indigo la End、初の武道館公演開催

8月に発表された最新曲“そのままの冷たさで”からライブは後半戦に突入し、高速のイントロで始まる“ハートの大きさ”、インディーズデビュー作『さようなら、素晴らしい世界』の収録曲で、川谷のモノローグが印象的な“秘密の金魚”といったアグレッシブな曲が続く。映像では思い詰めたような表情でどこかに走り出した女性が映し出される中、“夜明けの街でサヨナラを”や“名もなきハッピーエンド”といったメジャーデビュー時期のアップテンポなナンバーが続き、長田と後鳥もステージ前方に出てオーディエンスを煽ったりと、さらなる盛り上がりを生み出していく。

ライブのタイトルである「藍」が曲名に入った“藍色好きさ”の演奏を終えると、映像の中の女性がたどり着いた場所は日本武道館。すると、映像の中の女性が実際に客席に姿を現して、彼女がステージを見つめる中、ここで演奏されたのがサブスクによるリバイバルヒットでインディゴのステージを一段階引き上げた名曲“夏夜のマジック”。まさかの展開に驚きつつも、ステージ上に大量のシャボン玉が舞う幻想的な雰囲気の中、オーディエンスは川谷とともに一斉に手を上げて、自由に体を揺らし、この日のクライマックスを作り出していた。

川谷が「武道館はお客さんの顔がよく見えるので、『こういう人たちがインディゴの陰湿な音楽を聴いてるんだ』ってわかりました」と笑いつつ、「みんなどういう風に僕たちの音楽を聴いてるんだろうと思ってたんですけど、今日みんなすごくいい表情で聴いてくれて、やってきたことは間違ってなかったと思ったし、これからもいい曲を作っていこうと思いました」と話して、本編ラストに披露されたのは“Play Back End Roll”。スクリーンにはエンドロールが流れ、アウトロではメンバーそれぞれがエモーショナルに轟音をかき鳴らして、まさに映画のように濃密な本編が終了した。

アンコールでは“通り恋”と“冬夜のマジック”を演奏すると、川谷が「最後に何をやるかすごく迷って、僕らにとっての武道館ってなんだろう?と考えながら、セットリストを考えて……最後に新曲をやろうと思って。これからのindigo la Endを最後にやって、終わりたいと思います」と話して、初披露となる新曲を演奏。この曲がインディゴとしては珍しいメジャー感のあるコードと軽快なリズムの楽曲で、まだまだバンドが変化・進化を続けていることを明確に感じさせた。メンバーがステージを降りた後には、結成日の翌日である来年2/25に自主イベント『蒼き花束』を開催することが告知されたように、彼らはこのメモリアルな一日をあくまで通過点として、これからも素晴らしい音楽を作り続けてくれることだろう。

(文=金子厚武)

2022年11月1日
indigo la End日本武道館公演「藍」 セットリスト

01. sweet spide
02. 悲しくなる前に
03. 瞳に映らない
04. 花をひとつかみ
05. 想いきり
06. 雫に恋して
07. 夜行
08. 夜風とハヤブサ
09. 蒼
10. 花傘
11. チューリップ
12. 邦画
13. 夜の恋は
14. そのままの冷たさで
15. 夜汽車は走る
16. ハートの大きさ
17. 秘密の金魚
18. 夜明けの街でサヨナラを
19. 名もなきハッピーエンド
20. 藍色好きさ
21. 夏夜のマジック
22. Play Back End Roll
<アンコール>
En1. 通り恋
En2. 冬夜のマジック
En3. 新曲

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