという不思議な感覚である。ドラム、ベース、ギターのシンプルな音の上に3人の個性が違うヴォーカルがのり、ソロで歌ったり、ツインヴォーカルになったり、ユニゾンだったり、コーラスだったり、曲によってパートによってメインヴォーカルが変わる。その表情はまるで少年のようにとても生き生きとしていて、自由で楽しいロックンロールの初期衝動を彼ら自身が楽しんでいることが伝わってくる。3人で和気あいあいと「ピンク スパイダー」を演奏したあと、最後にChirolynの「懐かしいの、いっちゃうよ〜!」という声でソロの代表曲「君は変わっちまった」をプレイ。強烈なインパクトを残して、彼らのライブは幕を閉じた。
出演アーティストの最後を飾るのは、DJ浅井博章に「永遠の若手」と紹介されていたdefspiral。幕が上がるとツインドラムが2台セットされており、ベースアンプが2台、ギターアンプが3台とステージ上は機材だらけである。最後のセッションのためのセッティングであるが、defspiralがイベントのバンドトリをつとめ、セッションのキーパートを担当するこのスタイルはずっと変わっていない。彼らはhideのミュージカルやホログラフィックライブでも演奏を担当しており、こういうシーンでは絶大な信頼がおけるバンドであると同時に、この一大イベントのトリを務める貫禄をもっていることにほかならない。ライブの1曲目はヘヴィな「Nyx Dance Hall」。音源リリースとツアーをコンスタントに行なっている彼らだけに、音のまとまり感が実に気持ち良い。hideの楽曲「DOUBT」「限界破裂」はカバー曲と思えないほどdefspiral流に昇華されている。ラストに演奏されたゴージャスな「SPIN THE UNIVERSE」、ドラマティックな「銀河航路」は3ヶ月連続音源リリース企画の第2弾・第3弾として、今年9月・10月にリリースされた楽曲だし、その着実な進化は本当に頼もしい限りである。
すべての出演者のステージが終わったところで、毎年恒例の大セッション大会。PATA(X JAPAN/RA:IN)とJOE(hide with Spread Beaver)が登場し、この日の出演者も全員ステージに呼びこまれる。曲は「CELEBRATION」と「TELL ME」の2曲。毎年恒例ながら、自由に楽しそうにステージ上で演奏している(一部遊んでいる人も?)出演者を見ていると、本当にハッピーな気持ちになれる。もはや年末の風物詩である。演奏が終わって全員での記念撮影の時、Chirolynがいないことが発覚。全員で名前を呼んで、物販スペースにいたChirolynもステージに駆けつけ、無事に集合写真の記念撮影を行うことができた。5月のhide with Spread Beaverワンマンライブの時は車椅子での出演だったPATAもしっかり歩いてギターを弾き、「今年もありがとうございました。松本も喜んでいると思います」と挨拶。JOEも「来年もよろしく!」と満面の笑みでオーディエンスに手を振った。
このBirthday Partyとシンクロするように、前日の12月12日(金)から14日(日)までの3日間、横浜のローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらいにて今年5月に行われたhide with Spread Beaverのワンマンライブ映像「hide with Spread Beaver VRシアター」が上映された。イベント前日の12月12日、映画館のアフターミニトークショーに登壇した松本裕士氏(hide オフィシャルマネジメントオフィス ヘッドワックスオーガナイゼーション 代表取締役)が、2026年の3大ビッグニュースを発表。この日もイベントの締め括りに登場し、自らを「口の軽い男」と笑いながら、あらためて来年の予定を発表した。
・5月2日に、『トリビュートライブ – Hi-Ho! -』を開催
・9月6日に、9年ぶりの復活となるフェス『MIX LEMONeD JELLY』を開催
・その後、hide with Spread Beaver が3年ぶりのワンマンツアーを行う。
2026年もhideファンにとって、楽しいことがたくさんある1年になりそうである。
写真:Miho Nagai (LINKSOLU,Inc.) / Hiroyuki Ueno (LINKSOLU,Inc.)
文:大島暁美
■2026年5月2日
「トリビュートライブ ―Hi-Ho!― 」開催決定!
■2026年9月6日
夏フェス「MIX LEMONeD JELLY」9年ぶりに開催決定!
■2026年
「hide with Spread Beaver ワンマンツアー」3年ぶりに開催決定!
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