FUJI ROCK FESTIVAL 2018

FUJI ROCK FESTIVA

今年のフジロックフェスティバルでベスト・アクトの1〜20位を選んでみました。とはいっても、あれだけ多くのアーティストが出演するフジロックです。すべてのアーティストを観ることはできません。なので、あくまで独断で、編集部で観たいと思ったアーティストのなかから、議論を重ねて、このランキングを作成してみました。みなさんのベスト・アクトとぜひ較べてみてください。

20位 ジョニー・マー(7/28 GREEN STAGE)

白地に花柄という華やかなシャツ姿で颯爽とグリーン・ステージに登場する。

この時点でジョニー・マーの風格を感じずにいられない。

しかし、それはロックスター、というのとは少し違う。その佇まいとはロック・ギタリストのそれなのだ。前月にリリースした『コール・ザ・コメット』からの新曲“The Tracers”からスタートしたのだが、最新の曲をやっても、かつての曲をやっても、そのギタリストとしての佇まいがブレることはない。

UKのギタリストにはこうした佇まいの系譜というものがあって、例えば、ノエル・ギャラガーのライヴを見ていても、そうしたものを感じる。

ザ・スミスの名曲中の名曲“How Soon Is Now”が投下され、これでで締め括られるかと思いきや、最後には“There Is a Light That Never Goes Out”が! 今年のランキングをスタートさせるのにもってこいのアーティストだろう。

19位 ベン・ハワード(7/29 FIELD OF HEAVEN)

ブリット・アウォーズの新人賞受賞を含め、母国イギリスでは既に高い評価を得ているベン・ハワードの初来日となるパフォーマンスを観ようと、雨上がりのフィールド・オブ・ヘヴンには少なくない数のオーディエンスが集まっている。

予定より少し遅れることになったが、バンドメンバーと共にベン・ハワードが姿を現すと、新作からの“Towing The Line”でステージは始まった。

ストリングス隊を初めとする腕利きのバンドをバックに、新作を中心としたセットで待ちわびたオーディエンスたちを静謐な桃源郷へと誘っていく。

まるで箱庭のように緻密にバンドと共に組み上げられたアンサンブルがフィールド・オブ・ヘヴンに広がっていく様は気持ちよくてしょうがない。

途中、これまで日本に来られなかったことをベンが後悔する一幕があったけれど、彼は空白期間を埋めて余りあるステージを披露してくれた。

18位 ザ・フィーヴァー333(7/29 WHITE STAGE)

最終日のために温存していたエネルギーを午前中から奪いにきたのは、ジェイソン・アーロン・バトラー率いるザ・フィーヴァー333による強烈なロック・サウンドだった。

YouTubeでは決して体験できない現場ならではのパフォーマンスを見せるそのステージに圧倒されていると、フロントマンのジェイソンが服を脱いでパンツ一丁になり、最後までそのままでパフォーマンスは続いていく。

それに呼応するようにオーディエンスのヴォルテージも上がっていく一方で、ハイライトとなった、ステージ横にあるトラックによじ登ってのパフォーマンスも相まって、絶対にライヴを外さないバンドであるということを証明してみせた。

途中で大雨が降り出してもキッズたちが首を大きく揺らすことを止めることはなく、終演後も喝采がなかなか鳴り止まない。来年3月に決まった単独公演もぜひ多くの人に訪れてほしい。

17位 ダーティー・プロジェクターズ(7/29 RED MARQUEE)

“I Found It In U”、“Break-Thru”、“What Is The Time”と、わずか2週間前にリリースされたばかりの最新作『ランプ・リット・プローズ』の楽曲からダーティー・プロジェクターズによる2010年以来となるフジロックでのパフォーマンスはスタートした。フロントマンのデイヴ・ロングストレスと元メンバーのアンバー・コッフマンとの破局を境に、前回のラインナップとは総入れ替えと言っても差し支えないほどにラインナップが変わっているダーティー・プロジェクターズだが、冒頭から披露される最新作の3連発からは、布陣を新たにした彼らの覚悟がひしひしと伝わってくる。続けて披露された“Cannibal Orca”にはもちろん高い歓声が上がるのだが、昔の楽曲も今の地平で奏でられていたのが印象的だった。最後も最新作の“Right Now”で締め括られることになった今回のパフォーマンスは、新生ダーティー・プロジェクターズを宣言するのに十分なものだった。

