『リバイバル69 ~伝説のロックフェス~』ピーター・バラカンによるトークイベント開催

今年3回目の上映となる、ブロードキャスター ピーター・バラカンが選ぶ音楽映画フェスティヴァル【Peter Barakan’s Music Film Festival】。
今回は、全31作品がラインナップされ、9月1日~21日まで映画祭を彩る。映画祭初日のラストを飾ったのが、10月6日より日本で公開される『リバイバル 69 ~伝説のロックフェス~』のプレミア上映。映画鑑賞後、ピーター・バラカンが登場しトークショーを行った。

本作は、1963年9月13日にカナダ・トロント州で行われた、チャック・ベリー、ジェリー・リー・ルイスといったロック草創期の巨人から、ジョン・レノン、ドアーズなどのスーパースター、そして当時無名だったアリス・クーパーまでもが顔をそろえ、2万人を優に超える観客を集めた伝説的な音楽フェスティヴァル「トロント・ロックンロール・リバイバル 1969」の舞台裏に迫ったドキュメンタリー。

映画を鑑賞した観客の前に登場したバラカンは「70年代にD・A・ペネベイカー監督が手掛けたジョン・レノンの『スウィート・トロント』という映画があったのですが、僕はそれを見ていないんです」と語ると「トロントでこうしたフェスティヴァルがあったことを覚えている人が多いと思いますが、ただこの映画を観るまでは、舞台裏がこんなにムチャクチャだったことは想像すらできなかった」と笑う。

バラカンの言葉通り、映画の中では、信じられないさまざまな出来事が起こる。一つはチケットがあまりに売れなかったこと。
50年代のロック・レジェンドたちを集めたフェスへの期待が大きかったものの、まったくチケットがさばけず、往年のロックスターだけではなく、その当時人気だったドアーズをフェスに参加してもらうための金策に走る。

バラカンは「『ヴァガボンズ』というバイクギャングからお金を借りるわけですが、なんでバイクギャングのリーダーがあんなにもお金持ちなのか、何か怪しいことをしていたのかもしれませんね」と発言。

ドアーズがフェスに参加することになった要因には、お金もあるが、本フェスの前にマイアミで行われたライブで酔っぱらったヴォーカルのジム・モリソンが、局部をさらけ出し、以降の公演がすべてキャンセルになったことも追い風になったというのだ。

バラカンは「でも実はその後の話で、モリソンは出していないということになった。いかにメディアというものをうのみにしてはいけないということ。僕も時々間違ったことを言うこともある」と自虐的発言をして会場を笑わせると「まあ誤解が独り歩きしてしまうこともあるんですよね」と語っていた。

当時大人気だったドアーズがフェスに参加してもチケットの売り上げは芳しくなく、ついにはジョン・レノンにフェスへの参加を依頼することに。

しかし電話一本で「MCをやってほしい」という信じられない雑さも描かれている。

バラカンは「ミュージシャンとしてではなく、MCでというのが驚きですよね」と笑うと

「キム・ファウリーという人の発想でジョンを呼ぼうということになったのですが、そんな突飛なアイデアがすぐ取り入れられたというところからも、切羽詰まっていることがうかがえますよね」と解説する。

そんなとんでもないオファーを快諾したジョンは、MCではなく、アーティストとして、エリック・クラプトン、アラン・ホワイト、クラウス・フォアマン、オノ・ヨーコと共に「プラスティック・オノ・バンド」としてステージに上がる。

バラカンは「そんな電話でこのメンバーを集めてフェスに参加するんですから、さすがジョン・レノンです」と舌を巻く。

いまから54年前に起きた、にわかに信じられないフェスの裏側が堪能できる本作。

バラカンは「同年開催されたウッドストックは翌年に映画が公開され普通に開催されていたと思っていましたが、随分あとになってめちゃくちゃだった話がたくさん伝わってきました。ある意味で、あの時代、コンサートプロモーションというのは誕生したばかりで、まったく成熟していなかった」と回顧する。

そんなバタバタのなか「チャック・ベリーやジェリー・リー・ルイス、ボー・ディドリーらを集めたのは凄い」と評価すると

「これらの偉大なロックンロールのスターたちをこの映画で初めて知る人もいるかもしれませんが、ぜひ興味を持っていただけたら嬉しいですね」と語っていた。

近年公開され大反響を巻き起こした作品やなかなか上映機会の無い作品など、多彩な驚きや魅力に触れることのできる、

音楽ファンも映画ファンも必見のラインナップになっている【Peter Barakan’s Music Film Festival】は9月21日(木)まで角川シネマ有楽町にて上映中。

Peter Barakanʼs Music Film Festival 2023

日時: 2023 年 9 月 1 日(金)―9 月 21 日(木)

会場: 角川シネマ有楽町(ビックカメラ有楽町 8 階)

主催: マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム、VALERIA

配給: コピアポア・フィルム 宣伝: VALERIA 協力: ディスクユニオン

公式 HP: http://pbmff.jp 公式 Twitter:@barakansmff

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