エルヴィス・コステロは亡くなったバート・バカラックとスタジオで仕事をした時のことを振り返っている。
エルヴィス・コステロとバート・バカラックは1989年に同じスタジオでレコーディングをしていた時に出会って、そこから約30年間にわたって一緒に仕事をしてきたという。
『ザ・タイムズ』紙のインタヴューでエルヴィス・コステロは1998年発表のアルバム『ペインテッド・フロム・メモリー』で仕事をした時のことを振り返っている。「すごく思いやりのある人だけれど、音楽を邪魔するものは許さないんだ。曲の表面にある親しみやすさや優雅さによって曲の核心にある力強さが隠されているんだよ」
エルヴィス・コステロは次のように続けている。「メロディーの形が決まると、話に応じてくれることはない。『3連符にすると、3音節の単語を使うことができるんですが……』なんて言っても、『いや、無理だね』と言われてしまう。彼のアプローチは激しく厳しいもので、従ってしまうんだよ」
エルヴィス・コステロとバート・バカラックの「偶然の出会い」は遠隔で仕事やコラボレーションを行っている今の状況だと起こらないだろうともエルヴィス・コステロは語っている。「今じゃ偶然の出会いはないよね。だって、誰しもがラップトップでアルバムを作っているんだからね」
「バート・バカラックの名曲“24 Hours from Tulsa”で使われているのと同じサスペンションのマリンバを使っていたんだけど、彼が通路にいたから、聴いてもらったんだ。紳士的な対応だったよ」
バート・バカラックは自然死で2月8日に亡くなっている。享年94際だった。訃報を受けて、エルヴィス・コステロは次のように述べている。「今日はとても悲しんでいます。しかし、電話がかかってきた水曜日の深夜も今朝も自分にとってバート・バカラックの存在は変わりません。彼が、僕たちが書くことになったかもしれない曲がもう生まれることがないことは受け入れなければなりません。彼のことを過去形で考えなければならないことは今後も苦しめられるでしょう」
エルヴィス・コステロとバート・バカラックが一緒に取り組んだ楽曲はボックスセット『ザ・ソングス・オブ・バカラック&コステロ』として3月3日にリリースされる。
また、エルヴィス・コステロはニューヨークのグラマシー・シアターで行う10公演の初日にバート・バカラックの“Baby, It’s You”を披露している。