16位 イヤーズ&イヤーズ(7/27 GREEN STAGE)

「マジカルな瞬間をありがとう!」と言って“Magical Moment”と題した曲を即興で披露してくれる少年のようなオリーの笑顔に、こちらも思わず笑顔になる。

最新作の“Sanctify”からスタートしたこの日のステージで驚かされたのは、何もかもをポップにしてしまう、まさに魔法のようなイヤーズ&イヤーズの試合巧者ぶりである。

デビュー作に収録されたアンセム“Desire”が早くも中盤で披露されるのだが、すべての楽曲がアンセムと化していたこの日のステージにおいては何ら問題がない。

「このギグを終わらせたくないな!」とオリーは非常に楽しそうに語っていたが、オーディエンスの誰もが同じことを思っていたに違いない。最後に代表曲である“King”で幕が下ろされるまで、そのポップネスのもたらす多幸感に浸り続けていた。

15位 レッツ・イート・グランマ(7/27 RED MARQUEE)

ステージ前方にシンセが2台置いてあるだけで、あとは後ろにドラムキットがあるのみ。非常にシンプルなステージ構成だが、あんなにもカラフルなエンタテインメントが待ち受けているとは思わなかった。

序盤で披露されたロサ・ウォルトンとジェニー・ホリングワースによるダンスが象徴的だったけれど、それは高校生が教室で遊んでいるような、ある種他愛もないものとも言えるのだけれど、そこにはインディペンデントな意志が貫かれていて、レッツ・イート・グランマならではの、レッツ・イート・グランマにしかできないパフォーマンスとなるのだ。

途中、ギターやサックスも登場したが、サポート・メンバーが入るわけでもなく、すべては自分たちで演奏し、彼女たち2人の世界として展開されていく。

今年リリースの最新作『アイム・オール・イヤーズ』が大きな評価を獲得している彼女たちだが、その実力を正面から証明するようなステージだった。

14位 ケイシー・マスグレイヴス(7/29 WHITE STAGE)

直前になって雨が降り始めたのが少し残念だったけれど、透明のカッパを羽織ったケイシー・マスグレイヴスが登場して最新作の“Velvet Elvis”からステージをスタートさせると、彼女の透き通った歌声に悪天候などまったく気にならなくなってしまった。

グラミー賞の新人賞にノミネートされた経歴が裏付けるようにカントリー・アーティストとしての素養は申し分ないわけだが、ピックを咥えて「ニッポンダイスキ」と日本への愛を表現する愛らしいキャラクターが加わると、ステージは彼女の色に染まっていく。

ポップと本物が当然のように同居する、それを体現してくれるのが彼女のライヴだ。降っていた雨も途中で上がり、ラストの“High Horse”で舞妓ダンサーと共にパフォーマンスを披露してくれる頃には、ホワイトステージにケイシー・マスグレイヴスの歌声と同じくらい晴れやかな青空が広がっていた。

13位 ボブ・ディラン(7/29 GREEN STAGE)

開演5分前にバンドメンバーが登場し、音を合わせるなか、続いてボブ・ディランがピアノにつく。この日のボブ・ディランはピアノに座っての演奏に終始し、ハーモニカを数曲で弾いた時以外はギターを持つこともステージの中央で歌うこともなく、ピアノの鍵盤に向き合ってパフォーマンスを行っていく。

あのボブ・ディランがフジロックフェスティバルに出演すること自体が一つの歴史的な出来事であり、曲間はもちろん、ピアノの椅子から立ち上がる度に、バンドとの巧みなセッションが奏でられる度に、観客からは拍手と歓声で迎えられる。一挙手一投足に歓声が上がるとはまさにこのことだ。

例の如くライヴ独自のアレンジで幅広い自身のカタログから楽曲が披露され、“When I Paint My Masterpiece”というレアな楽曲も披露されたが、最後はフェスティバルに集まった観客を祝福するように“Blowin’ in the Wind”で締め括られた。

歌声以外は声を発さなかったボブ・ディランだが、最後にバンドメンバーと共に一列に並んでこちらに満足げな表情を向けてくれた。あの表情こそが、すべてを物語っていたのかもしれない。

12位 サーペントウィズフィート(7/29 RED MARQUEE)

観客の数が多かったとは言い難いものの、集まったオーディエンスの恍惚とした表情からは、彼らがサーペントウィズフィートことジョサイア・ワイズの歌声に間違いなく魅了されていたことが窺い知れた。

