『ワース 命の値段』“命に値段をつけた”弁護士 ケネス・ファインバーグ氏インタビュー

ワース 命の値段

アカデミー賞®作品賞受賞『スポットライト 世紀のスクープ』製作陣×マイケル・キートン主演『ワース 命の値段』が2月23日(木・祝)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開、到着したインタビューでは、自身の経験が映画化することや、キートンが自身を演じることについて、キートンとのエピソードや“命に値段をつける“仕事で気づいたことなどを振り返る。

―自身の経験が映画化することについて
「僕の回顧録の本『What Is Life Worth?』では、当時このプロジェクトで経験した葛藤を伝えられた、という自負はあありました。でも映画では表現することができないんじゃないか・・・と疑っていました。でも映画を観て、監督、脚本家、役者たちの素晴らしい仕事により当時直面した葛藤や感情を正確に伝えられていると感動しました。苦悩やストレス、議会がどのような要求をしてきたのか、2001年に経験したことが非常に正確に描かれている。だから100%この映画を支持しています。」

―マイケル・キートンが自身を演じることについて
「ボストン訛り、歩き方や動き方の特徴まで掴み、学生に計算式について教えているシーンがあるけど、あまりに私そっくりで目を見はりました!『バットマン』のマイケル・キートンが…!?と最初は驚きましたが、僕の仕事に興味を持って、知りたいと聞いてきてくれたことが嬉しかったし、彼の素晴らしい演技を見て心動かさました。今では仲の良い友人でもあり、本当に感謝しています。」

―マイケル・キートンの映画化への熱意
「キートンは、補償基金プロジェクトに関わっている僕らがどんな仕事をして、どういう状況だったのかを世界中の人に伝えることが重要だと言ってくれました。議会で補償基金プロジェクトの法案が通ったとき、共和党、民主党、関係なく全員一致でした。いかにアメリカ社会が一丸となっていたのか、そしてこの物語を伝えることが彼のモチベーションでもあり、主演だけでなくプロデューサーとしても参加したいと思ってくれました。」

―マイケル・キートンとのエピソード
「キートンは取材でどんな風に役作りにアプローチしたのか、僕の訛りや癖をどう表現したのかと、しょっちゅう聞かれていました。彼は『それに答えるのは構わないが、ファインバーグさんに取材するべきだ。実際に仕事をしたのはファインバークさんだし、僕は役者にすぎないから、ファインバーグさんの話を聞こう!』と僕を立てて、敬意を表してくれました。控えめで目立とうという気持ちがない、とても素敵な人柄でした。」

―被害者遺族とのエピソード
「プロジェクトを達成する上で、被害者遺族と直接会って声を聞くことは大事だと感じ、2500人の遺族や被害者に会いました。なかでも印象的だったのは、消防士の夫を亡くした女性。二人の幼い子どもがいて、自身が末期ガンで寿命も数週間と僅かであることから、補償金の受給を早めて欲しいと言いました。そのお金で子どもたちの面倒を見てくれる後見人を探す、ということで支払いを早めたんです。そのお金を受け取って8週間後、彼女は亡くなってしまいました・・・。そういう出来事に心は衰弱していきました。でもチームで励まし合い、家族に支えられたことで乗り越えることができたんです。」

―“命に値段をつける“仕事で気づいたこと
「9.11補償基金はテロ13日後に批准し、被害者は悲しむ、悼む時間がありませんでした。愛する人を失った遺族や、怪我を負った方々にとっては、お金よりも感情を吐き出す場が必要でした。このプロジェクトは被害者遺族の感情に寄り添い、敬意を示すことがかかせなかったんです。」

―9.11テロ被害者補償のプロジェクトが人生に与えた影響
「人生に長く残る大きなインパクトを残した。プロジェクトが終わった後、法律事務所のサイズを小さくして、自分がやりたいと思う仕事を後悔のないように選ぶようになりました。9.11の被害者のことを考えたとき、人生は最高のプランを持っていても、変わってしまうことがあります。ABCという選択をすると思っていても、その通りにはいかないですから。テロの被害者はその日、ただ仕事に行って、そんな悲劇が起こるとは思っている訳なかった。この経験から、未来をあまり先まで計画しない運命論者的になりました。」

ワース 命の値段

監督:サラ・コランジェロ 脚本:マックス・ボレンスタイン 出演:マイケル・キートン、スタンリー・トゥッチ、エイミー・ライアン
2019年/アメリカ/英語/118分/シネスコ/カラー/5.1ch/原題:WORTH /日本語字幕:髙内朝子 © 2020 WILW Holdings LLC. All Rights Reserved.
提供:ギャガ、ロングライド 配給:ロングライド  公式サイト:longride.jp/worth/

関連NEWS

  1. Jack White

    Jack White、映画『007』シリーズに提供した主題歌「Another Way To Die」の秘話を語る

  2. Elton John

    Elton John、映画『ロケットマン』がロシアで同性愛の描写をカットされたことに言及

  3. ランディ・ローズ

    『ランディ・ローズ』ギターソロ飛ばす問題、飛ばす人はつべこべ言わずにこれを観ろ!

