映像制作集団「空族」が日本映画界に殴り込みをかけた出世作にして、10年代を代表する1本と今なお語り継がれる『サウダーヂ』が、遂にデジタルリマスター版で劇場公開が決定した。
監督、富田克也は当時トラック運転手をしながら、相澤虎之助ら仲間と共に、映像制作集団「空族」を勝手に名乗り、1年半の歳月をかけて自主制作でこの映画を作り上げた。
2011年に公開されると、第33回ナント三大陸映画祭グランプリ<金の気球賞>、第66回毎日映画コンクール<日本映画優秀賞&監督賞>、<第26回 高崎映画祭 最優秀作品賞>、「キネマ旬報」2011年日本映画年間ベストテン6位にも輝いた、まさに日本映画界に大旋風を巻き起こしたのが本作だ。
当時は、映画館もデジタル化の流れが推し進められていた時期に、あえて35mmフィルムでの上映を敢行するという暴挙も話題となった。
主演のひとり、猛を演じたのは、山梨のヒップホップクルーsitllichimiyaのラッパー田我流。本作公開後に発表された「B級映画のように2」(12年)が発表されると、一躍、日本のヒップホップ界を牽引するラッパーとしてその名を広めた。シャッター街で、この国の腐りきった現状をフリースタイルでラップする姿は、映画史に残るシーンとして今も名高い。
空族はその後もタイ・ラオスオールロケ『バンコクナイツ』(16年)、仏教をテーマに据えた『典座 -TENZO-』(19年)と変わらず規格外の作品を制作し続けている。そして、来るべき『サウダーヂ』の続編的な作品も現在、山梨で釣りをしながら構想中だという。今後の空族の動向を待ちつつ、10年後の『サウダーヂ』をデジタルリマスター版で是非、お楽しみ頂きたい。
またK’s cinemaでの上映期間中は、特別上映として前作『国道20号線』(77分)、及び『サウダーヂ』のリサーチの為に制作したドキュメンタリー『FURUSATO2009』(48分)の上映も予定されている。
サウダーヂ デジタルリマスター版
2021年10月23日(土)よりK’s cinemaにて公開!以降全国順次
2021年/35mm→DCP/5.1ch/167min
監督:富田克也 脚本:相澤虎之助/富田克也 撮影:高野貴子 録音・音響効果:山﨑厳
助監督:河上健太郎 編集:富田克也/高野貴子
エグゼクティブ・プロデューサー:笹本貴之 プロデューサー:伊達浩太朗/富田智美
制作:空族/『サウダーヂ』製作委員会 配給:空族 ©2021 kuzoku
出演:鷹野毅、伊藤仁、田我流、ディーチャイ・パウイーナ、尾﨑愛、工藤千枝、デニス・オリヴェイラ・デ・ハマツ、イエダ・デ・アルメイダ・ハマツ、野口雄介、村田進二、亜矢乃、熊田ちか、中島朋人(鉄割アルバトロスケット)