The Cheserasera -メジャー2年目にして辿り着いた、肯定的決意に満ちたリアル

圧倒的なポジティブを提示した「YES」から約5ヶ月、2ndフルアルバム「Time To Go」を引っ提げスタートした、The Cheserasera初のワンマン・ツアーのファイナルが、Shibuya WWWで行われた。
「WHATEVER WILL BE, WILL BE」リリース直後、下北沢SHELTERで開催を予定していたフリーライブの中止、そして昨年5月に本日の会場であるワンマン公演延期と、その”挫折”を受け入れることで「YES」を手にし、その道しるべのままに次へ向かった「Time To Go」。
こうして迎えたツアー・ファイナルは、過去のリベンジなどではなく、ロック・バンドとして純粋に音楽に向き合った”その先”を見せた。
「Que sera sera」のSEがフルコーラスで響き渡り、ステージへ姿を見せたメンバーには、会場後方から見ていてもわかるくらいの自信で溢れている。
対バンではなく、全公演ワンマンの全国ツアーを行ったことで、「Time To Go」を中心としたライブでの成果が、確実にバンドに宿っていることは容易に想像できる。
しかし、それだけではない”何か”が更にあるような気がしている中、「ファンファーレ」がスタートした。そしてその瞬間、ステージから発せられる音と共に、その”何か”の答えを浴びることとなる。
一切の迷いのない美代 一貴(Dr)のビート、地を這うグルーヴィな重低音を響かせる西田 裕作(Ba)。そして、髪を振り乱しながらギターを掻き鳴らし、全身全霊の声を届ける宍戸 翼(Vo,G)。
3ピースだからこそのダイナミズムを余すことなく披露し、そのアンサンブルから発せられるのは、間違いなくロック・バンドとしての生き様だ。
それはステージングの随所で見られることとなり、「Time To Go」を作り上げたことで、それまでの楽曲たちまでもがその決意とも取れる”攻めの姿勢”を纏っているようだ。
中盤、「ラストワルツ」の演奏を終えた後、宍戸から会場に語られたMCが、今のThe Cheseraseraそのものだった。
この日、会場にいた全ての人に向けられた言葉の1つ1つがリアルで、本来であればこの言葉たちはその場にいた人のものであるが、今回は敢えて記したい。
そして、その先へ向かうThe Cheseraseraを是非ライブ会場で感じて欲しい。


—今日はワンマンだし、せっかくなんで身の上話をしたいと思います。ちょっと長い話だけど、良かったら聞いて下さい。僕たちはメジャー・デビューして2年経ちました。僕個人は、メジャー・デビューなんて信じられない頃に、デビューが決まったんです。僕が元々歌を作り始めたのが、自分がイライラした時とか悲しい思いをした時に歌を作ってたんですね。だから、漠然と”売れたいなぁ”と思っていたんですけど、到底それには値しないくらいで、自分がただ好きに歌っていたくらい。
メジャー・デビューしてからの1年目は、特にラジオとかインタビューとかで「The Cheseraseraはどんな音楽ですか?」とか「どこを目指しますか?」って訊かれる時に、”別にそういうのないんだけどな”って。だけど、言わなきゃいけないから何かを言っていたんだけど。メンバーは考えていたかもしれないけど、自分たちをどう見せようとかは、僕はまだまだ未熟だったから。レコード会社の人とか事務所の人とか、すごく色んなアドバイスを貰って、割と悩みながらやっていたのが1年目。
それで、もっと強い自分で立ち向かわなないといけないと思ったんです。だから自分たちの意見や”これやったらおかしいかもしれない”っていうことも、スタッフにぶつけて話し合うようにしました。それでできたのが「YES」で。良いこととか悪いこと関係なく、全て肯定していきたい、愛していきたいと思って、作ったアルバム。
そして、すぐに「Time To Go」を作りました。これが肯定した自分で、先に進んで行きたい、そこから先の自分を描いて行きたいと。自分の正義を信じて欲しいし、俺は俺の正義を信じるし、みんな正しいと思ってるから。だから、平和になれば良いなって(笑)。
自分たちの音楽って、ここ2年間でやっと分かってきたんですけど、つまんない毎日とかをちょっとマシにすることができる音楽。僕はそういう想いで作ってきて、そしてこんなにたくさんの人に聴いて貰って。
僕の音楽は楽しい場所をより楽しくする音楽じゃないかもしれないけど、ちょっとくじけそうになってしまったり、頑張んないとなって思う毎日の中で、少し色を添えたりとか背中を押したりとか、そんなことができる音楽をやってるんじゃないかなって思って、ちょっと自分に自信がつきました。
これからも、僕は僕の歌を作っていこうと思っていますので、これからもThe Cheseraseraを宜しくお願いします。

1

2 3