マーヴィン・ゲイの遺族はファレル・ウィリアムスらによる“Bulurred Lines”がマーヴィン・ゲイの“Got To Give It Up”と酷似していると訴えていた訴訟で、ファレル・ウィリアムスが当時の裁判で偽証していたとして新たに申し立てを起こしている。
この裁判は2015年に、マーヴィン・ゲイの遺族らが”Blurred Lines”をマーヴィン・ゲイの1977年の楽曲“Got To Give It Up”と酷似しているとして訴えたもので、裁判の結果、遺族らはこの楽曲の著作権使用料の半分を与えられ、さらに530万ドル(約5億7000万円)の損害賠償も受け取っている。
「ハリウッド・レポーター」によれば、マーヴィン・ゲイの遺族は今回、ファレル・ウィリアムスが先月『GQ』誌とのインタヴューで語った発言が当時の裁判で彼が偽証していたという証拠になるとして新たに申し立てを行ったという。ファレル・ウィリアムスは当該のインタヴューの中で、特定の音楽を聴いた時に得られる感情を「分解して分析」していると明かした上で、「“Blurred Lines”でそうした時にはトラブルに巻き込まれてしまった」と語っている。
ファレル・ウィリアムスは2015年10月に次のように証言していた。「マーヴィン・ゲイのように感じられる、もしくはそのように聴こえるものを作ろうという意図を持ってスタジオには入っていません」
今回、マーヴィン・ゲイの遺族はリチャード・ブッシュを弁護士に立てて申し立てを行っており、2019年11月になされたインタヴューでのファレル・ウィリアムスの発言について、裁判での詐欺行為と偽証の証拠になると主張している。
マーヴィン・ゲイの遺族は当時の裁判を担当したカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所のジョン・クロンシュタット判事に対し、弁護士の費用としてファレル・ウィリアムスらに350万ドル(約3億8000万円)の支払いを課すことを却下するとした当時の判決の見直しを求めている。一方で、今回の申し立ては新たに刑事告訴を求めるまでには至っていない。
申し立てでは次のように述べられている。「ウィリアムスは陪審員や裁判所に対して彼らが判決を下す上で不適切に影響を与えるための非良心的な謀略の一つとして、意図的に重大な虚偽の陳述をしました」
「この一件において、“Blurred Lines”の制作していた当時のウィリアムスの頭の中に“Got To Give It Up”やマーヴィン・ゲイのことがあったかということ以上に重要なことはありません。事実として、争点の中心となっていたのはウィリアムスと(ロビン・)シックが“Got To Give It Up”を違法に模倣したかどうかについてであり、その模倣が意図的で、彼らが承知の上でやっていたかどうかということが問題で、なおかつ、彼らが『独立した創造物』だと擁護していたことも今回の判決の中心となっていました。そして、その主張こそが彼らに弁護士費用の支払いを課すかどうかについての判決を下す上での中心となっていたのです」
「2019年11月4日に行われたこのインタヴューは以前の宣誓に真っ向から対立したものになっています」
同じ『GQ』誌とのインタヴューの中で、ファレル・ウィリアムスは2015年に行われた当該の裁判でいかに傷ついたかについても語っている。
「とても傷ついたよ。誰からも、何も受け取れなかったんだからね。それに、費用もかなりかさんだんだ」とファレル・ウィリアムスは語っている。
当該のインタヴューでインタヴュアーを務めたプロデューサーのリック・ルービンから“Blurred Lines”は決して“Got To Give It Up”と似ていないと指摘されると、ファレル・ウィリアムスは次のように応じている。「その通りだよ。ただ、フィーリングの部分がね。フィーリングに著作権なんてないのにさ……サルサの曲なんて、全部がほとんど同じなわけでね」