J インタビュー「J LIVE STREAMING AKASAKA BLITZ 5DAYS FINAL -THANK YOU TO ALL MOTHER FUCKERS-」

ー 僕が信じてきた音楽の中には絶対的に無くならないものが存在してる

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ー 全てのアーティストが無観客・オンライン配信を望んでいるわけでもなく、またそれをおこなわない選択をすることもできますが、Jさんが判断をする上でやはり6月に行われた「J LIVE STREAMING -Online Late Show-」で得られたものがあったからでしょうか?

自分自身がやってみるまでは、不確かなところは当然のように存在していて、頭の中でのシミュレーションしていくしかなかったんですけど、実際はバンドを1つの生命体とするなら「これからライヴが始まるぜ」っていう意識のセッティングだけで、その生き物は活き活きとするのを実感したんですよね。”お客さんがいないから、スタジオのリハーサルと一緒でしょ”にはならない、メンバーとの駆け引きや演奏のスリリングさ、そこにはグルーヴ感も生まれてくるっていう新しい発見もあったしね。オンラインを通じて全国各地、もっと言うと世界各国のアクセスしてくれたみんなにその瞬間が届くっていう、ここでしかできないものや味わえない感覚が絶対的にあることに気づけた部分が大きかったですね。

ー 今までJさんが繰り広げてきたライヴは、言わば密集や密接でしか味わえない感覚を得られる醍醐味があったのも事実です。それらを封じられて、悲観したりこれまでのライヴと比べることよりも、新しい届け方を見出すことが重要だったわけですね。

仲間たちに触れ合って、大音量の中でギュウギュウになりながらフロアで感じるライヴと、全く別の状況でライヴを味わえる感覚っていうね。ベッドで寝ながらでも良いわけだし、買い物しながら観ても良いわけだし、その自由さってこういう形じゃないと存在しないでしょ(笑)。 リアルなライヴ会場でも一人一人のスタイルがあって、前にいたい人や後ろで楽しみたい人もいるわけで、その最たるものがオンラインだとしたら、僕にとってはプラスでしかなかったと思うんですよね。例えば、ライヴ会場に足を運んで入り口に着くまでの時間からはもう非日常が始まってる気がするんですけど、オンラインの場合に日常と非日常を切り離すかを考えたときに、ひと段落した自分に使える時間帯が良いだろうと想定して、21時からスタートにしたんですよね。

ー なるほど。その時間帯を通常のライヴでのセッティングするのは難しいけれど、オンラインならではの自由度がありますね。ここまでJさんから語っていただいた言葉たちは、とてもポジティヴな内容で溢れているように思います。例えば、Jさんがユースの時代に社会の仕組みや周りの大人たちのようなファイティングポーズを取る対象みたいなものがあって、それをエネルギーにロック・ミュージックを鳴らしていたとすると、今回のこの状況にはそういった対象があった上でこういった選択をなされてきたのでしょうか?

誰のせいでもない事柄なわけじゃない?どうしても最初はね、何がベストか模索をして楽しいこと・楽しめることの検証を1つ1つしていくと、結局はライヴをやる・やらないの判断に行きついてしまう。来てくれたみんなを危険な状態にさせたくないし、僕がやるライヴには僕なりのホスピタリティは絶対に存在していて欲しいと思うんですよね。当然ね、それぞれの考え方があると思うけど、オンラインライヴになったとしても、僕が信じてきた音楽の中には絶対的に無くならないものが存在してるはずだから、音楽を鳴らすことを止めるという考えには行きつかなかったんですよね。むしろ、どう形にしていくかを考えることが多かった気がします。ただ、対象ではないかもしれないけれど、初期段階でライヴハウスやイベントに対して横並びで語られてしまっていた風潮には、ステージに立つ者として憤りを感じたのも事実で。例えば、しっとりとしたジャズの演奏を静かに楽しむライヴだって存在するでしょ。もっと言うと、ライヴハウスだって開催している全ての公演が満員になるなんてことはない。いわゆる、密にならないライヴだってイベントだってあるんだって事。夢を持って憧れのライヴハウスに初めて立って、お客さんが数人なんてことはあるわけで、僕たちだってそういう時代があったわけだからさ。もちろんそれぞれのルールに沿った上でだけれど、それをも一律でみなされてることがね。

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