モーグ・シンセサイザーの開発者の1人であるハーブ・ドイチが亡くなった。享年90歳だった。
ハーブ・ドイチは友人のロバート・モーグと共にシンセサイザーの開発に取り組み、1960年代に第一号機を制作している。モーグ・ファウンデーションは12月9日にハーブ・ドイチが亡くなったことを発表している。
「モーグの遺産にとってハーブ・ドイチほど重要な人はいません。彼の深いクリエイティヴィティ、好奇心、知性、音楽の最先端を追求する姿勢がロバート・モーグに最初のモーグ・シンセサイザーを設計させ、ハーブ・ドイチの貴重な助言やコラボレーションを生むことになりました」
「プロトタイプが大きなモジュラー・システムへと進化するにつれ、ハーブ・ドイチとロバート・モーグはこの革命的な楽器をプロモーションすることに一緒に取り組みました。ハーブ・ドイチは作曲を手掛け、パフォーマンスを行い、セミナーやホフストラ大学の教室で指導しました。彼はここで50年以上教鞭を執りました」
「長年の教育者、エレクトロニック・ミュージックの先駆者、優れたミュージシャンであるのに加えて、ハーブ・ドイチは会った人物の尊敬を集める並外れた人物でした。彼は深く惜しまれるでしょうが、モーグ・ファウンデーションは彼の遺産をずっと生き続けさせていくことでしょう」
モーグは最初の商業的シンセサイザーと見なされていて、当時の他の楽器よりも小さく安価だった。ハーブ・ドイチはモーグのキーボード・インターフェースを操って、作曲家としての経歴を生かして、モーグのために特化して作曲された最初の作品“Jazz Images – A Worksong and Blues”を書いている。彼はニューヨーク現代美術館とタウン・ホールで行われた初期のコンサートでこの曲を頻繁に演奏していた。
ハーブ・ドイチは2003年のインタヴューでロバート・モーグと仕事をした日々を次のように振り返っている。「控えめだと批判されたけど、本当に別の人物も同じ場所にいて、短期間で似たようなところに辿り着いたと考えているんだ。それこそがテクノロジーの歴史とアートとの必然的な繋がりに収まる方向性だったんだよ」