映画史の闇の中から忽然とその名を表した選りすぐりの、怪作、珍作、奇作、迷作、異作が今年も目白押し。昨年は『ウィッカーマンfinal cut』などで好評を博しましたが、第3回目となる本年の注目作品は、『去年マリエンバートで』『ブルジョアジーの密かな愉しみ』のデルフィーヌ・セイリグが謎めいた優雅な伯爵夫人に扮するハリー・クーメル監督『赤い唇』。
今回お披露目された予告編でも、セイリグの魅惑的な姿を確認することができる。
そして、映像の魔術師ニコラス・ローグの衝撃のサイコスリラー『赤い影』。愛娘クリスティンを水難事故で亡くしたバクスター夫妻は仕事で訪れたヴェネチアで老姉妹と邂逅する。
霊媒師を名乗る盲目の妹が、クリスティンの霊を呼び出し、そこから物語は思わぬ方向へ。ヴェネチアの迷宮のような街並みを彷徨いながら亡き娘の姿を追い求めることになる…。今回、実に28年ぶりにスクリーンに登場する。
その他、デヴィッド・リンチなどにも大きな影響を与えたことで知られる、怪奇幻想映画史に輝くカルトホラー『恐怖の足跡』、イギリスの代表的な監督4人が演出した5話から成るホラーアンソロジーの古典『デッド・オブ・ナイト』、ルイス・ブニュエル監督『銀河』、『アルチバルト・デラクルスの犯罪的人生』の2作品。ブラジルの白熱の大地が生んだ狂気の作家グラウベル・ローシャが描いた壮大な伝説と神話の世界『アントニオ・ダス・モルテス』、『チャパクワ』のコンラッド・ルークスがヘルマン・ヘッセ原作で制作した『シッダールタ』、推理小説史の古典的名作『黄色の部屋の秘密』をマルセル・レルビエが監督したトーキー創世記のミステリー『黄色の部屋』、ボリス・カーロフ、ベラ・ルゴシ2大怪優の初共演作として名高い怪奇ホラー『黒猫』、映画史上初めて”幽霊”を登場させたクラシック・ホラー『呪いの家』、そして昨年大ヒットした『ウィッカーマン final cut』のアンコール上映、計12作品が上映される。
また、前回解禁された絵本作家スズキコージの書下ろしのビジュアルに加えて、もうひとつの新ビジュアルもお披露目した。
『赤い唇』の海外ビジュアルに手を加えた日本独自のビジュアルとなる。
緊急事態もなんのその、奇想天外な映画祭の幕開けは9月に迫っている。是非、心してお待ち頂きたい。
奇想天外映画祭 Bizarre Film Festival Vol.3
場所:新宿K’s Cinema 新宿区新宿3丁目35−13 SHOWAKANビル
日時:2021年9月4日(土)~24日(金)
配給:アダンソニア/配給協力・宣伝:ブライトホース・フィルム/イラスト:スズキコージ/デザイン:渡辺純/字幕:林かんな(『赤い唇』『『デッド・オブ・ナイト』『恐怖の足跡』『アルチバルト・デラクルスの犯罪的人生』)/協力:仙元浩平