RED ORCAがスケボーキング&山嵐を迎え初の対バンを開催「進化し続けるミクスチャー」の歴史的2DAYSをレポート

■RED ORCA×山嵐
「『ミクスチャー』のパーティを続けよう!」

 対バン2DAYS、2日目の舞台はF.A.D YOKOHAMA。F.A.Dはこの日の対バン相手、湘南をベースに活動する山嵐のホームとも言えるハコだけに、ステージに現れた山嵐の7人がフロアを揺るがす重低音と力強い2MCを轟かせた途端、場内は一瞬で興奮の坩堝に。歓声の替わりに両手を挙げ、久々の山嵐の勇姿に歓喜するオーディエンスに向かってボーカルのSATOSHIが言う。
「F.A.D は山嵐のルーツと言える場所。こんな時期もあって数年ぶりにここに立ってます。RED ORCAが呼んでくれたおかげです」
結成以来、筋金入りのライブバンドとして確固たる人気を獲得してきた山嵐。コロナ禍で停滞せざるを得なかった時期の焦燥や葛藤を力強く込めた新曲「PAIN KILLER」で、ステージとフロアが全力でぶつかり合う。’96年のバンド結成時、すでに海外では当たり前だったラップ×ラウドロックのスタイルで登場した山嵐。RIZEやDragon Ashが台頭する直前、ミクスチャーロック・シーンという道なき道を切り開き始めた彼ら。サウンドマシーンを操るKAI_SHiNEが効果音を鳴らしながら叫ぶ。
『ミクスチャー』のパーティを続けましょうよ!」
最後に披露されたのは、2MCの力強さが際立つ「BOXER’S ROAD」。間違いなくそれは、彼らが切り開いてきたミクスチャーロックやライブシーンが再び、栄光の日々を取り戻すまでの新たな決意表明だったと思う。

山嵐の熱量効果と対バン2日目の充実だろうか⁈ 「Crow from the sun」が投下されるやいなや、フロアの熱気は一気に沸点へ。怒涛のドラミングでスタートした「beast test」では、山嵐のヘッズも楽しそうに両手を挙げてRED ORCAの強靭なバンドグルーヴに身を任せているのが見える。スラッシュパンクの勢いから一転、強烈なファンクなグルーヴでフロアを飲み込む「Phantom Skate」など、1曲の中で次々と曲調を変化させていくRED ORCA。メンバーそれぞれの個性がぶつかり合い生まれる変幻自在なバンドサウンドこそ、RED ORCAの大きな個性だ。
「コロナ禍の間、曲を作るだけで俺は何も救えなかったけど……でも自分は救えた。音楽をやってなかったら山嵐みたいに怖い人たちとも友達になれなかったし(笑)」
失望や絶望に打ちひしがれた時、奮い立たせてくれた「音楽」への思いを語る来門。MCでも窺い知れる普段の彼は、抜群の歌唱力とラップのセンス、ルックスにも恵まれた
チャーミングな人気者だ。そんな彼の根底にある深い闇……だからこそ、RED ORCAというバンドが歌い鳴らす美しいメランコリーはリアルに輝き、強烈なラップ×バンドサウンドとなってポジティヴなエネルギーを放つ。
「俺は生きてるぜ、この時代に。生き残ろうぜ、ぜってぇ生き抜いてやろうぜ!」
自らに言い聞かせるような来門の言葉を合図に披露されたのは新曲「Survivors」。精緻で美しいサウンドスケープの中から押し寄せる圧倒的なバンドグルーヴに、うなるギターが覆い被さり、やがてメランコリックな景色を描いていく。音源では聴き入る場面だが、ライブではなんと、オーディエンスが両手でハンドクラップで反応するという、ポジティヴな場面に。抗えない苦悩や絶望を生きる力へと変換するこの高揚感こそ、RED ORCAの神髄だ。
「初日に対バンしたスケボーキングは俺、今までほとんど面識なかったんです。だから今回対バン出来て嬉しかった。ここから始まることもあるんだろうなと」(金子ノブアキ)
「RED ORCAはまだ新人なんですよ。だから今は好きなことをやって、RED ORCAの形をはっきりさせている段階かなと。今は自分たちが出したい音をちゃんと出し切る。そこから見えてくるのかなって」(PABLO)
「そう!挑戦していきたいですね」(来門)
進化し続けるミクスチャーの未来と共に、変幻自在なバンドの挑戦はここから始まる。

文:早川加奈子
写真:Taka”nekoze_photo”

なお、7月から8月にかけて、東京・大阪・横浜にて対バン企画第二弾の開催が決定。
チケット先行が本日12:00よりイープラスにてスタート、対バン相手は追っての発表が予定されている。
公演は定められたガイドラインを遵守のうえ感染拡大防止策を徹底し開催される。

「RED CONNECTION 2022」
7月29日(金) 渋谷 WWW
8月4日(木) Osaka Muse
8月12日(金) FAD Yokohama

《チケット》
イープラス先行受付中
https://eplus.jp/redorca/

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