2018年11月にリリースしたアルバム『RUN』以来、1年半ぶりにEP『TBEP』を3月にリリースしたtofubeats。
そのリリースパーティーを7月3日、自身のYouTubeチャンネルからオンライン上で行った。
配信の前半は、東京のスタジオからの生DJプレイ。後半は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業休止しているクラブCIRCUS TOKYOで事前に収録したライブセットで構成され、客演なし、ディレクション、パフォーマンスをtofubeats一人で行った。
ライブセットの事前収録当日、tofubeatsは機材に合わせて、感染症防止のためスタッフを4人に絞っていたにも関わらず、100枚近いマスクと消毒液を現場に持ち込む念の入れ様。
「tofubeatsの名にかけて、絶対にこの現場から感染者を出すまい」という意気をスタッフ全員がマスク越しに感じた。
昨年より東京にベースを移し、海外のファンに「アマゾンの倉庫のようだ」と称賛された東京のスタジオHIHATT Head Office, Tokyoから前半のDJセットがスタート。
自身のメジャー契約以降にリリースした曲を使ったDJでオンライン上での権利対策もバッチリ。ライブセットの前にはちょっとしたトークタイムもあり、リスナーを和ませた。
DJセットの次は本編として事前収録したライブセット。
気持ちの良いハウスビートと軽快なギターのリフの「陰謀論(CONSPIRACY THEORY)」からスタート。今日のセットはほぼEPの曲順通りに進行した。
MVでおなじみの自身のダンスをモーションキャプチャーした3Dのおじさんや恐竜、ロボット、マルチネレコードのヴァーチャルトマドが登場し、孤独のライブセットに華を添える。リリックを表示させたり、エフェクト、MVの収録シーンをカットインさせるなど、近年磨いた動画編集スキルが光る。
ローランドのTR-707の宇宙へようこそと言わんばかりの「MOVE YOUR FEET/AS YOU LIKE」で軽快なマシンの手さばきを見せると、そのままアシッド全開「MOVE IT」へ。おうち時間の暇を潰すため、最近購入したiPadのお絵かきソフトで作った自作アニメーションがオーバーレイをさせる。707乱れ打ちのシーンは前半のハイライト。
暖まってきたところで、すこしテンションを落として「HOT TOUCH」へ。
アンプに繋いだケーブルをタッチして断線していないかどうかを、自分の身体が持つ静電気を利用してチェックする、ホットタッチという技法を用いて制作したこのトラックは、まるでバーチャルYouTuberの心音ASMRを聞かされているような不思議な感覚になる。
「SOMEBODY TORE MY P」でアシッドベースと映像がうねり出すと、ライブも後半戦スタート。日本に生まれアメリカで活躍した画家、国吉康雄の絵画作品『誰かが私のポスターを破った』からインスパイアされたと公言するtofubeats。作品と読んだ評伝から何を感じたのだろう、マシンすすり泣きのメロディがアシッドなビジュアルエフェクトに響き合う。
次曲は様々な事情で惜しくも『TBEP』に収録することができなかったが、見事直接交渉の末、デジタル/アナログリリースにこぎつけたTC Crewの「I Can’t Do It Alone」tofubeatsカバー。2018年の「トーフの日」に公開されたものをダウンロードしていたファンにとってもこのリリースは感慨深いものに。
デザイナーのGraphersRockのプロダクトデザインへの異常とも言えるこだわりが噴出したジャケットデザインも念入りにチェックしたい。12inchアナログはデジタルリリースと同日の8月19日発売。
インタールードをはさみ、kiki vivi lilyをコーラスに迎えた「CLUB」。スマホで撮影された各所でのライブ映像で構成されたMVとリンクするかのような、フィルターのエフェクトや、kiki vivi lilyの映像が重なり合う演出はオンラインリリースパーティーならでは。ボーナストラック「ALONG THE COAST」で最後はお別れ。この日tofubeatsがMCをしたのは定番の「tofubeatsがお届けしました」のみ。いつも通りライブ本番ではUber Eatsの配達員さんよりも言葉数が少なかったが、ビジュアル面で新たな試みも多数盛り込まれたtofubeatsらしいオンラインリリースパーティーになった。
尚、ライブパートはリリースパーティー後もアーカイブされるとのこと。見逃した方は同リンクから是非チェックしてみてほしい。
Text & Live Photo by Jun Yokoyama
tofubeats – TBEP ONLINE RELEASE PARTY
日時:7/3 (金) 20:00-22:00
※ライブ本編がアーカイブ配信中