Bring Me The Horizon、小島秀夫の新作ゲームに提供した新曲“Ludens”について語る

Bring Me The Horizon

ブリング・ミー・ザ・ホライズンは来たるプレイステーション4用のゲーム・ソフト『デス・ストランディング』のサウンドトラック『デス・ストランディング:タイムフォール』に提供した新曲“Ludens”が公開されている。

『デス・ストランディング:タイムフォール』はゲーム・クリエイターの小島秀夫が手掛けるゲームのサウンドトラックで、“Ludens”はブリング・ミー・ザ・ホライズンにとって全英1位を獲得した最新作『アモ』以来の新曲となっている。サウンドトラックにはブリング・ミー・ザ・ホライズンのほか、メジャー・レイザー&カリード、オーラ&アラン・ウォーカー、ザ・ネイバーフッド、フローラ・キャッシュ、ミッシオ、カサビアンのサージ・ピッツォーノによるザ・S.L.P.らが参加していることが明らかになっている。

今回公開された“Ludens”は、ブリング・ミー・ザ・ホライズンの新たな方向性を示唆する楽曲となっている。

「『アモ』の収録曲のどれとも異なるサウンドになっているし、これまでにリリースしてきたどのアルバムの楽曲とも異なるサウンドになっているんだ」とオリヴァー・サイクスは『NME』に語っている。「異なる音色を使っているんだよ。この曲は5日間で仕上げなければいけなかったんだ。ソニーや小島さんと話し合いを進めていたんだけどさ。(彼が手がけた)『メタルギアソリッド』の大ファンだったから、俺はすごく興奮したんだ。小島さんは俺のお気に入りの開発者なんだよ。レジェンドだよね。あらゆる法律的な問題のために、一時は『もう実現しないな』っていうところまで来てしまっていたんだ」

「そんな時にマネージャーから電話をもらって、『ようやく実現するよ。けど、1週間でやらなければいけないんだ』ということを言われてね。俺たちとしては、『まだ何も書いていないよ! もっと猶予をもらえたりしない? 仮の音源としてデモを送るのではダメかい?』っていう感じだったんだどさ。『土曜日の午後1時までに送らなければ収録されない』ということを言われたんだ」

“Ludens”の音源はこちらから。

オリヴァー・サイクスは次のように続けている。「その時は東欧をツアーしていた時で、子供が生まれたばかりだったリー(・マリア/ギタリスト)がバンドを抜けていた時期でね。それで、俺とジョーダン(・フィッシュ/キーボーディスト)と、彼のパソコンだけで作らなければいけなかったんだ。俺としてはどうしてもやりたくて、『挑戦して失敗するか、何もやらないかだ』っていうことを言ったんだ。『いいから、とにかくやってみようぜ』っていうことになって、毎日ホテルの部屋をスタジオとして使いながらこの曲を作ったんだ。精神的にはものすごくつらかったよ、正直なところね。どこから始めていいかも分からなかった。『一体何を歌えばいいんだ?』っていう感じだったよ」

「TVゲームとの関連性を持たせたいとは思いながらも、直接的に歌うことは避けたかったんだ。小島さんのウェブサイトとかを見ながら、彼のあらゆる考え方に目を通した。情報を詰め込んでいた中で、『私たちはホモ・サピエンスではない。私たちはホモ・ルーデンスなんだ』っていう言葉を見つけてね。『ルーデンス』はラテン語で『遊び人』を意味している言葉で、彼がいかに創造性こそが最も重要な資産で、人類の希望だと考えているかについてを表した言葉になっているんだ。たとえ花が枯れて世界が終焉に向かっていても、人類なら適応する術を見つけられるから、この地球に人類さえいれば希望はあるという文言と共に記されていてね」

「俺たちは発明し、創造する。あらゆるひどい行いをするかもしれないけど、あらゆる素晴らしい行いもしているということなんだ」

ブリング・ミー・ザ・ホライズンのインタヴューはこちらから。

ーーゲームからインスピレーションを得た後で、どのような制作過程を辿ることになったのでしょうか?

「海を救うために微生物を生成しようとしている16歳の子についての記事を読んでね。その気があれば何事にも挑戦できるということに気づかされたんだ。傷つけられ、破壊されても、僕らが行動を起こせば回復させることができるということにね」

ーーこの曲は政治的な楽曲だと言えるでしょうか?

