ドラマストア インタビュー

—僕は発信者って言いつつ、実は受信者でもいたい

—そうして完成した『白紙台本』、このタイトルにした理由をお伺いしたいです。

長谷川:まず時間が無くて(笑)、それでも練りに練って出来た6曲を振り返ってみると、登場人物が明確にいて3分ないし5分の中で「こういう風に生きていく」ってストーリーが共通して決まっていて、まさにドラマみたいな曲だったんですよ。「え、出来てるやん。書きたいことが書けてまさにドラマストアやん。」って思ったときに、僕はこの曲の中でこういう風に登場人物を動かして、僕はこういうような結末を想い描いてますけど、あなたはどうですか?って聞きたかったんですよね。

—台本について語り合いたい?

長谷川:僕は僕だけの台本で、聴く人は聴く人だけの台本を作って欲しかったんですよね。僕がこの曲を作ったきっかけはこうやねんけど、君にはどう聞こえてんねんっていうお話をするのが楽しみやなってなったんで、曲のドラマの中に出てくる台本やか筋書きは決まっているけど、キャスティングも配役も台詞も、まだ何も決まっていない状態のものというタイトルで、『白紙台本』てしたんですよ。

—なるほど。ドラマストアがセームタイトルになったって言い換えられる程の話ですね。

長谷川:ですね。実は『笑っていいとも!』の企画にあった名前なんですけど、それをもじったというか。

—今のお話を伺って凄く納得できた部分があります。けれど「バースデー」は若干その話から外れるのかなと。

長谷川:ああ、それ来て欲しい質問でした(笑)。最後だけ、客観的じゃなくて主観的に書いたんです。「バースデー」というタイトルをつけたからこそ、『白紙台本』が生まれたといっても過言じゃないし、良い着地ができたんですよね。井坂幸太郎さんみたいな、演じっぱなし・投げかけっぱなしっていう短い短編小説が6曲詰まった一冊じゃなくて、5曲のドラマが詰まった上で、最後に役回り云々じゃない「あなたはどう思いますか?これからどうしていきますか?」って、一気にリアルへ戻したかったんですよ。作られた自分で終わるんじゃなくて、最後は自分自身で考えて欲しいって。それで締めくくることで、リアルなリスナーと演者という関係に戻して終わりたかったんです。

—投げかけるだけじゃなくて、投げ返して欲しいという。

長谷川:僕は発信者って言いつつ、実は受信者でもいたい人間なんですよね。「俺はこう思うけど、どう思ってんの?」って話を、1番したいし共有したくて。だからなるべくしてなりましたね。

—それがドラマストアらしさなんでしょうね。最後に偶像ではない実像があることによって、より繋がりもできるし。

長谷川:ですね。架空の手の届かない人間というよりかは、等身大の人間であんたと変わらない人間やでというのは、いつまでも持っていたいんですよ。カッコつけるだけつけて終わるというのはすごくイヤで。

—それはライブでもですか?ある種、演じるエンターテイメントが出来ると場所でもあり、それが望まれる場所でもあるのかなと思うのですが。

長谷川:あぁ、どうなんやろ。僕は自分のキャラというか、みんなの長谷川 海というようには演ってなくて。むっちゃ機嫌良いときは機嫌良いライブするし、嫌なことがあったら嫌な事ことがあったってわかるライブをするんですよ。「あれ?海くん大丈夫?しんどい?」ってのをお客さんにバレるようなライブをします。

—それは敢えて隠さずに?

長谷川:隠さないですし、強がったりもしないです。例えばバンド内で揉めてるときとか、ネットで叩かれたとか、納得できひんことがあったときとかは、全然それがバレるライブします。

—じゃあ同じライブってしないし出来ないですよね。

長谷川:出来ないですね。例えで話した落ち込んだライブは、今まで何十回、何百回やってる大阪のライブハウスでだったんですけど、担当の方に「そういうライブも出来んねんな。あれはあれで良かったで」って話をされて。「あ、昔よりも全然成長した」って思いましたね。

—その分、その時々のリアルがよりダイレクトに伝わる可能性がありますしね。

長谷川:そうですね。プロになると、お金払って観に来てくださるのだから、同じライブをしないとっていうテンションもあるんでしょうけど、まだ僕らはそこじゃないんで。やっぱり、今歌いたい歌を今歌いたいテンションで正しく伝えてあげるって、1番人間味のある大事なところになっていくんかなって思うんで、あんまり偽ったりはしてないです。だって、全然楽しくないのに「今日歌えて幸せでーす!」って絶対嘘やろ!って思っちゃうんです(笑)。

—いるいる(笑)。

長谷川:しかも楽屋に帰って「今日しんどかったな」って、嘘つけよ!って(笑)。そんなん観てお客さん楽しいんかって。「俺ら、まだ全然こんだけしか入らへんしパンパンに出来へんのや。でも、絶対帰ってきます」とか言うし、それの何が悪いんかなって。自分に嘘ついてお客さんに話す方が、よっぽどカッコ悪いんじゃないかなって。昔は「海くんといったら太陽みたいな人」みたいなイメージあったんですけど。

—(笑)。

長谷川:僕からしたら「いやいや、太陽だってさ、曇るときもあんねん。そのイメージを押し付けるのやめてくれる?」みたいなのがあったんです。だからいつも等身大に、ファンの子にも分かりやすくしたくて。

—ただ、楽しみに観に来てくれているんで、あまり度が過ぎない程度で(笑)。

長谷川:さすがに今は、マネージャーに止められますけどね(笑)。

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