Pearl Jam、LAで行われたニュー・アルバム『ダーク・マター』試聴パーティのレポートが到着

Pearl Jam

パール・ジャムの4年ぶりのニュー・アルバム『ダーク・マター』が4月19日にリリースされる。
バンドはグラミー賞授賞式の週にLAの歴史あるライヴハウス「トルバドール」でアルバム試聴会を開催。LA在住の音楽ライター、鈴木美穂氏によるレポートが到着した。

グラミー賞授賞式前で全米と海外のアーティストやメディアがロサンゼルスに集まってくる週の1月31日、パール・ジャムが歴史的なライヴハウス、トルバドールでニュー・アルバム『ダーク・マター』(4月19日発売)の試聴パーティを行った。トム・ウェイツやエルトン・ジョンといったレジェンド達がかつてステージに立っていた会場で、パール・ジャムはデビュー・アルバム『ten』を発表した1991年の10月に、初ライヴを行っている。

2020年の前作『ギガトン』の試聴会もロサンゼルスで行われ、その時はエディ・ヴェダー(vo)が一人でフロアにいるほぼ全てのゲストにシャンペンを注いで回る姿に驚かされたのだが、この会場でも午後1時にもかかわらずビールやテキーラが振る舞われ、ホームパーティのような雰囲気だった。メディアと業界関係者の他、レッド・ホット・チリ・ペッパーズを脱退後に彼らのツアー・メンバーになったジョシュ・クリングホッファーと、チャド・スミスの姿も見られ、エディの娘、オリヴィアはステージの前列で見守っていた。

拍手喝采に迎えられて、ジェフ・アメン(b)、マイク・マクレディ(ds)、プロデューサーのアンドリュー・ワットと共にステージに登場したエディは「ここに来てくれてありがとう。この新作はまだそんなに多くの人には聴かせていないんだ、誰かに聴かせる度に、回復に2日かかるんでね」と場を和ませる挨拶をした後、新作の制作は、プロサーファーのケリー・スレーターがカリフォルニア州の湖に作った人工波を思い出させるものだったと語った。海から遠く離れた場所で人の手で完璧な波を起こせる様子が、彼らの作曲プロセスに似ていると感じたと言う。それから彼は、2021年にエディのソロ・アルバム『アースリング』のプロデュースも手がけたアンドリューを「俺達の友人」と紹介し、「彼は俺達に馬のくつわを嵌めたり、鞭を打ったりせずに俺達を走らせてくれた」と賞賛した後、「新作はバンド史上、最高のドラム・アルバムだ」と、マット・キャメロンのパフォーマンスも褒め、「俺達は今でも、何か意味のある作品を出したいという気持ちでやっていて、これが俺達の最高の作品であることを願っている。本当に、これは俺達の最高傑作だと思う」と、締めくくった。

ジェフは、アンドリューの大興奮が彼らに伝わってスタジオの雰囲気がセッティングされたため、アンドリューが彼らに最も影響を与えた「力」だったと語った。パール・ジャムの大ファンであるアンドリューは、彼らの作曲方法だけでなく各メンバーの演奏まで詳しく記憶していて、「あの時の、あのプレイをやって下さい!」と彼が覚えていないことまで指摘したと言う。ジェフは「バンドとしての俺達を、最高に誇りに思う」と、感慨深げだった。そしてマットもまた「俺がより良いドラマーになるように後押ししてくれた」と、複数のグラミー賞受賞歴を持つアンドリューの功績に触れて、1987年に彼の最初のバンド、Shadowとして初めてトルバドールでショウをやった思い出を振り返り、「演奏中にアンプが飛んだんだ。でも今は、ここにいる! もう大丈夫だ!」と、招待客を笑わせた。

試聴が始まると、エディとアンドリューはステージの最前列に降りてきて、ゲスト以上に大興奮しながらアルバムを聴いていた。実際、『ダーク・マター』は、体を動かさずにはいられないほど激しい作品だ。驚異的にアグレッシブなドラムとリフが響き渡る、高速のハードな大興奮させられる曲。脳天に響くドラムと並んでベースもヘヴィで、ギター・ソロが鮮やかに切り込む曲もあり、圧倒的にパワフルなヴォーカルを含めてそれぞれの音に宿る熱量が物凄く、バンド全体のエネルギーが最高にリフレッシュされているのを感じた。エディの歌声が心に染み入るバラード曲もあり、アルバムとして完璧な構成になっていた。

『ダーク・マター』の制作は、約1年前にマリブにあるリック・ルービンのシャングリラ・スタジオで行われたため、エディは「リックにも感謝している」と、最後の挨拶で加えていた。収録曲の歌詞は、2月13日に発表された先行シングルの「ダーク・マター」以外公開されていないが、アルバム・タイトルからも伺えるように、暗闇の中に確かな希望の光が見えるようなパール・ジャムらしい内容だ。30年以上も創作とツアーを続け、文字通り苦楽を共にしてきた今の彼らだからこそ作れた、パール・ジャムの代表作が生まれたと思う。

文:鈴木美穂

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