  4. MONTEREY POP

    『MONTEREY POP モンタレー・ポップ』SUGIZO、高田漣、荒井晴彦、オノ セイゲン、石橋静河 亀渕昭信、サエキけんぞう他著名人よりコメント到着&Tシャツデザイン完成

  5. Beatles

    Beatlesを知らない世界を描いた映画『イエスタデイ』、邦題&日本公開日が決定

  6. Andra Day

    Andra Day、Billie Holidayの伝記映画に提供した「Tigress & Tweed」の音源が公開

  7. ボブ・マーリー:ONE LOVE

    映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』全米興収2週連続1位獲得。特別映像「世界中で巻き起こるワンラヴ旋風」公開

  8. ジェントルメン

    ガイ・リッチー監督最新作『ジェントルメン』、主演のマシュー・マコノヒーをはじめ、ミシェル・ドッカリー、ヘンリー・ゴールディングのインタビュー映像を解禁

  9. バッドマン

    『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』仏コメディ界の風雲児ラショーが影響された作品とは

  10. シェイン

    映画『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』の再上映中

  11. ジャニス・ジョプリン、映画『ジャニス』が東阪のZeppで上映されることが決定

  12. 映画『COUNT ME IN』ファン必見の貴重な秘蔵エピソードを解禁

  13. オッペンハイマー

    『オッペンハイマー』、平野啓一郎&大島育宙が『オッペンハイマー』を語る。 公開記念トークイベント開催決定

  14. モーターヘッド、最後の公式ライヴ映像『クリーン・ユア・クロック』より予告編映像が公開

  15. 『アミューズメント・パーク』公開記念『ザ・クレイジーズ』『マーティン/呪われた吸血少年』予告編・追加場面写真解禁

  1. GLAY

    GLAY、62ndシングルでENHYPEN・JAYとのコラボレーションを発表

    2024.04.24

  2. CIVIL WAR

    全米2週連続1位!A24『CIVIL WAR』10月日本公開決定

    2024.04.24

  3. ゲスの極み乙女、前作から約4年振りとなる待望のフルアルバム『ディ…

    2024.04.24

  4. LUNA SEA

    LUNA SEA 結成35周年記念ツアー第3弾「EPSODE 3」 遂に解禁! 5月29…

    2024.04.24

  5. androp

    androp、元yonawoのヴォーカル荒谷翔大をフィーチャリングして制作…

    2024.04.24

  6. 水曜日のカンパネラ

    水曜日のカンパネラ、「聖徳太子」が日本のMVで初めてNYの“トライベ…

    2024.04.24

  7. BAND-MAID

    BAND-MAID、INCUBUSの来日公演のゲストで「Bestie」ライブ初披露を…

    2024.04.24

  8. ずっと真夜中でいいのに。

    ずっと真夜中でいいのに。映画「好きでも嫌いなあまのじゃく」主題…

    2024.04.24

  9. Rednex

    Rednexの「Cotton Eye Joe」、トレンドになったことでYouTubeにおけ…

    2024.04.24

  10. Linda Carriere

    Linda Carriere、1977年に細野晴臣プロデュースで制作された幻のア…

    2024.04.24

  1. 山人音楽祭

    山人音楽祭2024、第2弾出演アーティストにThe BONEZ、おとぼけビ〜…

    2024.04.18

  2. GREENROOM FESTIVAL

    GREENROOM FESTIVAL ’24、タイムテーブルを発表

    2024.04.16

  3. JOIN ALIVE 2024、第一弾出演アーティスト発表

    2024.04.11

  4. SUMMER SONIC 2024、第3弾追加アーティストを発表

    2024.04.10

  5. METROCK

    METROCK2024 全出演アーティスト発表、第7弾出演アーティストにNEWS…

    2024.04.05

  6. SiM主催フェス「DEAD POP FESTiVAL 2024」、出演アーティスト第二弾…

    2024.04.01

  7. RISING SUN ROCK FESTIVAL

    RISING SUN ROCK FESTIVAL 2024 in EZO 第1弾出演アーティスト発表

    2024.04.01

  8. Slow LIVE

    「大人のミニフェス」Slow LIVE、今年も東京・池上本門寺にて8/30(…

    2024.03.22

  9. 04 Limited Sazabys

    04 Limited Sazabys主催の野外フェス<YON FES 2024> 第1弾出演アー…

    2024.03.13