レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドはイスラエル人ミュージシャンのドゥドゥ・タッサとの公演が中止になったことを受けて声明を発表している。
ジョニー・グリーンウッドは「遺憾ながら」公演が中止になったことを受けて、声明を発表して、次のように述べている。「会場と罪のないスタッフは公演を続行するのは安全でないと結論づけるのに十分な脅迫を受けました」
「ミュージシャンにパフォーマンスをさせないようにして、演奏を聴きたい人々にその機会を与えないことは検閲や口封じの手段であるのは明らかです」とジョニー・グリーンウッドは続けている。「会場に私たちの公演を中止するように威嚇しても中東の誰もが望む平和と正義を達成する手助けにはなりません。今回の中止は活動を行う人たちにとっては勝利として受け止められるでしょうが、めでたいことは一つもなく、ポジティブなことが達成されたとは思えません」
ジョニー・グリーンウッドはニーキャップに関する声明に100組以上の賛同の署名が集まっていることにも言及している。一部の政治家はフェスティバルのラインナップからニーキャップを外すようにはたらきかけており、ニーキャップ陣営は声明で「アーティストとして、芸術の自由に対する政治的抑圧に反対を表明する必要性を感じています」と述べている。
ジョニー・グリーンウッドは次のように述べている。「ニーキャップに判断を下すつもりはありませんが、彼らの表現の自由を支持する人が私たちの表現の自由を制限しようとする判断を下していることは本当に悲しいことだと述べておきます」
ジョニー・グリーンウッドはドゥドゥ・タッサとの音楽がいつか聴いてもらえることを望んでいるとして、次のように締めくくっている。「もしそうなったとしても、どこかの国、宗教、政治的大義の勝利ではありません。それは私たちが共有する音楽への愛と尊敬、そしてお互いへの勝利となるでしょう」声明にはジョニー・グリーンウッド、ドゥドゥ・タッサ、他のミュージシャンの署名が添えられている。
— Jonny Greenwood (@JnnyG) May 6, 2025
ジョニー・グリーンウッドの妻で、アーティストのシャローナ・カタンはイスラエル人で、イスラエル国防軍に所属していた甥がいたが、ハマスとの紛争で殺害されている。ジョニー・グリーンウッドはここ2年間でテルアヴィヴでドゥドゥ・タッサとの公演を行っている。
それを受けてイスラエルの学術・文化ボイコットのためのパレスチナ・キャンペーンは「大量虐殺をアートで帳消しにしている」とジョニー・グリーンウッドのことを批判していた。
昨年、ジョニー・グリーンウッドは次のように反論している。「ドゥドゥ・タッサとはコラボレーションをしてきて、2008年から音楽をリリースしてきました。プライベートではその前から一緒にやっています。アラブ人やユダヤ人のミュージシャンを結びつけるアートのプロジェクトは価値があると思っています。ユダヤの文化が何千年も前のイラクやイエメンにルーツがあることを思い出させてくれ、重要なことだと思うのです」
「とにかく、私たちの周りのすべての死と苦しみを止めることほど、“重要”なアートはありません。どうすればいいか? しかし、何もしないことはより悪い選択肢に思えます。イスラエルにユダヤ人として生まれたためにイスラエルのアーティストを黙らせることを求めることは、この終わりのない紛争の両陣営の理解につながるとは思えません」
「なので、これがこのバンドと音楽を作る理由です。私たちのやることを拒絶したり無視しても構わないですが、本当の動機を理解してもらえればと思いますし、疑念や憎悪を抱くことなく、音楽に反応してもらえればと思います」
レディオヘッドはキャリアを通して何度かイスラエル公演を行っているが、2017年の公演はなかでも物議を醸すこととなっている。
2017年、イスラエル公演を行うことに対してはパレスチナの支持者から中止を求める声が上がっていた。ライヴの発表を受けてロジャー・ウォーターズやサーストン・ムーア、ヤング・ファーザーズといったミュージシャンはその決定に「再考を促す」公開書簡に署名している。
当時、トム・ヨークは米『ローリング・ストーン』誌のインタヴューでこの件について次のように語っていた。「この件について話すのは今回が初めてなんだ。何も喋りたくない自分もいた。だって、言ったことが残り火に火をつけることになるからね。でも同時に、もし僕に正直であってほしいと思うなら、こうした歳月を経て、僕らが道徳的な決断をできないと僕の尊敬するアーティストが思っているのには本当にムカついてるんだ。見下した態度で僕らに話してきて、そんなことをする権利があると思っていることに唖然としたよ。途方もなくね」
フィル・セルウェイも公演のキャンセルを求める声があったものの、イスラエル公演をやったバンドの決断を擁護している。イスラエルを公演をやったことで、一線を超えることになったかどうかについてはフィル・セルウェイは次のように答えている。「正直、分からないよ。それはあそこでライヴをやる決断をすることになった根本的なものではなかったわけでね。僕らは自分の言ったことを守ったし、正しい判断をしたと思ってるよ」