coldrain、地元ガイシホールでの凱旋公演終了

coldrainが、彼らの地元である名古屋の日本ガイシホールにて、 ”帰郷” 初地元アリーナライヴ『”HOMECOMING” LIVE AT NIPPON GAISHI HALL』を2月10日(土)に開催。約6,000人以上を動員し、全27曲を披露した。

coldrainが各地で巻き起こした気迫と熱量を、遂に地元・名古屋に還元させる日がやって来た。凱旋ライヴにして集大成、自身最大キャパとなる日本ガイシホールにてワンマンを決行。ブロック分けされたアリーナは満杯となり、その周りのスタンド席にも多くの観客が詰めかけ、会場は祝福ムードに溢れていた。

開演時刻18時になると、スクリーンに5分前カウントダウンの数字が表示され、徐々に場内の空気を温めた後、Y.K.C(G)、Sugi(G)、R×Y×O(B)、Katsuma(Dr)がステージに並び、「名古屋ー!」とMasato(Vo)が叫ぶと、注目の1曲目は通常ならばラストに披露されることが多い、1stアルバム『Final Destination』表題曲で火蓋を切った。観客は拳を突き上げ、大声で歌い、初っ端から濃密な一体感を作り上げていく。それから「COUNTERFEITS & LIES」、「CUT ME」と畳み掛け、3曲でガイシホールを汗臭いライヴハウスへと変える。

その光景を見て、「なかなかやるな、名古屋。coldrain最大規模のワンマンへようこそ!」と挨拶を挟み、「ADRENALINE」のド頭では耳をつんざく爆発音が鳴り響き、「DIVINE」においてはステージ上に複数の火柱が噴出したりと、ワンマンならではの演出に会場も沸き上がる。すかさず「ENVY」、「REVOLUTION」と進み、アリーナとスタンドにいる観客はジャンプにヘドバン 、さらにダイバーも続出したりと、本当にここはアリーナなの!?と首を傾げたくなるカオスな空気が渦巻いていた。

「ここからがワンマンの世界ですよ!」と告げ、coldrainの奥深き楽曲世界へと誘う。「AFTER DARK」を皮切りに、地獄と天国を往来するラウド&キャッチーな「RABBIT HOLE」、また、3rdミニ・アルバム『Until The End』収録の「YOU LIE」も披露され、テクニカルな演奏の上で優美な歌メロを存分に発揮する。

「目標は会場のでかさじゃなく、集まる奴らの濃さです。今日6千人以上集まっているcoldrain好きのお前ら…いつこんなでかいところでできるかわからないからさ。お前らとライヴできることがバンドとして幸せだし、やっていることが間違っていなかったと思える瞬間だし…足震えてます、緊張してます、なぜならこんなところに辿り着けるなんて思ってなかったからさ!」とMasato。

ライヴは「BEFORE I GO」を経て、SugiがPANTERAの「Cowboys From Hell」風味のリフを弾いた後、メタル純度濃い「NEW DAWN」をプレイ。するとアリーナ全ブロック(計13ブロック)でサークル・モッシュが勃発する狂乱ぶり。その流れからドラマティックな「THE SIDE EFFECTS」へと繋ぐ選曲も素晴らしかった。

再びここでMasatoは長めのMCを挟む。去年、新幹線に乗っていると、名古屋在住の夫婦が隣に座っており、たくさんお菓子をもらったそうだ。そのお菓子の代わりに、「日本ガイシホールに招待します」と伝えると、本当に今日の会場へ足を運んでくれたという。そんなほっこりするエピソードを入れ、「ラウド・ロックは少しずつ広がってるんだよ」と付け加えて、会場を和ませた。

そして、Y.K.Cがアコギを持つと、バラード「JANUARY 1ST」を披露。演奏が進むにつれ、観客はスマホの灯りを付け、会場が次第に明るくなる光景は感動的だった。その後、人前でギターを弾くのは18年ぶりというMasatoが「8AM」の前半部分をアコギ弾き語りで披露するサプライズもあり、目の離せない瞬間が続く。「後半戦、行けますか?名古屋!」と呼びかけ、5分で4曲をプレイする「VENA」メドレーから「GONE」と続き、凄まじい数のダイバーを量産した。

ここでMasatoは高校生の頃にKatsumaと共にMETALLICAのライヴを日本ガイシホールへ観に行ったと語り、「METALLICAと同じステージに地元で立ってるって、やばくない?」と話した後、バンドの未来についても言及する。「ラウド・ロックという音楽を掲げて16年やってきましたけど、俺らは死なせるつもりはありません。まだまだラウド・ロックをでかくしたい。下も育てなきゃいけない使命を感じてる。これから新しいバンドを引っ張り上げていくので、バンドやっている奴らは連絡してきてください! 次の世代が『BLARE FEST』みたいなフェスをやれるように、胸を張ってラウド・ロック という言葉を使い続けます!」と宣言。

終盤は「HELP ME HELP YOU」、「24-7」、「F.T.T.T」と猛攻撃を仕掛け、本編ラストを締め括る「MAYDAY」、「THE REVELATION」の2曲ではKNOSISのRYO(Vo)がゲスト参戦! ただでさえヘヴィな楽曲にハードコア感が加味され、両ヴォーカリストの激越シャウトにガイシホールは完全に焦土化した。

アンコールに入ると、新曲「VENGEANCE」のMVがフル尺で流れた後、MV同様にスーツを着込んだメンバー5人が登場。突如、新曲を初披露する流れとなり、柔らかな歌メロから一気に攻撃性を高めるなど、起伏豊かなストーリー性で聴かせる。また、Katsumaのドラムも際立ち、「THE SIDE EFFECTS」とはまたタイプの異なる曲展開に引き込まれた。演奏後、「最新のcoldrainもやばいでしょ?」と自信を覗かせるMasato。ラスト・スパートは「NO ESCAPE」、銀テープが場内に放たれる中で「PARADISE(Kill The Silence)」を解き放ち、ワンマンを盛大に締め括ってくれた。

全27曲トータル2時間半に及ぶショウにより、間違いなく過去最大級の景色を見せてくれたcoldrain。そう言えば、今日のライヴ中に幾度とアナウンスが流された。「本公演ではモッシュ、ダイブ、サークル・ピット、ウォール・オブ・デス等の行為を禁止することを禁止します。モラルがあればルールはいらない。真ん中を開けてください」と。

2020年のコロナ禍から4年、coldrainは「モラルあればルールなし」という世界を大前提にして、スタートを切りたい気持ちがあったのだろう。下の世代をフックアックし、音楽シーンを活気づけるためにも、ラウド・ロックの火を灯してはいけない。今日の、地獄釜のように煮え滾ったガイシホールの景色は一生忘れないだろう。今後の未来により一層期待が膨らむ、凄まじいワンマン公演であった。

(荒金良介)

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