レディオヘッドのトム・ヨークはアルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』を題材とした舞台『ハムレット:ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』について語っている。
レディオヘッドが2003年に発表にしたアルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』をベースとしたこの舞台はトニー賞とローレンス・オリヴィエ賞を受賞している演出家のスティーヴン・ホゲットとクリスティン・ジョーンズがシェイクスピアの名作『ハムレット』を現代化したものとなっている。
初日を前にしてトム・ヨークは『オブザーヴァー』紙で今回のコラボレーションについて語っており、アルバムのテーマと『ハムレット』の類似性を認めつつも「アルバムを作った時は『ハムレット』は念頭になかった」と語っている。
「シンクロニシティといったことを認めているわけじゃないんだ」とトム・ヨークは語っている。「『オズの魔法使い』とピンク・フロイドの『狂気』なんかもそうだけど、映画の音量を下げて、別のサウンドトラックをかけてみると、違ったものが現れるなんてことがあるけど、自分の最初の反応としては『ハムレット』だからね。孤高の作品であり、触れることはできない、というものだった。無理だよね。でも、その考えが離れることはなかった。頭に種が植え付けられたんだ」
トム・ヨークは20人のミュージシャンと俳優のために『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』を「自ら作り直して」オーケストレーションするということで、各公演で音楽は生演奏される。このプロジェクトは「演劇、音楽、動きを融合させた熱狂的な新しいライヴ体験」と評されている。
クリスティン・ジョーンズは20年近く前にアルバムが劇中の台詞の一部と呼応しているように見えることに気づいたとのことで、どちらも「問いから始まる」と述べている。トム・ヨークは二つの作品を結びつけることは「神聖なこと」だと考えていたが、「やり残したことがある」と思っていたので『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』を振り返ることができてよかったと語っている。
「説明できないんだけど、すべてがつまらなくなってしまったんだ」とトム・ヨークは語っている。「完成させるのも、ミックスするのも本当に大変だったし、全然楽しくなかった。だから、今回のプロジェクトは特に自分にとっては健全なプロセスだった。でも、他のメンバーにとっても元々の感情というものを取り戻すことになったんじゃないかな。全体として『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』の一つのアイディアよりもオープンなものになったからね」
舞台は2025年4月27日にマンチェスターのアヴィヴァ・スタジオで世界初上演されており、5月18日まで上演された後、ロンドンのストラトフォードにあるロイヤル・シェイクスピア・シアターで6月4日から6月28日まで上演される。
先日、レディオヘッドは新たな法人を設立しており、2025年に大きな活動がある可能性を示唆することとなっている。
現地時間3月10日、レディオヘッドはRHEUK25という名前のLLP法人を設立しており、これまでも新作やツアー、リイシューの際にはこのようにLLP法人が設立されてきた。
LLP法人によってレディオヘッドはレコード会社や外部企業の枠組に依存することなく、独立してビジネスを運営することが可能になる。この法人の設立が何を意味するかについては現時点でバンド側からは明かされていない。
2016年5月にリリースされた最新作『ア・ムーン・シェイプト・プール』の際にもレディオヘッドはドーン・コーラスLLPという法人を設立している。さらに近年では2021年に『キッドAムニージア』を再発する半年前にスピン・ウィズ・ア・グリンLLPが設立されている。また、ザ・スマイルのデビュー・アルバムがリリースされた2022年にもセルフ・ヘルプ・テープスLLPが設立されている。
レディオヘッドの5人のメンバー、トム・ヨーク、ジョニー・グリーンウッド、コリン・グリーンウッド、エド・オブライエン、フィル・セルウェイはRHEUK25 LLPの役員に名を連ねている。
トム・ヨークはマーク・プリチャードとのコラボレーションによるアルバム『トール・テイルズ』が5月9日にワープよりリリースされることが決定している。