R2Y+J インタビューvol.45

2013年に結成された”R2Y+J(リリィ・ジョーカー)”。 A・O・I(Vocal & Guitar)が在籍していたSHAZNA、そしてLüna(Bass & Side Vocal)が在籍しているEins:Vierの名を遍く示していたならば、もしかしたらR2Y+Jは存在していなかったかもしれない。そう思わされる程の活動を3年もの間、あくまで自分たちのペース、世界観を乱さずに行ってきた。そんな彼らが、遂に1st full album「LIMIT CODE」をドロップする。彼らが拘ってきた楽曲、A・O・I / Lüna / T-Tの間に繋がれている、絶対的な”信頼”という絆。その全ての要素が、このアルバムに封じ込められている。R2Y+J結成からの全てを4パートに渡りお届けする。

—2人であのとき言ってたことをもう1回やろうよ

─今から3年前の2013年に、LünaさんA・O・Iさんと創作を開始されたとありますが、元々は以前のバンドで同じ事務所でしたし、接点はその頃からですか?

Lüna:そうです。同じ事務所にいたときに、当時のイベントなどの打ち上げで話をするようになって、音楽的な趣味とかも一緒で話が合ってバッチリみたいな(笑)。大きく括るとUKロックの音楽だったんですけど、会話で一番登場したのがPLACEBOでしたね。その頃は、僕がEins:VierでA・O・IくんはSHAZNAだったんですけど、2000年くらいの同じ時期に僕はEins:Vierが解散して、A・O・IくんはSHAZNAの活動がストップして、ちょうど2人ともフリーになったんです。実はそこで「だったら一緒に曲作りでもやってみようか?」って、スタジオに入っていたんです。

A・O・I:たまたま同じタイミングでしたね。

Lüna:2人きりでスタジオに篭ってやってたんですけど、色んなタイミングもあって、その時はうまく立ち上がらなかったんですけど、そういうことを経ているんです。

─全然知らなかったお話で驚きが大きいのですが、それは”ユニット”なのか”バンド”なのかといった形態よりも、まず音を出してみよう!みたいな?

Lüna:そう。ライブとかも決めていなかったし、終われば毎晩飲みに行こうみたいなね(笑)。

A・O・I:家が近かったんですよ。

Lüna:そうだったね。それで、立ち上がらなくなって会う機会も減って、お互いに音楽活動を続けていたのは知っていましたけど、かなりの月日が経っていました。で、あるときにA・O・Iくんがやってるバンドの主催イベントのお誘いを人づてにもらって。

A・O・I:当時、SHAZNAと並行してIZAMと人時くんをサポートにしていたalcali-5をやっていたんですけど、その主催イベントにLünaさんのバンド(unwas)を誘ってみようと思って。それが10年振り(笑)。

Lüna:「もちろん出るよ!」って。確か、渋谷La mamaだったんですけど、その日の打ち上げで楽しく飲んでて。ちょうど、そのとき出演したバンドはT-Tと組んでたんですけど、そのタイミングでギターを探してたんですよ。「これ、ダメ元でA・O・Iくんに手伝ってって頼んでみようか?」って。で、お願いしたら快く承諾してくれて。

A・O・I:「ライブが近々あるから、観に来て」ってお話をもらって、確か新宿MARSに行って。

T-T:僕はそのタイミングで、初めてA・O・Iさんとお会いして。

─もちろん、R2Y+Jではないにしろ、この3人での音出し自体はその時のバンドでもあったんですね。

Lüna:そうです。A・O・Iくんと音楽的な趣味が近いのは元から知っていたんで、バンドのサポートをしてもらうにはバッチリだったし。ただ、そのバンド自体はうまく行かなくなって、だったら「2人であのとき言ってたことをもう1回やろうよ」ってことを言ったのが、2013年。

─そのタイミングでは、まだT-Tさんを誘っていなかったんですか?

Lüna:2000年のときと一緒で、最初は「曲を作ってみよう」だったので。で、進めていくうちにA・O・Iくんも気に入ってくれてた、T-Tも仲間にしようということに。

─単純な質問なのですが、LünaさんもA・O・Iさんも、これまでの経歴から鑑みてもメインコンポーザー同士だと思うんです。その2人が生み出す楽曲には、お互いのどういったケミストリーを感じていらっしゃるのでしょうか?

