フランツ・フェルディナンド、アレックス・カプラノスの発言と共に振り返る来日公演の歩み

今年2月に通算5作目となる最新作『オールウェイズ・アセンディング』をリリースしたフランツ・フェルディナンドが11月にジャパン・ツアーを行う。今年1月には新木場スタジオ・コーストで一夜限りの公演も行っているがこちらはアルバム・リリース前のプレショウで、新作を引っ提げた本格的なツアーは今度の来日公演となる。そこで、今回はフロントマンのアレックス・カプラノスに遠い記憶まで遡ってもらいながら、彼の発言を交えて、来日公演の歩みを振り返っていきたい。

初来日

「随分と昔のことだね」とアレックス・カプラノスはフランツ・フェルディナンドの初来日公演について振り返っている。2001年にスコットランドはグラスゴーで結成されたフランツ・フェルディナンドは、その翌年にドミノ・レコーズと契約を結び、シングル“Darts of Pleasure”で2003年にデビューを果たしている。彼らは翌2004年にリリースしたセカンド・シングル“Take Me Out”で早くも全英シングル・チャート3位の座を獲得すると、同曲は海を渡った世界各国のヒットチャートでもランクインを果たすこととなり、一躍UKバンドとしてのスターダムを駆け上がっている。フランツ・フェルディナンドが初めて来日公演を行ったのは、そんな2004年のフジロック・フェスティバルでのことだった。 「漠然と覚えているのは、初めて東京に行った時にその音と光にものすごく面食らったということでね」とアレックス・カプラノスは初めて東京の地に降り立った時のことについて語っている。「当時はどの雑誌も僕たちにインタヴューしたがっていたような気がするんだけど、通訳を通じて、同じような質問を繰り返しされていたんだ。途方に暮れるような経験だったね」と彼は続けている。当時のバンドへの注目度の高さは、アレックス・カプラノスの言葉を借りずとも、その年の2月にセルフタイトルのデビュー作をリリースしたばかりの彼らが、広大なグリーン・ステージをオーディエンスでいっぱいにしていたという事実からも明らかだった。 東京の音や光に圧倒されたというアレックス・カプラノスだが、日本の音楽そのものについては当初から関心があったのだという。彼は来日する前の日本の印象について次のように語っている。「僕は日本のノイズ・ミュージックのファンでさ。だから、何がメルツバウやボアダムスのようなアーティストにあんなにも力強い『音楽』を生み出させているのかっていうことがずっと気になっていたんだ」とアレックス・カプラノスは語っている。「僕には彼らの音楽が圧力弁を開けた時のような音に聴こえていたんだけど、日本に行ってからは少しだけ理解が深まったような気がしているよ」

日本武道館公演

フランツ・フェルディナンドが次に来日を果たしたのは、その年の11月で、デビューからの勢いそのままに、横浜、大阪、名古屋、東京を回った彼らにとって初となるジャパン・ツアーは、即日完売を記録している。彼らは翌年の2月、「最優秀ロック・パフォーマンス賞ヴォーカル入りデュオまたはグループ部門」と「最優秀オルタナティヴ・アルバム賞」の2部門でグラミー賞にノミネートされると、授賞式のオープニングでパフォーマンスするという栄誉にもあずかり、ブラック・アイド・ピーズやマルーン5、グウェン・ステファニーらと共にメドレー形式のパフォーマンスを行なっている。 そんな彼らの勢いは、2005年の9月にリリースしたセカンド・アルバム『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』でも留まるところを知らなかった。同作からのシングル“Do You Want To”が起用されていたソニー「ウォークマン」のCMは、今も日本の多くのファンの記憶に鮮明に残っていることだろう。デビュー作と同じくグラミー賞の「最優秀オルタナティヴ・アルバム賞」と“Do You Want To”で「最優秀ロック・パフォーマンス賞ヴォーカル入りデュオまたはグループ部門」にノミネートされた同作を携え、フランツ・フェルディナンドは日本武道館公演を含む3度目の来日公演を2006年の2月に行っている。 「かなり大きかったのを覚えているよ」とアレックス・カプラノスは日本武道館公演について語っている。日本人にとっては非常に由緒ある場所として知られる日本武道館だが、アレックス・カプラノスにとっても思い入れのある場所だったようで、彼は次のように明かしている。「他のアーティストたちが武道館で録ったライヴ・アルバムをたくさん持っているんだ。チープ・トリックとか、パブリック・イメージ・リミテッドとかね」