上下迷彩柄に身を包んだサーペントウィズフィートは、他にはキーボードが置かれたのみというミニマルなステージを、ゴスペルなどのこれまでのキャリアに裏付けられた確かなヴォーカルをもって歌声だけでステージを掌握してみせる。

その歌声は、儚くも心の奥にまで届くような力強さも持ち合わせており、エクスペリメンタルなサウンドにもピアノでの弾き語りにも埋もれることなく、まさに迷彩柄のように聴く者の心と一体化していく。この声に形容などつけたくない、そんな思いが頭をよぎる。

曲を重ねるごとに大きくなっていく歓声もすごかったが、その才能の大きさを感じるステージだった。

11位 マック・デマルコ(7/27 RED MARQUEE)

すっかり辺りが暗くなった夜のレッドマーキーに、映画『スター・ウォーズ』のテーマが大音量で鳴り響く。マック・デマルコの登場である。本当にこの人にはこういうチャーミングなユーモアがよく似合う。

最新作の“On the Level”からパフォーマンスをスタートさせると、伸びやかな彼の音楽とキャラクターにオーディエンスは早くも心を掴まれてしまう。何の注釈も飾りも見栄もつけずに、そのままの自身を体現する音楽として、彼はギター・ミュージックを奏でていく。

そんな音楽がどれだけ貴重であるかは言うまでもない。バックスクリーンに投影されたゲーム『MOTHER』シリーズや『北斗の拳』へのオマージュ、“上を向いて歩こう”のカヴァー(なんとポスト・マローンもエッグシェイカーで参加)など、日本人にも馴染み深いステージを観せてくれたマック・デマルコ。

観る度に何度でも観たいと思わせてくれる、そんなライヴをやってくれる人だ。

10位 スーパーオーガニズム(7/28 RED MARQUEE)

今年のフジロックも後半戦に入った頃、日本人ヴォーカリストのオロノ率いるスーパーオーガニズムは、レッドマーキーに文字通り、テントから溢れてしまう数のオーディエンスを集めていた。

この人たちのバックグラウンドについては既に十分語られているので、ここでは触れないが、音源や数々の映像で感じた面白さがライヴにもきっちりと反映されていて嬉しくなる。

ライヴだろうと、音源だろうと、ウェブだろうと、この人たちのアティテュードというのは360度なのだろう。しかし、オロノも観客を煽る時は切れ味鋭い掛け声をオーディエンスに投げかけ、ファットなビートとベースは身体の中心部に響いてくる。

今回のフジロックでのステージは「新しい」ことも既に証明されてしまっているなかでのパフォーマンスとなったわけだが、最後の“Everybody Wants To Famous”と“Something For Your M.I.N.D.”を迎えた大歓声を挙げるまでもなく、ポップ・ミュージック/ライヴ・アクトとしての真っ当な体力で勝ちを収めてしまうのが、なんとも頼もしく思えた。

9位 N.E.R.D (7/27 GREEN STAGE)

「ここはロシアじゃないんだ」と言ってクラウドサーフィンを煽ったかと思えば、ケンドリック・ラマーの“Alright”やビヨンセとジェイ・Zの“APESHIT”といったファレル・ウィリアムスが手掛けた楽曲に、ネプチューンズが手掛けたグウェン・ステファニーの“Hollaback Girl”だって流されるし、さらにはダフト・パンクとの“Get Lucky”だって歌ってくれる。

1日目のヘッドライナーを務めたN.E.R.Dのライヴは、ヒップホップ的なアティテュードにロックンロールとDJが融合した、彼らのこれまでのキャリアを総括するまさにミックステープのようなライヴだった。プロデューサーとしてのアイデンティティを随所に散りばめたステージで、ライヴ・アクトとして声を枯らしてまで観客を牽引してくれるファレルのプロフェッショナルさにはもはや脱帽である。

初日のヘッドライナーというのは難しいスロットだが、ネプチューンズ、N.E.R.D、そしてファレル・ウィリアムス、そのキャリアのハイライトが存分に詰まった大満足のステージだった。

8位 スクリレックス(7/28 GREEN STAGE)

