あとは怖いものなしで盛り上がればいいだけなのだ。「とうとうWANIMAとみなさんのとんでもない1日が始まります。今日はもうタダでは帰れんからね!!」。そんなKENTAの言葉に大歓声が応える。
恥ずかしいとか、照れくさいとか、ちょっとスカしてみがちとか、そういういろんな人のいろんな性格を、空から降ってくる水が文字通り洗い流していく。
客席から上がる歌声も、MCに対するリアクションも、曲を追うごとに大きくなっていくようだ。
大合唱が巻き起こった“昨日の歌”に“サブマリン”、もはやファンには恒例となったモノマネの「ご本人」に会ったときのエピソードを開陳したFUJIに向けられた盛大な拍手。
7月17日リリースのニューシングル『Summer Trap!!』からの新曲“夏のどこかへ”ですら(三ツ矢サイダー2019 CMソングとしてCMで流れて、先行配信されていたとはいえ)、まるで長年親しんだ曲のように歌われ、愛されている。
KENTAは水をかぶったお客さんに「寒くない?」と訊くが、客席からはむしろ「暑い!!」という声が返ってくるほどだ。
この日の天気は夏らしい晴天というわけにはいかなかったが、だからこそ、WANIMAの音楽に込められた「熱さ」がより一層ヴィヴィッドに感じられるような気すらする。
そんなお客さんのオープンな気持ちが力強く伝わってきたのは、中盤で“1106”が披露されたときだった。
海のすぐ横で万感の思いを込めて歌われたこの曲を、お客さんのひとりひとりが本当に自由に、自分らしく、それぞれのやり方で噛み締めた。
ある人は手を上げて歌い、ある人は友達と肩を組み、ある人は目をつむって聴き入り……すべてが正直で率直なWANIMAとのコミュニケーション。
穏やかな海に目をやりながら歌い上げたKENTAもまた、この大切な曲と真正面から向き合っていた。
その後も、圧巻のシンガロングが巻き起こった“アゲイン”、びしょ濡れのシチュエーションにエロかっこいい歌詞がばっちりハマった“BIG UP”、いつもよりゆったりとしたテンポで始まった“Hey Lady”……矢継ぎ早に繰り出されていく楽曲の数々に、お客さんもさまざまな形で感情を爆発させる。
「楽しい!!」や「最高!!」だけじゃない、「苦しい」も「痛い」も「悲しい」も「悔しい」も、3人の演奏とKENTAの歌、そして今日の場合は降り注ぐ水がむき出しにしていく。