フェスのヘッドライナー

日本武道館公演を行った彼らはその年の7月、フジロック・フェスティバルにもヘッドライナーとして出演している。「すごくありがたいことだよね」と彼はヘッドライナーとしてフェスティバルに出演することについて語っている。フランツ・フェルディナンドはこの日のアンコールで、同日に出演していたザ・クリブスやザ・ズートンズ、ダーティ・プリティ・シングス、そして日本からASIAN KUNG-FU GENERATIONのメンバーをステージに上げて共に“Outsider”を披露している。 フランツ・フェルディナンドにとって、他のアーティストたちとの共演はどのような意味を持っているのだろうか? アレックス・カプラノスは次のように語っている。「コラボレーションはショウに変化をもたらすことができるんだよ。自然発生的なものに身を任せるのは、いつだって楽しいんだ」。彼らはその3年後の2009年にもフジロックでヘッドライナーを務め上げ、同年の11月には東名大を回る来日公演を行っている。 2004年にセルフタイトルのデビュー作、2005年にはセカンド・アルバムの『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』と、デビューから2作を短いスパンでリリースしてきた彼らだったが、3作目となる『トゥナイト』がリリースされたのは、前作からおよそ3年後の2009年の1月のことだった。「『トゥナイト』については、前2作よりも少しだけ時間を割いて作ったんだ」とアレックス・カプラノスは同作について語っている。「どちらかというと、実験的なプロセスだったね」 フランツ・フェルディナンドはその後、2012年にサマーソニック・フェスティバルに出演するために日本へ帰還し、ヘッドライナーを務めたグリーン・デイの前のスロットに出演している。バンドにとって初めてとなったサマーソニックのステージで、彼らは翌年にリリースされることになる通算4作目となるアルバム『ライト・ソーツ、ライト・ワーズ、ライト・アクション』からの新曲“Right Action”を披露している。2013年の8月に同作をリリースした彼らは、同年の11月に東京と大阪で来日公演を行い、翌2014年にはフジロックで3度目となるヘッドライナーを務めている。 彼らは2015年に再びサマーソニックで来日を果たすことになるのだが、フランツ・フェルディナンドとしてではなく、スパークスとのユニットであるF.F.S(フランツ・フェルディナンド&スパークス)として、レディオヘッドのトム・ヨークと共に1日目の深夜に開催されたHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERのヘッドライナーを務めている。アレックス・カプラノスは、F.F.Sとしての活動がバンドのキャリアに与えた影響について、次のように語っている。「普段よりも大きなグループで演奏するっていうのは興味深かったよ。とりわけ、F.F.Sのために楽曲を演奏するということはね」

5人体制になって

2012年の結成当初から、フロントマンのアレックス・カプラノス、ギタリスト兼キーボーディストのニック・マッカーシー、ベーシストのボブ・ハーディ、ドラマーのポール・トムソンという4人編成で活動してきたフランツ・フェルディナンドだったが、2016年の7月にはニック・マッカーシーがバンドから脱退することが発表されている。翌年の5月にはニック・マッカーシーの代役としてディーノ・バルドとジュリアン・コリーが加入することが発表され、以来、フランツ・フェルディナンドは5人編成のバンドとしてラインナップを新たに活動している。 5人体制となった彼らは、2018年の2月に通算5作目となる最新作『オールウェイズ・アセンディング』をリリースして、その直前には新木場スタジオコーストで一夜限りの来日公演を行っている。5人という新体制になった彼らだが、ラインナップの変更は少なからず彼らのライヴ・パフォーマンスに影響を与えているのだろうか? アレックス・カプラノスは次のように答えている。「そうだね。前とは異なるグループなんだ」と彼は語っている。「それぞれが違うことを一緒に演奏しているという感じでね。それがいい音を出しているんだ」

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