異性愛を常識とする当時の概念や、それを支えてきた映画のあり方に対抗した90年代の<ニュー・クィア・シネマ>というムーブメントを牽引し、インディカルチャーの旗手として知られるグレッグ・アラキ監督作『ドゥーム・ジェネレーション』(劇場公開:1996年7月6日)『ノーウェア』(劇場公開:1998年8月3日)が約30年の時を経て待望のデジタルリマスター版でリバイバル公開が決定した。
今回、リバイバル公開が決定したのは、一貫してティーンエイジャーを主人公に同性愛者のリアルライフを描いてきた彼が、プロデューサーからの「異性愛映画を撮ったら制作予算をあげよう」という提案に対し、彼なりの反骨精神あふれるパンクなやり方で、「表向きは”異性愛映画”としつつも、”史上最もクィアな異性愛映画“を作りたかった」と語る『ドゥーム・ジェネレーション』。そして、監督自身も「3部作の中で間違いなく最も野心的な作品」と評し、まるでジェットコースターのようなスピード感で若者たちの〈終末の日〉の一夜を描いた『ノーウェア』。
この2作品に『トータリー・ファックト・アップ』(1994)を加えた3作は<ティーン・アポカリプス・トリロジー>と称され、いずれの作品もティーンエイジャーの若者たちを描いている。
その理由についてグレッグ・アラキは「ティーンエイジャーの映画を作るのが好きなんだ。彼らの”ホルモンが狂った生活”には、忘れられない高揚感がある。彼らは1日に10回生きては死ぬような興味深い題材であり、私がこの世界について感じていることを体現している」と語っている。
また同時に、自身の映画を「アウトサイダー、パンクス、クィア、社会やコミュニティに馴染めない人たちのためのもの」と位置付け、<ニュー・クィア・シネマ>というムーブメントを牽引した。
今回、解禁となったのは2作品を組み合わせた合同のティザービジュアル。
『ドゥーム・ジェネレーション』の写真は、ヒロイン・エイミー(ローズ・マッゴーワン)が煙草をくわえて目を伏せた表情を捉えたもの。黒のボブスタイルと真っ赤なリップからは芯の強さがうかがえる。
『ノーウェア』の写真は、主人公ダーク(ジェームズ・デュバル)と惹かれ合う青年モンゴメリー(ネイザン・ベクストン)がベッドの上で裸で見つめ合っている、ロマンスの予感と同時にどこか不穏な気配も漂う2ショット。
若者たちの生命力と激しいエモーションを感じさせるヴィヴィッドな色彩が印象的だ。
ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版
監督・脚本・編集:グレッグ・アラキ
出演:ローズ・マッゴーワン、ジェームズ・デュバル、ジョナサン・シェック
製作:グレッグ・アラキ、ニコル・アルビブ、アンドレア・スパーリング
1995年/アメリカ・フランス/カラー/ビスタ/5.1ch/英語/84分/
日本語字幕:佐藤南/原題:The Doom Generation/
映倫区分:R-15+
配給:パルコ 宣伝:パルコ、SUNDAE
©1995 UGC and the teen angst movie company
ノーウェア デジタルリマスター版
監督・脚本・編集:グレッグ・アラキ
出演:ジェームズ・デュバル、レイチェル・トゥルー、ネイザン・ベクストン、
キアラ・マストロヤンニ、デビ―・マザール 他
製作:グレッグ・アラキ、ニコル・アルビブ他
1997年/アメリカ・フランス/カラー/ビスタ/英語/5.1ch /83分/
日本語字幕:長 夏実/原題:Nowhere/映倫区分:R-15+
配給:パルコ 宣伝:パルコ、SUNDAE
©1997. all rights reserved. kill.