ピンク・フロイドは1990年にネブワースで開催された公演を収録した『ライヴ・アット・ネブワース』が単独のアルバムとして4月30日にCD、アナログ、デジタルで世界同時リリースされることが決定している。
1990年6月30日にイギリス南部ハートフォードシャーのネブワース・ハウスで開催されたこのコンサートは若者への音楽療法を行うイギリスのチャリティ団体ノードフ・ロビンスが主催し、イギリス音楽界への貢献を称えて与えられる「シルバー・クレフ賞」の受賞者たちが出演したチャリティ・コンサートとなっている。
この年はピンク・フロイドの他、ポール・マッカートニー、ダイアー・ストレイツ、ジェネシス、フィル・コリンズ、マーク・ノップラー、ロバート・プラントとジミー・ペイジ、クリフ・リチャード、エリック・クラプトン、ティアーズ・フォー・フィアーズらが出演している。
約12万人を動員したこのコンサートの収益金はBRITスクール設立のために寄付され、コンサートの模様は当時MTVにより全世界で放映された。当時のネブワース映像作品には“Shine On You Crazy Diamond, Parts 1-5”と“Run Like Hell”が、CDには“Comfortably Numb”と“Run Like Hell”が収録されていた。
ノードフ・ロビンス会長のデヴィッド・マンズはこのイベントについて次のように語っている。「ネブワース・コンサートは、ノードフ・ロビンス、BRITトラスト、そしてBRITスクールというコンセプトに対する音楽業界のコミットメントを決定づけるひとときでした。ピンク・フロイドの素晴らしいパフォーマンスで締めくくられる夢のような1日で、調達された資金はBRITスクールを現実のものとすることができ、ノードフ・ロビンスも業務を大きく拡大することができました。ネブワースは素晴らしい出来事の1つとして歴史に残ることでしょう。音楽業界もこのイベントが達成できたものについて大いに誇るべきです」
ニック・メイスンは次のように振り返っている。「ネブワースには特別な何かがあるんだ。70年代にあそこでプレイしたのは僕たちにとって今でもいい思い出だけど、このショウに対する思いも何ら変わらない。ノース・ロンドンの少年にとってはほとんどホーム・ゲームみたいなものだったけど、1年を優に超えた特大規模のツアーの後で再結集できたのはさらに嬉しいことだったんだ。それから、この時は素晴らしいキャンディ・ダルファーと共演できた機会でもあった。僕はそのかなり前から彼女のファンだったんだ。もっと彼女を活用する機会がなかったのはとにかく勿体なかったね。大切な友人のマイケル・ケイメンにもゲスト出演してもらったんだ。マイケルはそれまでの10年間、ピンク・フロイドに本当に多くの貢献をしてくれた。彼の何らかの演奏が収録できたのは素晴らしいことだ」
この時のラインナップにはデヴィッド・ギルモア、ニック・メイスン、リチャード・ライトのほか、ガイ・プラット(B)、ジョン・キャリン(Key)、ティム・レンウィック(G)、ゲイリー・ウォリス(Per)、バッキング・ヴォーカルにダーガ・マクブルーム、サム・ブラウンと彼女の母ヴィッキー、クレア・トリーが参加しており、サックス奏者のキャンディ・ダルファーとキーボード奏者で作曲家のマイケル・ケイメンがゲスト参加している。
『ライヴ・アット・ネブワース』はデヴィッド・ギルモアとアンディ・ジャクソンによって、オリジナル・マスターテープから新たにリミックスされ、アルバムのアートワークはヒプノシスのオーブリー・“ポー”・パウエルが撮影し、ストーム・スタジオのピーター・カーゾンがデザインを担当している。音源は2019年の『レイター・イヤーズ』ボックスセットに初めて収録されたが、単独アルバムとしてCDとアナログでリリースされるのは今回が初めてとなる。
リリースの詳細は以下の通り。
ピンク・フロイド『ライヴ・アット・ネブワース』
PINK FLOYD/LIVE AT KNEBWORTH 1990
2021年4月30日発売 SICP6382 \2750(税込) ¥2500(税抜)
※24ページ・オリジナル・ブックレット+日本版ブックレット(解説・歌詞・対訳付)
1. Shine On You Crazy Diamond, Parts 1-5 クレイジー・ダイアモンド PARTS 1-5
2. The Great Gig In The Sky 虚空のスキャット
3. Wish You Were Here あなたがここにいてほしい
4. Sorrow 時のない世界
5. Money マネー
6. Comfortably Numb コンフォタブリー・ナム
7. Run Like Hell ラン・ライク・ヘル