ポール・ウェラーは5月にウェンブリー・スタジアムで行われたFAカップの決勝で国歌にブーイングしたリヴァプールのサポーターに賛辞を寄せている。
リヴァプールは5月14日に行われた決勝戦でPK戦の末に6対5でチェルシーを破ってFAカップで優勝している。一部のサポーターは政府への不満を表明するために国歌の“God Save The Queen”にブーイングをしていた。その後、ボリス・ジョンソン首相は辞任することを発表している。
現地時間7月10日にライサム・フェスティバルのヘッドライナーを務めたポール・ウェラーは観客に次のように呼びかけている。「今夜、リヴァプールから来てくれた人はいるかい?」
ポール・ウェラーは次のように続けている。「国歌にブーイングした人に伝えたいんだ。本当に感謝しているとね。西ロンドンから感謝を送るよ。あいつらに歯向かってくれたんだ。まあ、余談だけどね」
ポール・ウェラーはこの日のライヴを締めくくるザ・ジャムの“Town Called Malice”を演奏する前に「新しい国歌のために立ち上がってほしい」と観客に伝えている。
リヴァプールのサポーターによる国歌へのブーイングはマーガレット・サッチャー率いる保守党政権がリヴァプールの「計画的衰退」を発表した1980年代から広く知られることとなった。
1989年にリヴァプール対ノッティンガム・フォレスト戦で起きたヒルズボロの悲劇における失態が原因で、こうした感情はさらに強まることになった。
ボリス・ジョンソン首相についてはリヴァプール出身のケン・ビグリーがイラクで武装勢力に拉致されて殺害された事件について物議を醸すコメントをしたことで、リヴァプール市民の反感を買う格好となっていた。
ポール・ウェラーはかつて“Town Called Malice”の背景にある意味について次のように語っている。「サッチャーと保守党が当時、労働者階級のコミュニティを解体しようとしたことについて自分が感じた怒り、多くの人が感じた怒りを描こうとしたんだ」
ポール・ウェラーは昨年BBC交響楽団と共演した『オーケストレイテッド・ソングブック』がリリースされている。