A・O・I:というよりも、簡単に言えば原始的な方法ができることですね。原曲を僕が持ち込んで、リズム隊に関してはLünaさんが主体となって、上物に関しては僕が主体となって、スタジオでセッションしながら作るのが基本です。だから、デモ・テープをお互いに持ち寄って、曲作りをしていくスタイルを取っていないんですよ。それこそ、スタジオにあるホワイトボードにコードやメロディのアイディアがあったら書くだけで、リズムとかは書いていないし、ジャムりながらですね。

─なるほど。”バンドの基本”をやれる3人とも言えますよね。

A・O・I:そう。

Lüna:1個のきっかけがあったら、それにみんなでバッと広げていく感じ。それこそ、サビから始める曲もあれば、曲のオープニングだけのイメージから広げることもあるし、どれを掴んでいくかで全然違います。

T-T:僕なんかは、曲自体をスタジオの当日に聴くんで、そこに乗っかってリズムを入れていってますしね。

Lüna:そうやってると、”きた!”って閃きが舞い降りて(笑)、ドラム・パターンはこうしてっていう、1つのきっかけになったりね。

─その一瞬一瞬の反応で構築することは、始めたばかりのバンドでは大変なのかな?と思ってしまうのですが。

A・O・I:最初に考えていたコード進行でさえ変えますし、それこそ最初につけたメロディーも変えるんで、臨機応変に(笑)。みんなでやってて、光るものがあればそれを捕まえて作っていくし、煮詰まったら寝かしておく。

Lüna:実はA・O・Iくんが持ってきてくれる曲は、不思議なくらい自分の中にすっと入ってくるんですよ。「こんなんやりたくないな」っていうのが、今まで1つもなかった。色んなバラエティの曲を持ってきてくれるし、そのどれをも広げていきたくなるんです。そうしてると、最初の頃は僕からもネタを持っていっていたんですけど、もうお任せでいいかなって(笑)。だから、今は広げる方が楽しいですね。

─”表現者”という意味では、互いのエゴや顕示欲が出ていてもおかしくないのかなと思うんですけど、そこまでお互いがお互いを尊重できているのは何故なのでしょうか?

A・O・I:2000年当時、僕がLünaさんとやりたかった理由でもあるんですけど、ライブで弾いているLünaさんがカッコイイ。加えて、何を弾いてもLünaさんっていう芯がブレない。そのテイストが、自分の曲とマッチするイメージがあって。それを成立させるには、お互いのキャッチボールはありますけど、いかに”LünaさんがLünaさんとして向き合ってもらえるか”っていうのがありますね。もう1つは、Lünaさんが僕以上に俯瞰で全体を見れる人だというのがわかっているんです。曲自体もそうだし、アルバム・バンド全体まで、色んな角度から見たときに、納得できるポイントを見つけてくれるという信頼があるので、基本的に任せられるのがありますね。

─各メンバーが、バンドに対して真っ直ぐに向き合えば、良いものができるという確信があるからなんでしょうね。

A・O・I:そうですね。納得ができるカッコイイものをとにかく作りたい、良いものをみんなに聴かせたいっていう気持ちが強いんです。なので、もっとノリの良いアップ・テンポな曲やライブで盛り上がれる曲って、これまでのバンド経験を考えてもあったら楽だなとか思いますけど…多分、そのうちできると思います(笑)。

一同:(爆笑)。

A・O・I:みんなで”コールアンドレスポンス”できるとかね。煽れる曲とかって、嫌いじゃない筈なんですけどね(笑)、自然にできると思います。

Lüna:多分ね、無理やりそういう曲を作ると、ガッカリするパターンはよくあるので(笑)。各自違うかもしれないけど、そもそも僕の中で”盛り上げよう”というのがないんです。そういう要素があった方な人間ですけど、今は自分自身が盛り上がりたい要素の方が強いから。きっとその辺は、A・O・Iくんがやってくれるかな(笑)。もちろん、それに乗っかったりもするけど、自分から”来い来い!”って感じではないですね。

T-T:A・O・Iさんが言ったみたいに、今は盛り上げる曲という要素はないですけど、自分的にもライブで気持ち良く叩けて、それがお客さんにも伝わっていたら良いかなとは思いますけどね。もちろん、そういう曲もあったらあったで良いかもしれないですけど。

A・O・I:T-Tには煽ってもらいたいって思うんだけど。僕が歌いながら弾いているので、ライブ中は表現することで精一杯なんですよね。だからドラム・ソロじゃないですけど、ブリッジの部分でお客さんを煽るようなパフォーマンスをね。そういった意味では、本当だったら1番オーディエンスに近いところにいるかなと。僕がそういうことをしたりしても良いんだろうけど、突然それをやってしまうと、歌と曲があまりにも繋がってこないというか(笑)。

Lüna:お客さんを盛り上げることプラス、A・O・Iくんからの指令は、もっと自分をアピールして、3ピースの三角形で埋もれるなよっていう。

T-T:現在アピール中です(笑)。

Lüna:1ステージ、フルフェイスのヘルメットを被ってな(笑)。

─(笑)。それってアイコンタクトできてます?

Lüna:アイコンタクトがないです(笑)。頷きとか?

