RED ORCA

RED ORCAがスケボーキング&山嵐を迎え初の対バンを開催「進化し続けるミクスチャー」の歴史的2DAYSをレポート

RED ORCAがオーガナイザーとなり、ミクスチャーシーンを代表する2バンドを迎えたライブが3月に開催された。

■RED ORCA×スケボーキング
「俺たちはつねに進化し続けるミクスチャー今回の対バンを通してそれを再確認できた

RED ORCA主宰の対バン2DAYS初日。下北沢251のステージに最初に登場したのは、2020年に復活したスケボーキングだった。この日、約12年ぶりにバンド形式でライブに挑んだスケボーのサポートドラムを務めたのは、Dragon Ashの櫻井誠。この日欠席だったDJ SHUYAに代わり、The SAMOSのRaymondがスクラッチとマニピュレートを担当。最強の布陣と共にRED ORCAとの初対バンの火蓋を切った曲は、SHIGEOとSHUNのHigh&Lowボイスが軽やかに交差する「Metaphor」だ。MASHのベースラインと、櫻井誠が叩き出すタイトなリズムが、場内の空気を大きく震わせる。身体中が痺れるこの低音グルーヴこそ、ライブハウスで浴びる生音の醍醐味だ。
約20年の歳月を経た名曲の他、「ビートとベースとスクラッチ」や「不気味の谷」などの新曲が次々と披露されていく中、なんとステージにDragon AshのKjが登場!「観に行くなら出るわ」というKjの一言で決まったサプライズ出演だったらしい。スケボーの最新アルバム『THE NEW ALBUM』には、久々にKjをフィーチャーした新曲「EPISODE 7」が収録されている。が、この夜披露されたのは、2008年の「EPISODE 5」!今も斬新に響くエレクトロなビートの上で繰り広げられる3MCのマイクパスに、ステージもフロアも大熱狂だ。名曲「TOKIO LV」に続き最後に披露されたのは、20’S時代を象徴するチルなダウンビート系ヒップホップの原型とも言える、メロウな浮遊チューン「いつかどこか」。約12年の歳月を経てライブシーンの最前線に戻ってきた、スケボーキング。ミクスチャー界随一の奇才の歩みに、やっと時代が追いつき始めた気がする。

興奮冷めやらぬフロアにアグレッシヴなビートが鳴り響く。エッジィなその音を操るのは、RED ORCAのシンセサイザー&マニピュレーションを手がける草間 敬だ。
 RED ORCAは、金子ノブアキ、草間敬、PABLO、来門、葛城京太郎の5人からなる強者バンドである。RIZE、AA=のドラマーでもある金子ノブアキ。Pay money To my Painや降谷建志が率いるバンド、the Ravensのメンバーであり、LiSAやHYDEのサポートも務めるギタリスト、PABLO。RIZEやMAN WITH A MISSIONなどの制作でも手腕を発揮する音の魔術師、草間敬。smorgasや、Dragon AshのHIROKI主宰のROSのメンバーでもあるボーカル、来門。ストリートライブも精力的に行う若きベーシスト、葛城京太郎。そして、2021年からはギタリスト、同道公祐も参加し、ライブではそれぞれが、凄まじい切れ味の各々の刀を容赦なくぶつけ合う。
「やべぇ時代が来てるぜ。音楽でぶっ飛ばして行こうぜ!」
凄まじいバンドグルーヴが鳴り響くステージから来門が叫ぶ。2019年末にデビュー曲「ORCA FORCE」を配信し、まさにRED ORCAとして走り出した直後、バンドはコロナ禍に直面。即座に楽曲制作へとチャンネルを切り替え、虎視眈々と「次」を見据えていた彼ら。今回の2マン2DAYSはまさしく、その次のステージに向けた新たな狼煙だ。
「再始動じゃないけど、ライブが出来るようになったタイミングで小さなライブハウスから新たに始めようって。それが今回の対バンイベントなんです」(葛城京太郎)
そして彼らが今回対バン相手に選んだのが、スケボーキングと山嵐。いずれも日本のミクスチャー界を牽引し続ける革新家だ。
「当時から20年ぐらい経って、みんなが『ミクスチャー』に誇りを持ち始めてる。でも同窓会的なことじゃなく、こうやって改めて対バンすることで、俺たちはつねに進化し続けるミクスチャーであり、そういうシーンを築いてきたのも間違いなく俺たちだ、という信念を再確認できた気がするんです」(来門)
「今24才の僕からすると、日本のミクスチャーシーンを代表するレジェンドがRED ORCAのメンバーやスケボーキングや山嵐。一緒にやれることが光栄だし、当時の話を聞けるのも楽しいんです」(葛城京太郎)
畳み掛けるような圧倒的なビートとラップが押し寄せる「beast test」に続き、骨太なファンクグルーヴが渦巻く「Octopus」がフロアに轟く。そして転調の後に現れる、水彩画にように繊細なギターリフやサウンドエフェクト。絶対的な歌力と演奏力が作り出す「動」と美しすぎる「静」の極端なまでのバランスこそ、RED ORCA最大の武器だ。「PABLOと初めて会ったのがここ、下北沢251だね。PABLOのバンド、GIRAFFEと、RIZEとSCREAMING SOUL HILLの対バンだったね」(来門)
「2000年の4月だったと思う」(PABLO)
互いの出会いを語るステージの上の来門とPABLO。この夜、いくつもの伝説を生み出してきた下北251には、RIZE、ptp、smorgas、スケボーキング、Dragon Ashという、あらゆる音楽を飲み込み進化し続けるミクスチャー界の群雄が一堂に会していた。だがそこには、「懐古」の要素は微塵もなかった。ラストに披露された「Night hawk」の最後、金子が何度も両手を大きく振り上げ、エモーショナルにドラムを叩き鳴らす。刺激と新しさを追求するミクスチャー魂を持つ彼らの目線の先にあるのは、いつだって今と未来だけだ。

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