「30代の後半からソロになって、『人間・吉井和哉』の旅というか、自分との闘いみたいな雰囲気でソロがスタートして。YOSHII LOVINSONという名前で――吉井和哉と名乗るのが照れ臭かったんでしょうね」。ライブ中盤、ソロのキャリアを噛みしめるようにゆっくりと語った後、アコギを奏でながら歌うのは「BEAUTIFUL」。吉井和哉名義の初シングル曲でもあるこの曲が、ナポリタンズの豊潤なアンサンブルと相俟って、雄大な景色を繰り広げていった。
この日のライブでもひときわ濃密な薫りを放っていたのは、ドラマ主題歌としてもオンエアされていた最新楽曲「甘い吐息を震わせて」。吉井自身のルーツでもある歌謡曲〜昭和R&Bのテイストが惜しみなく注がれた楽曲が、「仙台! 甘い吐息が欲しいです。君たちとのロックンロールに恋していたいです!」と呼びかける吉井のモードと共鳴し合いながら、場内の没入感を刻一刻と高めていく。
ナポリタンズのメンバー紹介中、真壁が沢田研二のツアーでサポートを務めていることに触れた吉井が、舞台袖から白いハットを持ってきたのを合図に、全員一丸となって沢田研二「勝手にしやがれ」のカバーを披露する一幕も。そこからさらに「超絶☆ダイナミック!」「ビルマニア」とアグレッシブな楽曲を畳み掛けると、オーディエンスの熱気と歓喜は天井知らずに高まり、圧巻のクラップとシンガロングが場内に渦巻いていった。
アルバム『The Apples』(2011年)リリースとほぼ同じ時期に発生した東日本大震災が、自分自身にとっても大きな転機になった、とライブ中に繰り返し語っていた吉井。「この曲はいつも、東北のみなさんのことを思ってやっています。改めてここで今夜、本編最後にみなさんにお届けしたいです」と告げて歌い始めたのは、『The Apples』の最後を飾るロックバラード「FLOWER」だった。《自分の血を愛せないと/人は愛せないとわかった》と歌い「自分を愛して!」と呼びかける吉井の姿に、抑え難く胸が震えた。
アンコールでは「FINAL COUNTDOWN」でフロア一面に激しいダンスの輪を描き出した後、「この後、2月からアルバムの制作に入ります。ソロのアルバムです。誕生日(10月8日)までにリリースします! またツアーやります!」と宣誓する吉井に応えて、割れんばかりの大歓声が巻き起こる。