T-T:こっちからは見えてるんですよ(笑)。

A・O・I:目を合わせたくない(笑)?

T-T:いえいえ、合わせたいんですよ!元々は1st Maxi Single「LOST/SONIC WAVE/ANSWER」のジャケットで被ってたのが最初ですけど、初期の頃のライブはそのまま被ってたんです。

A・O・I:当初、スペイシーな感じを出したくて。”宇宙服を着る”っていうアイディアもあったりしましたし。T-Tくんに、バンドのアイコンじゃないですけど”被ったらカッコイイ”って盛り上がって。しかも「被っていても叩ける」と言っていただいたんで(笑)。実際にスタジオでやったら、カッコ良かったんですよ(笑)。

T-T:頭がグラン・グランでしたけどね(笑)。

A・O・I:「LOST」のミュージックビデオもT-Tくんをフィーチャーしていて、カッコ良くてうまいんです。

T-T:実は水も飲めないし、汗も拭けないんですけどね(笑)。

A・O・I:最近は被ってないよね?

T-T:今はサングラスで落ち着いてますね。このミュージックビデオを撮るとき、Lünaさんと一緒にヘルメットを買いに行ったんですけど、最初は透明だったんですよ。それをスプレーで黒く塗ってるんで、何も見えてないんです。

─“スペイシーさ”というアイディアの結晶ですよ(笑)。因みにR2Y+Jというバンド名自体や表記にも、そういった要素を含んでいるのでしょうか?

A・O・I:このアルファベットをチョイスした意味はあるんですけど、現状はシークレットです。まあ、字面としての” R2Y+J”って、単純にカッコイイなっていう。そこから、それをどういう風に読ませようかっていうのは後から付けました。

Lüna:1個だけ、A・O・Iくんと2000年くらいにやろうとしていたユニットの名前は、◯◯ジョーカーにしようと言っていたんです。”R2Y+J”を考えたときは、全く意識をしていなかったんですけど、最後がJになったとき“ジョーカーじゃん!”っていう。

─繋がりますね。3人で集まったタイミングで、その表記や読みが決まっていったと。

Lüna:それがですね、ある事情で主催イベントをやらなくてはいけなくなってしまって。

─1st LIVE「R2Y+J主催EVENT R2Y’s Park area 0.0〜破壊の迷宮〜」ですね。

A・O・I:そうです。2013年の春に「スタジオに入ってみよう」っていうところから始まったんですけど、その年の7月5日に、知り合いのイベントからお誘いがあったんですよ。最初は「試しにやってみようか?」っていう。そういうことがあると、バンド名も決めないといけないですし、制作スピードもアップするし(笑)。期限がないと、いつまでもやっちゃうしね (笑)。それに合わせて、僕は当初ギターのつもりだったんで、ヴォーカルをどうしようとか曲をどうしようとか考えていたら、そのイベント主催のバンドが飛んじゃったんですよ。そしたら、そのライブハウスの担当の方から「主催でやりませんか?」という話になってしまい(笑)。でもやってみようかなって。

Lüna:しかも、そのときはA・O・Iくんが歌うことさえも決まっていなかったんです。

A・O・I:元々は、曲の土台はこの3人がいればカッコイイものが作れるのは分かっていたんで、漠然とですけど後からヴォーカルを入れるつもりだったので。でも、イベントが決まっちゃったから…。

Lüna:その日は、ゲスト・ヴォーカルという形で、何人かに歌ってもらって。もちろん、A・O・Iくんも歌って。

─A・O・I UNPLUGGEDの活動もあったので、逆にA・O・Iさんが歌うことを予定されていなかったのは意外でした。

A・O・I:バンドで歌いたい気持ちはあったんですけど、ヴォーカルを入れるということが、新しい出会いを産むことでもあるし、チャンスでもあるんですよ。自分で言うと、ギターに専念することは、1つのパターンでもあるし。ただ、2000年にLünaさんとやろうとしていたときは、自分が歌うつもりでいたんです。その感覚があったんで、歌えるタイミングがあればなと精進していて(笑)。

Lüna:(笑)。イベントのゲスト・ヴォーカルのために、オリジナルをやるわけなんでデモ・テープを作らないとダメでしょ?その仮歌をA・O・Iくんが歌って、仕上がったものを俺とT-Tで聴いたんですけど”これ、メッチャカッコ良くね?”って。「だったら、A・O・Iくんにやってもらおうよ」っていう話をしたら、A・O・Iくんも歌いたいって言ってくれて、それでバッチリじゃんていう。イベント自体は、色んな人にお願いしたあとだったんで、それはお祭り的に出ていただいたんですけど、俺たちの中では、そのタイミングで”3ピースでやっていこう”というのは固まりましたね。

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