「またこのメンバーでステージに」 The Cheserasera、活動休止前ワンマンで再会を約束

昨年11月に活動休止を発表したThe Cheseraseraによるワンマンライヴが、1月9日に下北沢シャングリラにて開催された。本公演は年末にかけて行われたツアーの追加公演であり、活動休止前のラストライヴとあって、チケットは瞬く間にソールドアウト。それを受けて当日は配信も行われ、会場のみならず全国のファンに見守られて彼らはこの日を迎えた。

スタートは「good morning」。ドラムカウントを合図に鳴らされた音は繊細だが力強く、3人のアンサンブルは今までにないほど磨き抜かれていた。ライヴ定番のキラーチューン「最後の恋」では西田 裕作(ベース)が手拍子を煽り、始めは緊張感があった会場の雰囲気も次第にいつものライヴのモードに切り替わってゆく。すると、その空気を感じ取ったのか「未来のことは分からないけど、今ここにある体、音楽は本物だと思う」と宍戸 翼(ヴォーカル/ギター)が前置いて始めたのは、焦燥感たっぷりの「Youth」。それは様々な想いを胸に今日を迎えた全員に「今は今を楽しもう」と語り掛けるようでもあった。

中盤のMCでは、珍しく美代 一貴(ドラム)が饒舌に胸の内を露にした。小学校からの付き合いの相棒・西田のことや、ファッションブランドの立ち上げ等音楽外の活動も、全てバンドに還元するためだったことなどを話し始める。バンド活動のない生活については「僕もどうなるか分からない」と不安を口にしたが、それでも最後は「今までやってきたことを全て出し切りたい。出逢ってくれてありがとうございます」と、精一杯の感謝を伝えた。そして「ドラムス、美代 一貴でした」とMCを締めたのは宍戸。彼は「そんな美代君が作った曲を3曲続けて歌います」と「白雪」のエモーショナルなイントロを掻き鳴らす。

ここ数年、バンドをメンバー自らがDIY的に運営するようになってから一番変化したのが、宍戸のフロントマンとしての意識だと思う。この日も先のMCで彼はこんなことを口にしていた。「(自分が)泣いているように見えてもそれは寂しいからじゃなくて、良い歌だなって思ってるだけだから。勘違いしないように」。照れ隠しとも強がりとも取れるが、きっとそれ以上に伝えたかったのが「楽しんでほしい」という気持ちだろう。そして、その想いはもちろんメンバー3人に共通するものだ。西田もゆるいトークで笑いを誘いつつも、泣いているお客さんを見るとつい、もらい泣きしてしまう、と明かすなどこの日ならではの言葉が垣間見える。

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