[ kei ]所属事務所退所、8月12日にVeats Shibuyaで独立後初のBD公演開催を電撃発表 「未来を、すべてをかけて自分でつかみたい」

歌い終わったあと、不穏なシンセが響き渡ると場内の空気は一転。再びリズム隊が登場し、始まったのはインスト「vita.」。
宇宙から地上に舞い降り、そこから死に際までいったあと、誘った先に待ち構えていたのは地獄の果ての世界だった。さっきまで穏やかで優しい雰囲気だった[ kei ]はそこにはいなくなり、悪魔が乗り移ったような表情をうかべ、ダークフォースを身体じゅうから放っていく。ライティングでステージが真っ赤になった瞬間、それを合図に3人はステージ上で一気に音でバースト。
ギミック的な演出はなにもないなか、曲中、バンド・アンサンブルが突っ走ったり抑制を繰り返してグルーヴをキープしながら狂ったように錯乱しくパフォーマンスは、大迫力。狂気に取り憑かれたような音楽を浴びせかけられた観客は、ひたすら圧倒されるしかない。
見るたびにスリルを増していくこの曲は、いまや[ kei ]のライブの裏定番曲。さらにそのパワーに磨きをかけ、この日はなんと14分間かけて、人間が現実世界ではたどり着けないような真っ暗闇の不気味な世界のどん底まで、観客全員をどっぷり引き摺り込んでいった。
いつもなら、ここで観客を突き放したままこのブロックは終わるのだが、この日は新しい展開としてこの後にインスト「in the light.」をプレイ。どん底まで落ちていった観客たちの心拍を、まず脈打つような力強いビートで蘇らせ、生きる道しるべとなる光をサウンドで灯して心のなかに広がった暗闇をどんどん浄化。こうして、みんなの心と身体をリセットしてみせたのだ。
「闇を抜けて、光までいって、ついにマイクも口元まできました」とおどけて話す[ kei ]。
装着したヘッドセットマイクは、ギターを弾きながらアクティブなステージングを行なうために、最近彼がトライしている新しいギア。ギアを調整しながら、正式にソロになって以降、渋谷でしかライブをやっていないことに触れて「令和のシブヤ系アーティスト!(微笑)」といって場内を和ませ、ライブはここからは、音楽を歌って踊って楽しむ後半戦へ。
「コロナ禍に作りまして、BAROQUEから引き継いでる曲をやりましょうか」という曲紹介から「STAY」が始まると、たちまち場内の空気が華やかにきらめく。観客は冒頭からクラップを鳴らし、スタンドマイクから解き放たれた[ kei ]は、ギタリスト時代を彷彿させるように、ステージ上を自由気ままに動き回る。
3ピースのネクストフェーズ。その進化をたっぷり感じさせるアクティブなパフォーマンスでフロアを刺激すると、観客たちは「3、2、1、GO!」という[ kei ]の合図で、楽しそうに一斉ジャンプを繰り広げていく。
曲が終わると同時に、[ kei ]は自らシャツのボタンを全開。上半身を露わにしながら、袖をまくりあげたところにインダストリアルなダンスビートが鳴り響き、始まったのは「SIN QUALIA」。
華やかにきらめく自分のなかに表裏一体として存在している内面を、無機質なのに重量感あるサウンドでえぐり出し、ギターソロを入れたあとは、さらにそこにラップで追い打ちをかけ、心の奥深いところまでさらけ出していく。
そうして、お立ち台に立ち、その表裏にあるものすべてをエネルギーに変えるように、最後は「I LUCIFER」をものすごいテンションで歌い、演奏。エモさすべてをこの1曲に注ぎ込んでいって、本編はフィニッシュ。

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