最後にとんでもない反則技が待ち受けていたわけだが、しかし、スクリレックスのステージはいつだって爽快な反則技に満ちている。今回もその量たるや半端じゃなかった。

例の如く5分前からスタートするカウントダウンに始まり、アヴィーチーの“Levels”やエックスエックスエックステンタシオンの“Look At Me”など亡くなったアーティストへのトリビュート、隣の人と肩を組んでジャンプをするように促す演出、代名詞とも言える重低音を響かせながら、目の前のオーディエンスを盛り上げるためなら何でも投入してみせる。

そして、終盤、ジャック・Uや自身の初期の作品をこれでもかと投下していき、なんと最後にステージに登場したのはX JAPANのYOSHIKIだった。ドラムセットに座ったYOSHIKIと共にギターで“Scary Monsters and Nice Sprites”を披露するという、想像の遙か先を行くコラボレーションで、その伝説的なステージは幕を下ろすことになったのだ。

7位 チューン・ヤーズ(7/27 RED MARQUEE)

メリル・ガーバスという人の声の存在感に圧倒されっぱなしの時間だった。最新作『アイ・キャン・フィール・ユー・クリープ・イントゥ・マイ・プライベート・ライフ』収録の“Look at Your Hands”から始まったステージ、長年の制作パートナーであるネイト・ブレナーのベースによるグルーヴと相俟って、フロアは初っ端から大きく揺れていくことになるのだが、チューン・ヤーズの音楽はメリル・ガーバスの声を中心に、カテゴリやジャンルといったものを次々と越境/逸脱していく。しかし、そのサウンドが実験的だけで終わることはない。

彼女の声さえあれば、観客と交感できるという確信がそこにはあるのだ。フロアの温度は曲を重ねる度に上がり続け、サポート・メンバーを含めわずか3人のステージでありながら、そのサウンドの説得力たるやすさまじい。

そして、最後に演奏されたのは最新作でも最後に収録されていた“Free”。徹底して他ならぬ個としてあろうとする意志を強く感じたステージだった。

6位 チャーチズ(7/29 WHITE STAGE)

3枚のフルアルバムというこれまでの彼女たちのディスコグラフィが結実したとも言えるステージだった。ホワイト・ステージのトリという大役を任されたチャーチズだが、激しいストロボの光と共に1曲目となった“Get Out”が始まるやいなやハンドクラップが一気に広がったのを見て痛感する。

サポート・ドラマーによって新たにもたらされたライヴとしてのダイナミズムを含め、バンドとしてスケールアップを果たしたことがオーディエンスにも共有されているのだ。

3枚のアルバムから万遍なく選ばれた選曲もそうだけれど、このバンドのキャリアには無駄がなく、辿り着くべくして、この場所に辿り着いたのだという、そんな感慨がふとよぎる。なかでも象徴的だったのはライヴの終盤だった。

ファースト・アルバムからの“The Mother We Share”、セカンド・アルバムからの“Clearest Blue”、そして最後の演奏曲となった最新作からの“Never Say Die”という、すべてのアルバムからの楽曲がライヴのピークを作っていく様は、チャーチズというグループの底力を物語っていた。

5位 ナサニエル・レイトリフ・アンド・ザ・ナイト・スウェッツ(7/27 THE PALACE OF WONDER)

翌日にフィールド・オブ・ヘヴンのヘッドライナーも務めている彼らだが、ケンドリック・ラマーとの重複もあり、初日のステージでのレポートとなることをお許し願いたい。

それにしても、アルバムを全米で50万枚も売ったバンドをこのスケールで観られるというのだから、贅沢と言うほかない。屋内という他とはフジロックでは珍しいシチュエーションのなか、ナサニエル・レイトリフ率いる8人組の大所帯バンドが文字通り目と鼻の先に登場すると、アメリカーナをベースにした陽気なアンサンブルによって、会場は一瞬でダンスフロアと化すことに。

ナサニエルが手拍子を煽り、観客がそれに全力で応える様は、ロックバンドのギグに来てしまったのではと錯覚してしまうほどである。それこそが彼らの魅力の真髄であり、時間と比例して高まっていく観客のヴォルテージは、ラストの“S.O.B.”で当然ながら爆発にも似たピークを迎えている。

クオリティはそのままに、時間と空間が濃縮されたステージが終了すると、そこには高揚感に満ちたオーディエンスの顔があった。

4位 アンダーソン・パーク(7/29 GREEN STAGE)

