STING(スティング)、東京初日公演ライヴレポート到着

4年ぶりとなる来日公演「マイ・ソングス」ジャパンツアー2023を実施中のスティング(STING)。2023年3月11日(土)に東京・有明アリーナで行われた東京初日公演のオフィシャル・ライヴレポートとライヴ写真が到着した。あわせて来日公演初日のセットリストがプレイリストとして公開された(https://umj.lnk.to/StingJapanTourPR

また、この日にスタッフが楽屋で撮影した3枚の写真も届いた。この写真には、今回の来日公演を記念して制作され、3月8日に発売となった『マイ・ソングス』日本国内プレスのアナログ・レコードを持ったスティングの様子が映されている。こちらは完全限定生産となるので、購入はお早めに。

スティングが、3年半ぶりに日本の土を踏んだ。あらためて触れるまでもなく、この3年半という長い時間は、世界がコロナ禍に翻弄された時期とそのまま重なるもの。「スティングのライヴ」への期待感はこれまでになく高かったわけだが、広島や大阪のファンからその熱い想いをさらに煽るような情報がつぎつぎと届くなか、3月11日、スティングの東京公演初日が行なわれた。会場は、昨年夏から本格的にイベント会場として使用されるようになったばかりの有明アリーナだ。

オープニング・アクトは、スティングの息子ジョー・サムナー。「ジェリー・ビーン」「ホープ」といったオリジナル曲をギター一本で歌い、愉快な日本語のMCでも楽しませてくれたあと、短いインターバルがあり、いよいよスティング・バンドと登場となった。

ドミニク・ミラーを中心としたメンバーが定位置につくと、ステージ下手から愛器プレシジョン・ベースを抱えたスティングが歩み出てきた。やや小さめのTシャツと黒い細身のパンツ。鍛え上げたという表現は正しくないのかもしれないが、無駄な肉はまったくなく、71歳という年齢が信じられないほど。

オープニングは「孤独のメッセージ」。昨年から加わった米国東海岸出身のドラマー、ザック・ジョーンズがワン・タムのシンプルなセットで叩き出す重量感があってしかもシャープなリズムに乗って、彼らは、44年前の名曲に新たな生命を吹き込んでいく。ヘッドセット・タイプのマイクを使うようになったスティングが(つまりマイク・スタンドに正対しなくていい)、自由にステージ上を動き、リズムや歌詞にあわせて視線も動かしながら歌うその動的イメージもスティング・バンドの新たな印象に大きく貢献しているようだ。

ハーモニカのシェイン・セイガーを大きくフィーチュアした「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」「マジック」とつづいたところで、「クチブエという日本語を覚えた」というMCで笑わせてさり気なく「イフ・イッツ・ラヴ」のイントロに移り、さらに「ラヴィング・ユー」「ラッシング・ウォーター」と、最近作『ブリッジ』にスポットを当てたセクションをじっくりと聞かせてくれた。『ブリッジ』は、ある意味では、コロナ禍に仕事の機会を奪われたことを逆手にとってつくり上げた作品であり、音楽家=スティングの今を伝えるものとして、やはりこれはきっちり聞かせたいと考えたのだろう。

「ルーズ・マイ・フェイス・イン・ユー」、ドミニク・ミラーがガット弦のギターで美しいソロを聞かせる「フィールズ・オブ・ゴールド」とつづいたあと、スティングがシェインを中央に呼び出し、スティーヴィー・ワンダーのハーモニカが印象的だった「ブラン・ニュー・デイ」。躍動感にあふれた力強いパフォーマンスを終えると、ふたたびドミニクがガット弦のギターに持ち替え、叙情的な「シェイプ・オブ・マイ・ハート」。そして、コーラスのメリッサ・ムジクが活躍する「ヘヴィ・クラウンド・ノー・レイン」から「セヴン・デイズ」「マッド・アバウト・ユー」と進んでいったあと、ガラリと雰囲気が変わる。

今回のツアーのステージ・セットはじつにシンプルで、基本的には照明を効果的に使って音そのものに重点を置いたものなのだが、ここで横長のスクリーンにNETFLIXで配信されたアニメシリーズ『アーケイン』からの映像が写し出され、スティングは、ケヴォン・ウェブスターが弾くキーボード中心の重厚なサウンドに乗って、そのアニメ作品に提供した「ホワット・クッド・ハヴ・ビーン」をじっくりと歌い上げていくのだ。そして、その雰囲気のまま曲はポリス時代の「アラウンド・ユア・フィンガー」に変わり、あのミュージック・ビデオを思い起こさせる蝋燭の映像がバックに浮かび上がる。なんとも美しい演出だ。

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