6月27日(木)、ヒューリックホール東京にて、清春が〈東京・ 大阪ホール公演『Covers』〉の初日を艶やかに彩った。 デビュー25周年の第一弾リリースにして初のカバーアルバム『 Covers』に伴う本公演。 本来はアルバムのリリース直後にこの日を迎えるはずだったのだが 、制作進行の遅延により発売延期となり、 オーディエンスにとっては、奇しくも『Covers』 の全貌にいち早く触れることのできる機会となったわけである。 全12曲の収録予定曲のラインナップは事前に明かされているもの の、久々のホール公演で清春がどんなライヴを披露するのか、 観衆は胸が高鳴るばかりだった。
この夜の清春の歌唱を支えたのは、中村佳嗣(G)、大橋英之( G)、YUTARO(B)、FUYU(Dr) という名うての面々。 これから各地での公演に足を運ぶ読者のためにも、 ライヴの具体的なセットリストには触れずにおくが、「傘がない」 (オリジナル:井上陽水)で幕を開けたライヴは、 どの場面を切り取っても、 清春の息吹を間近で感じることのできるようなアレンジの妙が光っ ていた。
たとえば、「悲しみジョニー」(オリジナル:UA) のスモーキーな妖艶さには骨抜きにされたし、「 やさしいキスをして」(オリジナル:DREAMS COME TRUE) の包み込むような美しさにはいつまでも浸っていたいほどだった。 こうしたカバー曲に加えて、優しく繊細な「三日月」や「 俺もやるようになったでしょ?」 と観客に微笑みながら自画自賛した「ゲルニカ」など、 清春の歴史を彩ってきたオリジナル曲の数々も強く記憶に刻み込ま れた。なかでも、ドラムスFUYUが奏でるアコースティック・ ギター1本のみで歌った「接吻」(オリジナル:ORIGINAL LOVE)は、 今の清春だからこそ成しえる表現力の真髄が滲み出たハイライトの 一つだった。