ライヴの実力は折り紙付きだが、それを踏まえても強烈だった。アンダーソン・パークのキャリアにとってドクター・ドレーのフックアップは確かに大きかったが、そこにばかりフォーカスすると見誤る。

そのサウンドは現在のブラック・ミュージックにおいてもかなりハイブリッドなものだ。ヒップホップもR&Bもファンクも、サンプリングもリズムマシーンのビートもザ・フリー・ナショナルズによるバンド・サウンドも、そうしたものが混ざり合いながら、それを一つにするのが本名をブランドン・パーク・アンダーソンという彼に宿るグルーヴである。

それは反射神経だけでできることではない。そこには彼のヴィジョンがあり、そして、それを最も直接感じられるのがライヴだ。“Come Down”から始まったステージは最初から大盛り上がりだったが、最新曲“Bubblin”あたりから自らドラムプレイを見せると、さらにヴォルテージが上がる。観客をとことんまで沸かせるフロントマンとしても死角なし。最後の“Lite Weight”まで至福の時間だった。

3位 ポスト・マローン(7/27 WHITE STAGE)

フジ「ロック」フェスティバルでポスト・マローンを観る。そこに特別な思いを抱く人たちの期待に存分に応えてくれたステージだった。エモーショナルなリリックと、その情感を昇華させたメロディで世界中のチャートを席巻している彼だが、そのパフォーマンスはまさにロック的なものだった。

ステージにいるのは背中に「JAPAN」と書かれた日本仕様の服装に身を包んだポスト・マローンただ1人。「カンパーイ」とスニーカーに注いだ酒を飲むお茶目な側面も見せたりしつつも、前半から“Better Now”や“Psycho”などのヒット曲を惜しみなく披露してオーディエンスのヴォルテージを高めていくわけだが、自身の曲/メロディへの自信こそがパフォーマンスの力強さに直結している。

まさにギターを持ってアコースティックのセットを披露する一幕なんかもあったが、最後は“Rockstar”、“White Iverson”、“Congratulation”というキャリアを決定づけた楽曲の3連発。そうしたヒット曲の数々に歓声と全身で応える前方のオーディエンスが印象的だった。

2位 ケンドリック・ラマー(7/28 GREEN STAGE)

まだ主役の登場していないグリーン・ステージで、どこからともなく「ラマー」コールが沸き起こる。その姿を待ち侘びる観客の温度の高さに嬉しくなっていると、「カンフー・ケニー」の映像が流れてついにあの男が登場する。ケンドリック・ラマーがフジロックにヘッドライナーとして立ったのだ。

袖にバンドは控えているものの、広大なグリーン・ステージを1人で包み込んでしまう彼の存在感は、まさに圧巻。“DNA.”からスタートしたステージは、前作の“King Kunta”やデビュー作の“Swiming Pools(Drank)”などの代表曲が矢継ぎ早に披露されていく。

“Bitch, Don’t Kill My Vibe”や“LOVE.”、本編最後の“HUMBLE.”ではシンガロングも巻き起こるという感慨深い展開もあり、台風の影響を受けた大雨の中、アンコールの“All The Stars”ではオーディエンスが惜しみなく携帯電話を取り出してグリーン・ステージを美しくライトアップしていた。

1位 ヴァンパイア・ウィークエンド(7/29 GREEN STAGE)

最初にBGMとしてかかったAC/ DCの“Back In Black”も、“Cape Cod Kwassa Kwassa”に組み込む形で演奏されたザ・ビートルズの“Here Comes The Sun”のカヴァーも、そして驚きのハイムのダニエル・ハイムが参加して演奏されたシン・リジーの“The Boys Are Back In Town”のカヴァーも、すべては一つのメッセージに繋がっていた気がする。

それはロックは大丈夫だということ、そしてロックが滅びるなんてないということ。なにより彼らのパフォーマンス自体がそれを物語っていた。新たに7人編成となったヴァンパイア・ウィークエンドのライヴだが、初っ端を飾った“Diane Young”も、大歓声に迎えられた“Oxford Comma”も、客席にうねりを生んだ“A-Punk”も、彼らの楽曲が持つギター・ミュージックとしての輝きはいつにも増して眩しかった。

まもなくリリースされるという新作からの曲が演奏されることはなかった。けれど、この先もヴァンパイア・ウィークエンドはギター・ミュージックを牽引していってくれる、そんな確信を持たせてくれるライヴを彼らはフジの最終日に見事にやってのけたのだ。

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