「偽善者のようには思われたくないんだけどさ。俺たちはこれまで、音楽で人間の感情や人間の置かれた状況を歌ってきたわけでね。世の中のことを歌ったことはなかったんだ。どうすれば歌えるのだろうと考えたよ。俺は政治に突き動かされるような人間ではないからね。そうはなりたくないと思っている。政治の話はしたくないし、政治的な曲を歌いたくないとも思っているよ。けど、環境問題を話す時には政治に言及せざるを得ないわけでさ。歌にするいいきっかけになると思ったんだ」

ーーつまり、歌詞は現在の情勢について歌ったものになっていると?

「ゲームとかから引用しているとはいえ、歌われているのはもっと大局的なことだよ。俺たちが自分たち自身のヒーローにならなければいけないと思ったんだ。物事に対する新たな視点が必要なんだよ。(16歳の環境保護活動家である)グレタ・トゥーンベリが俺たちに示してくれたようにね。とんでもないことだけど、彼女は俺たちでも自分自身のリーダーになれるということを証明してくれたんだ。他の人たちを待つ必要はないんだよ。世の中で起きている間違ったことに言及しながら、その解決策を歌ったものになっているよ」

ーー音楽的には『アモ』と比較して“Ludens”はどのような位置付けになるのでしょうか?

「分からないな。今もまだ興奮しているんだ。TVゲーム的な要素も入っているからね。『マトリックス』を思い出すよ。『マトリックス』のサントラは俺の少年時代における究極のサントラだったんだ。TVゲームの傑作に楽曲を提供できるという魅力に惹かれてね。そういう視点から膨らませていったんだ。サイバーパンク的な要素も、ポスト・ニューメタル的な要素も含まれている。普段の楽曲では挑戦したことがなかったような要素が含まれているよ。ものすごくシネマティックな曲なんだ」

ーーニュー・アルバムの構想はあるのでしょうか?

「言うまでもなく、計画はあるよ。“Ludens”は新作からの最初の楽曲ということになる。俺たちはもしかすると、これ以上アルバムをリリースしないかもしれないんだ。短いレコードをリリースできたらと思っているんだよ。何かをすると宣言した後でそれが実現しないなんてことにはなりたくないんだけど、来年は複数のアルバムをリリースするよ」

ーーアルバムというフォーマットに嫌気が差してしまったのでしょうか?

「『アモ』は心から誇りに思っている。でも、作るのには骨が折れたよね。俺としても『何のためにやってるんだ? この曲を演奏することはないんじゃないか』なんて思ったところもあったからね。自分たちの曲に自分たちのクリエティヴィティを配分しなきゃならないわけでさ。クールなポップ・ソングを書いたとして、バランスをとるためにヘヴィな楽曲を書いたりだとかね。その後で、シングルのことも考え始めなければいけないわけでさ」

ーーつまり、今後は定期的にブリング・ミー・ザ・ホライズンの新曲を聴けるということでしょうか?

「どうすれば15曲のアルバムを作ることができるかなんてことを腰を据えて考える時には、あらゆるくだらないことを考慮しなければいけないわけでさ。そんなことは考えたくないんだ。“Ludens”の制作は大変だったけど、楽しいものだった。TVゲームに提供する用の楽曲を1曲書けばいいだけだったからね。世界で最もビッグな曲を書く必要はないわけでさ。『どうあるべきかを考えずに済む曲を書こう』って言っているほうが俺は好きだね」

ーーそのようなアプローチを取ることで、より実験的な楽曲を作ることに繋がると思いますか?

「俺たちのアルバムがすごくポップなところからヘヴィになって、エレクトロニックになっていったのが気に入っているんだ。そして、今後はそれぞれがはっきりとしたヴァイブを持ったアルバムをたくさん作っていきたいんだよ。感情が目まぐるしく変わっていくような作品にする必要はないと思っていて、『ムカつくからこのアルバムを聴く』だったり、少し憂鬱な気分の時には別のものを聴く、ということでいいと思っているんだ。常に歩み寄る部分はあるわけでね。でも、自分としてはちょっと暗いエレクトロな感じな曲を書くのが好きなんだ」

ーーつまり、みんなをハッピーにさせることよりも、自分たちを楽しませていくということですか?

「俺たちが徹底的にやってしまったら、俺たちのファンベースがそんなに喜ばないのは分かってるよ。でも、直球のブリング・ミー・ザ・ホライズンのアルバムを出して、それからすぐにエレクトロのアルバムを出したら、誰も気にしないんじゃないかな。だって、次のがまた出るわけでね。3年間で唯一のアルバムというんじゃなくて、その時期のアルバムなんだよ」

先月、ブリング・ミー・ザ・ホライズンはアカデミー賞を受賞しているフォレスト・ウィテカーが出演した“In The Dark”のミュージック・ビデオが公開されている。オリー・サイクスはこの曲について社会的/環境的変化を求めている若い世代に影響を受けたと語っている。

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