イーグルスは名曲“Hotel California”の手書きの歌詞を巡る裁判で検察側が歌詞を盗んだとされていた3人を起訴することを取りやめたことが明らかになっている。
これはドン・ヘンリーが数千ページに及ぶ証拠を公開することを拒否したためだとされている。ドン・ヘンリーは自身やバンドのマネージャーであるアーヴィング・エイゾフ、バンドの弁護士のEメールを含む非公開の6000ページに及ぶ証拠を検察側が見ることのできる秘匿特権を撤回しており、そのため検察側は起訴を取り下げたとされている。
アーロン・ジナンデス地方検事補は裁判所への書簡の中で弁護側は反対尋問の機会を与えられるべきだったと述べている。「ドン・ヘンリーの嘆願によって反対尋問から完全に守られていた2人を含め証人とバンドの弁護士は歌詞が盗まれたとする自分たちの立場にとって不利になると思われる情報を隠すために秘匿特権を利用したことは今や明らかです」
一方、ドン・ヘンリーの弁護士であるダニエル・M・ペトロチェリは米『ローリング・ストーン』誌に次のように語っている。「弁護士と依頼人の秘匿特権は我々の司法制度における根本的なガードレールであり、起訴や弁護のためにこれを放棄しなければならないことはほとんどありません。この事件の被害者であるドン・ヘンリーは不当な結果によって再び犠牲になってしまいました。民事裁判であらゆる権利を追求するつもりです」
2022年にグレン・ホロウィッツ、エドワード・コシンスキー、そしてロックの殿堂のキュレイターだったクレイグ・インシアーディの3人は“Hotel California”のほか、“Life In The Fast Lane”といった曲の手書きの歌詞を売却しようとしたことで訴えられている。
この歌詞は稀少本商だったグレン・ホロウィッツのところに2005年に持ち込まれたとのことで、グレン・ホロウィッツ、クレイグ・インシアーディ、貴重品販売業のエドワード・コシンスキーはこれらをオークション・ハウスに持ち込み始め、ドン・ヘンリーに買い戻させようとしたという。
AP通信によれば、3人は共謀罪およびその他の様々な容疑について無罪を主張している。弁護士は「存在しない犯罪性を主張して、高名な専門家の評判を不当に傷つけている」と述べている。
イーグルスは作家のエド・サンダースが70年代後半にバンドの伝記に取り組み始めた時にこれらの歌詞を扱うことを許可したと言われている。エド・サンダースはそれらが入った書類パッドを2005年に5万ドル(約750万円)で売却したという。
ドン・ヘンリーはエド・サンダースに手書きの歌詞を譲ったりはしていないと主張して、エド・サンダースは裁判では起訴されていない。しかし、訴えられた3人の弁護士はそうではないことを示唆し、ドン・ヘンリーの言い分に疑問を呈していた。