映画『リトル・リチャード』シネマート新宿のトークイベントに臼井ミトン×高橋芳朗が登壇

ロックンロールの偉大なる創設者のひとり、リトル・リチャードのその知られざる史実と素顔を描く感動のヒューマンドキュメンタリー『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』が3月1日(金)より、シネマート新宿ほか絶賛公開中です!

本作の公開を記念して、3月9日(土)にトークイベントが開催。シンガーソングライター・ラジオDJの臼井ミトン、音楽ジャーナリストの高橋芳朗をゲストに迎えてのトークが繰り広げられた。

【臼井ミトン×高橋芳朗 @シネマート新宿】

映画『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』公開記念舞台挨拶が3月9日、シネマート新宿にて開催され、シンガーソングライター・ラジオDJの臼井ミトン、音楽ジャーナリストの高橋芳朗がトークショーを行った。

本作は、1950年代半ばに彗星のごとく音楽シーンに現れ、ビートルズやザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、デイヴィッド・ボーイなど偉大なるミュージシャンたちに多大なる影響を与え、自らをロックンロールの創造主と称したリトル・リチャードの人生を描いたドキュメンタリー。アーカイヴ映像に残されたリチャード自身の発言を軸に、リトル・リチャードの親族や関係者、識者に加えて、ミック・ジャガーやポール・マッカートニー、デイヴィッド・ボウイら著名なミュージシャンからの証言によってリチャードという人間が綴られる。

今回のトークテーマは、映画でもあまり触れられていなかった60年代後半から70年代にかけてのアーティストとしてのリトル・リチャードの動きを曲と共に振り返るというもの。

高橋氏は「そもそも50年代に活躍したロックンロールのパイオニア、チャック・ベリーやボー・ディドリー、ジェリー・リー・ルイスのような人たちが、60年代、70年代に出した曲というのは、まともに聴かれていない」と述べると、臼井氏も「実際に60年代、70年代にビートルズが出て、そのあとシンガーソングライターの時代になって、ファンクとかソウルミュージックが出てきて、50年代の音楽があまり振り返られることがなかった時代だったので、ロックンロールのパイオニアたちは、非常に苦しい時代だった」と解説する。

そんななか、60年代後半から70年代にかけてリトル・リチャードが残した曲にはかなり格好いいものがあり、他のアーティストとは一線を画した魅力があったという。

最初に披露された曲は66年にOKEHレーベルから発売された「POOR DOG」。高橋氏は「当時のモータウンソングと比べても遜色がない。ガンガンピアノを弾いてロックのものすごいエネルギーでやっていた50年代の曲とはちょっと趣が違う」と解説すると、臼井氏も「モータウンが切り開いた都会的でポップなソウルというマーケットを意識した曲調になっています」とリトル・リチャードの順応性に着目する。

さらに「I Don’t Want to Discuss It」のイントロを披露すると、高橋氏は「イギリス人にめちゃくちゃ人気のある曲で、ロッド・スチュアートがカバーしていました」と触れ「ロックンロールのパイオニアで、ある意味でピークを過ぎたときに発表された曲を、当時の人気アーティストにリメイクされていたのは、かなりレアケース」とリトル・リチャードの影響力の大きさを強調する。

次は70年代。「REPRISE」というレーベルに移籍した後に出した「Greenwood, Mississippi」を流すと、臼井氏は「当時ものすごく流行っていたCCRというバンドを意識して書かれた曲。かなりスワンプ・ロックな風味で、いままでのロックンロールとも、60年代のポップソウルっぽい感じのどちらでもない」と、リトル・リチャードは時代に合わせて器用に音楽ジャンルを渡り歩いているアーティストであると証言する。

また1970年にリトル・リチャードがリリースしたアルバム「The Rill Thing」では、リトル・リチャードに憧れていたと語るビートルズの曲を時代に合わせてカバーしていたり、1958年にリトル・リチャードがリリースした「Keep A-Knockin’」のドラムのイントロに触れ、1970年に自身の曲をセルフオマージュした「Dew Drop Inn」を流すと、レッド・ツェッペリンの名曲「Rock and Roll」が本曲を引用していると解説するなど、いかに多くのアーティストがリトル・リチャードに影響を受け、多くの曲を引用しているかという事実を述べていた。

「80年代に入ってもリトル・リチャードの影響力は衰えることがなかった」と語る高橋氏は「『The Rill Thing』というタイトル曲は、定番のブレイクビートとして100曲以上にサンプリングされている。こうしてロックンロールパイオニアの人が、70年代に残した作品が、こうやって後々90年代とか2000年代に入ってヒップホップ的な観点から再評価されるということはほぼないんです」と特別な存在のアーティストであることを語る。

こうした特徴に加え、臼井氏も高橋氏も「歌のうまさが半端ない」と、リトル・リチャードのボーカリストとしての魅力を述べると、映画のハイライトである1997年1月27日、米ロサンゼルスのシュライン・オーディトリアムで開かれた第24回アメリカン・ミュージック・アウォードで功労賞受賞した際の歌唱力を絶賛していた。

製作・監督:リサ・コルテス(『プレシャス』製作総指揮)
出演:リトル・リチャード、ミック・ジャガー、トム・ジョーンズ、ナイル・ロジャーズ、ノーナ・ヘンドリックス、ビリー・ポーター、ジョン・ウォーターズ
2023年/アメリカ/101分/カラー/ビスタ/5.1ch/DCP/原題:LITTLE RICHARD:I AM EVERYTHING
字幕:堀上香/字幕監修:ピーター・バラカン オリジナル・サウントトラックCD:ユニバーサル クラシックス&ジャズ
提供・配給:キングレコード  宣伝:ポイント・セット little-richard.com 
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