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圭、スリーピース編成スタイルでソロ初のツアー開幕

圭のワンマンツアー<SENSE OF WONDER>が6月6日、東京・代官山SPCE ODDで初日を迎えた。同公演のレポートをお届けする。

今回の圭のワンマン<SENSE OF WONDER>の見所は、なんといっても関東近郊でマンスリーライヴを継続して行なっていくソロ初のツアー形態で開催することだろう。それを、スタンディングのライヴハウスという環境で行なうところも新しい。そうして、もっとも注目したいのは、これまではサポートメンバーを含めて5人編成で行ってきたライヴを、このツアーから圭(Gt&Vo),BAROQUE時代から気心知れた高松浩史(Ba/THE NOVEMBERS)とKENZO(Dr/彩冷える)を招いて、最小限のメンバーで自身初のスリーピース編成でライヴに挑むというところだ。

スタンディングのライヴハウス、スリーピース編成初お披露目日となったツアー初日。オーディエンスにとっても、圭のステージをこんなに間近で見るのは初めてのこと。いったいどんなライヴをするのだろうか。

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結論からいうと、これが予想を遥かに上回る衝撃だった。ツアーは今後も続いていくので、詳しいセットリストは書けないのだが、この日はオープニングのステージアクトから驚かされた。最新のインストアルバム『utopia.』のある曲に大胆なアレンジを施した同期音源にトキめいていると、3人が次々とオンステージ。映像をバックに、同期音をKENZOの生ドラムが引き継ぎ、バンドサウンドへと切り替わっていったときのスリルは迫力満点。そこからアッパーな歌ものへと展開していったときの歌、ギターフレーズ、スピーディーに畳み掛けるビートが一体となったときの破壊力は、小さなライヴハウス、編成もシンプルだからこその温度感でフロアを煽っていく。「スタンディングのライヴハウスで僕のライヴをやるのは初めて。好きなように身体動かして、やりましょう」と圭がオーディエンスにレクチャーしたあとに披露した「青空に吹かす夜、晴れ渡る日」(大桃子サンライズfromバンドじゃないもん提供曲)。個人的には、この曲があったからこそこの編成、スタンディングのライヴに踏み切れたのではと思うほど抜群にこれがハマっていて、新たなライヴアンセム誕生という手応えさえ感じた。インスト曲に歌もののソロ曲、BAROQUEナンバーに提供曲など圭の全キャリアの楽曲が混在する今回のセットリスト。例えば、ゆったりとしたテンポで会場を独自の世界観に引きずり混んでいった「MEMENTO」は、BAROQUE時代、鍛練してきたこの3人ならでは鬼気迫るグルーヴがライヴハウスに充満。その熱量に圧倒された場内からは、自然と大きな拍手がわきあがった。

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ソロになって以降、圭はこれまで歌もののライヴとインスト曲のライヴをきっちりと分けて公演を行なってきた。しかし、今回はそこも進化。「今日は『utopia.』の曲も多めなんです。歌ものの間にあんなインスト入れてくるかという感じだけど(笑)、いいですね」と本人が感想を述べると、オーディエンスが賛同を拍手で伝える場面もあった。例えば「monolith.」のように緻密に作り込まれた奥行きのある同期音源をまといながら、3人が絶妙な駆け引きで曲に没入していくインスト曲は、観客はものすごい集中力で音を浴びる感じなのだが。最小編成だからなのか、歌ものもインストものも、一貫してその根底に流れる圭ならではの音楽の美学が肌で感じられて、どんな作風の曲もスムーズに展開していったところはこのツアーの大きな収穫になりそうな気がした。

そうして、終盤には圭が「新鮮だね、(距離が)近くて。みんなが飛んでる姿が観たい」とリクエストして、クラップとジャンプでフロアに一体感を作り上げ、ライヴハウスならではの盛り上がりで場内を熱狂させたり。さらに、毎回ライヴのクロージングナンバーとして演奏してきた曲を演奏した場面では、観客が一斉にスマホのライトを点灯させて幻想的で美しい空間を作るなど、フロアからも新しいアクションが次々と誕生した今回のライヴ。アンコールはなし。本編のみで勢いよく最後まで駆け抜け、フィニッシュを迎えるというスタイルも圭にとっては新しい挑戦で、それも観ていて気持ちよかった。

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