kein、TOUR 2025 「delusional inflammation」ツアーファイナル ライブレポート到着!10月9日に東京・Spotify O-WESTにて追加公演決定

kein(カイン)のMajor 2nd EP『delusional inflammation(ディルージョナル・インフラメーション)』をひっさげたTOUR 2025 「delusional inflammation」。ツアーファイナルを迎えたSUPERNOVA KAWASAKI公演のライブレポートが到着!

7月20日、kein TOUR 2025「delusional inflammation」の最終公演がSUPERNOVA KAWASAKIで行なわれ、大阪、名古屋、川崎と続いたkeinの夏季ショート・ツアーが幕を閉じた。いわゆるMCが皆無に近いことでも知られるフロントマンの眞呼は、この夜も片手で数えきれる程度の回数しか歌詞以外の言葉を発することがなかったが、二度目のアンコールに応えて演奏された「暖炉の果実」を歌い終え、最後の最後、ステージを去る間際の彼の口から聞こえてきたのは「10月に会いましょう」という発言だった。思いがけぬ追加公演決定の報に、フロアは歓喜の声をあげる。約100分間に及んだ濃密なライブは、その瞬間をもって大盛況のうちに終了を迎えたのだった。

今回のツアーは、『delusional inflammation』なる新作EPが去る7月9日にリリースされたことを受けてのもの。彼らは昨年11月には『PARADOXON DOLORIS』と題されたEPを発表しており、今作はメジャーからの第2弾作品ということになる。双方のタイトルを直訳すれば前作が「逆説的・苦痛」、今作が「妄想による炎症」といった意味であり、どこか病理的な言葉で命名された両者には、一対を成すかのようなコンセプチュアルな匂いも感じられる。

ただ、この公演に先がけてメンバーたちに話を聞いたところによれば、このMajor 2nd EPの制作プランは、前作とそれに伴うツアーを経たうえで、ごく自然に生まれてきたものなのだという。もっと具体的に言うならば「曲数のあまり多くない作品をもうひとつ作ろう」という漠然としたアイディアは、前回のツアー最終公演の打ち上げの席での他愛のない会話の中から出てきたのだそうだ。そうした背景を聞いた際に筆者が感じたのは、現在のkeinが<経験豊かな大人たちが計画的に動かしているバンド>であると同時に、<偶発的な流れや発想に従って動くことができる自由度の高さ>を持ち合わせているということだった。

言い換えれば、良い意味での無邪気さと、思いついたことを行動に移すための知識と実行力を併せ持っているということになるだろう。実際、このバンドは遠い昔に解散を経ているわけだが、当時と復活後の現在の違いについて、aie(g)は「単純に言えば年齢。未熟なバンドと、プロフェッショナルが集まったバンドの差だと思う」と語っていた。その言葉にも重なるような、良い意味での無邪気さ、無軌道さと、思いついたことを行動に移すための知識と実行力を、現在の彼らは併せ持っているのだ。

そうしたある種の両面性のようなものは、他にも見てとれる。たとえばアンダーグラウンドの空気感とメジャーのクオリティ、理屈抜きの部分と理論に裏付けられた部分、抜け出せない闇のような空気感と、勝手に身体が動き出すような高揚感――そういった、なかなか一度には得がたいものが現在のこのバンドの中には共存しているのだ。演奏と歌声が不協和音スレスレのところで噛み合うかのような独特かつ絶妙なバランス感覚も、このバンドならではの持ち味のひとつだといえる。

眞呼は、一般的にいい曲とされるもののメロディについて「美しいと思えない」と言う。それは塗り絵のようなもの、つまり下絵の枠組みからはみ出さないように塗られただけのものでしかない、とも。そんな発言を聞いた時、筆者は、水彩画には独特の滲みがあること、色が塗り重ねられた絵画には奥行きや立体感があることを思い出しながら、彼ならではの歌唱の持ち味の理由を少しばかり理解できたように思えたのだった。そして、そうしたある種のいびつさ、違和感に近いものが、そのまま独特のフックになっているのだ。

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