ブルース・スプリングスティーンは未発表曲“Adelita”の音源が公開されている。
“Adelita”は完全未発表フル・アルバム7作を収録したボックスセット『トラックスII:ザ・ロスト・アルバムズ』に収録される。6月27日に発売となる『トラックスII:ザ・ロスト・アルバムズ』には全83曲(82曲の未発表トラック+アルバム未収録ヴァージョン1曲)が収められ、「キャリアの年表に豊かな章を書き入れ、今まで知られていなかった側面や、ジャンルを超えた多才ぶりも魅せつける」ものになるという。
“Adelita”の音源はこちらから。
“Adelita”は1997年9月に行われたセッションでレコーディングされた楽曲で、メキシコ北部の民俗音楽マリアッチのサウンドを取り入れた楽曲となっている。“Adelita”が収録されている未発表アルバム『イニョー』は、カリフォルニアからテキサスまでのメキシコとの国境を接する地域を舞台にした“国境が象徴する夢と現実の物語”を描いた作品集とのことで、ブルース・スプリングスティーンは1990年代、南西部をバイクで旅した際に、このようなテーマを探求することを思いついたという。
ブルース・スプリングスティーンは『イニョー』について次のように語っている。「『ロサンゼルス・タイムズ』紙では絶え間なく国境に関する報道がなされていた。市民の生活の大きな一部なんだ……『イニョー』は、カリフォルニア送水路沿いに、ヨセミテやデス・バレーをめざして、イニョー郡を通り、カリフォルニアを北上する長いドライヴの中で作られたレコードなんだ」
『イニョー』の収録曲の多くは1995~97年の『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』のソロ・アコースティック・ツアー中に書かれている。
「俺はその類いのソングライティングをとても楽しんでいた。『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』の(ソロ・アコースティック)ツアーでは夜にはホテルの部屋に帰って、そのスタイルで曲を書き続けた。というのは、『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』に続いて、同じようなレコードを出すつもりだった。でも、そうしなかった。『イニョー』はそこから生まれたもので、俺のお気に入りのひとつだ」
ブルース・スプリングスティーンは未発表だった7作について次のように語っている。「『トラックスII:ザ・ロスト・アルバムズ』はそれぞれがフル・アルバムだ。中にはミキシングの段階までいっていたのにリリースされなかったものもある。もう何年も自分で聴いてきて、親しい友だちだけに聴かせていた音楽なんだ。ようやくみんなにも聴いてもらう機会ができて喜んでいる。楽しんでくれることを願っているよ」
7枚の内容は、『ネブラスカ』と『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』を繋ぐ重要なリンクとしてローファイ・サウンドを探求した『LAガレージ・セッションズ’83』、グラミー賞、アカデミー賞を受賞、ドラム・ループやシンセサイザーのサウンドに挑戦した『ストリーツ・オブ・フィラデルフィア・セッションズ』、未完の映画のサウンドトラック作品『フェイスレス』、ペダル・スティールを擁する小編成のカントリー・バンド編成の『サムウェア・ノース・オブ・ナッシュヴィル』、国境の物語を豊かに織りなす『イニョー』、オーケストラ主導の20世紀半ばのフィルム・ノワールを彷彿させる『トワイライト・アワーズ』、アリーナにおあつらえ向きなEストリート・テイスト満載の『パーフェクト・ワールド』となっている。
また、未発表ボックス・セットから選りすぐりの20曲を収録したハイライト盤『ロスト・アンド・ファウンド:セレクションズ・フロム・ザ・ロスト・アルバムズ』も1CD(日本盤は高品質BSCD2)、2LP(輸入盤のみ)で同じく6月27日に発売となる。
『トラックスII:ザ・ロスト・アルバムズ』は、プロデューサーのジョン・ランダウ監修のもと、プロデューサーのロン・アニエッロとエンジニアのロブ・レブレーと共に、スプリングスティーンがニュージャージー州のスリル・ヒル・レコーディング(自宅スタジオ)にて編集されている。