ザ・ビートルズはアルバム『アビイ・ロード』で使用されたコンソールが修復された上でリヴァーブで売りに出されている。
EMIのTG12345レコーディング・コンソールは1969年発表の『アビイ・ロード』で使われており、ロンドンのレコーディング・スタジオのプロでありコレクターでもあるMJQリミテッドの公式リヴァーブ・ショップで10月29日より売りに出されている。
この唯一無二のコンソールはEMIのアビイ・ロード・スタジオのために1968年に特注されたもので、EMIが制作した17台のコンソールのうちの最初のものとなっている。コンソールはザ・ビートルズが『アビイ・ロード』で追い求めた野心的なサウンドにおいて重要な役割を果たしている。
コンソールは解体されて、50年間以上使われないままだったが、ザ・ビートルズと仕事をした元EMIのエンジニアであるブライアン・ギブソンの指示の下、5年をかけて修復されている。ブライアン・ギブソンとチームはコンソールを70%のオリジナル部品を使って組み立て、「交換部品も忠実に再現し、古い部品とシームレスに連動するようにした」という。
1960年代にこの機械を使って数々のザ・ビートルズのレコーディング・セッションに参加したデイヴ・ハリーズはコンソールについて次のように語っている。「『アビイ・ロード』は最高のアルバムの一つであり、レコーディング・コンソールのおかげで素晴らしいサウンドになりました。『アビイ・ロード』のレコーディング方法のおかげで、このアルバムはポップ・レコーディングの未来を決定づける独特のサウンドになったのです」
デイヴ・ハリーズは次のように続けている。「この特別なコンソールは一点ものです。唯一無二です。代わりのものはありません。現代のどんなコンソールにも負けないくらいいい音で、多くの点で超えるところがあります。というのも、当時、このコンソールは違った基準で作られていたからです。コストは問われませんでした。EMIは世界最高のものにするために作ったのです」
このコンソールは『アビイ・ロード』の制作に使われただけでなく、ザ・ビートルズの4人のメンバーのソロ作でも使用されている。ジョン・レノンは“Instant Karma!”で、ジョージ・ハリスンは『オール・シングス・マスト・パス』で、リンゴ・スターは『センチメンタル・ジャーニー』で、このコンソールを使用している。