SUGIZO 聖誕半世紀祭 HALF CENTURY ANNIVERSARY FES.

SUGIZO

通常SUGIZOのソロライヴはノンストップでMCもほぼないのだが、「こんな宇宙的な雰囲気の中から、突然フレンドリーに変えようと思います」(SUGIZO)と言葉を挟むと、TERUとTAKUROを呼び込み。披露したのは、SUGIZOのアルバム『ONENESS M』に収められ、TERUがヴォーカルを務めた「巡り逢えるなら」で、ライヴでは初披露となる。

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制作時にTERUは、「この曲をTERUの歌で救ってあげてほしい」とSUGIZOに言われたことが印象深かったと語り、「CDとか音源では聞こえない歌を、この場でしか聴けない歌を歌いたい」と意気込んだ。元々はSUGIZOが絶望の淵にあった時期、光を求めて生み出したという由来のある曲。TAKUROとSUGIZOの補い合うようなギターに支えられながら、その名のごとく太陽のような照射力を持つTERUが真っ直ぐに歌うことで、その説得力が増していた。SUGIZOの、一陣の風のようなコーラスも軽やかさを与え、またとない3者共演に大拍手が送られた。

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感動の余韻がこの後笑いで打ち消されたのも、兄弟のような彼らの親しい関係性ならでは。TAKUROは、忙しくて初詣も行けないであろうSUGIZOのためにおみくじを勝手に引いてきたそうで、「吉」「恋愛:ちょっと待ちなさい」などと読み上げてファンを沸かせていた。GLAYは今年25周年を迎えており、TERUは「いつもGLAYが大変な時に助けてくれるんですよ。そしで必ず光をくれて…。それを追ってここまで来ました」とSUGIZOに感謝を述べた。

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再びライヴを元の流れへと戻し、「Decaying」では無彩色の世界へ。SUGIZOはギターを激しく掻きむしり、音の洪水に飲み込まれていく。よしうらがチェーンの塊を思い切り何度も振り下ろして叩きつけると、鋭い金属音が響く。スモークが立ち込める中SUGIZOはメンバーのほうを向き、両腕を大きく動かし、やがて止め、指揮者のように轟音をコントロール。恍惚の中、「DO-FUNK DANCE」へ。

サイケデリックな極彩色のレーザー、照明に加え客席天井の高い位置からミラーボールが輝き、会場は魅惑の巨大ダンスホールに豹変。歯切れのよいカッティング、シンセ的なエフェクティヴな音色、エンジン音のような、あるいはモンスターの咆哮のような…と多用に形容可能なSUGIZOのギターを浴びるように体感。すべての音は全身全霊で鳴らされていた。エレクトロニックな音楽だが、仁王立ちした脚からエネルギーを吸い上げ、身体を通じてギターへ、指先へと伝って放たれていくような、自然の生命力をも感じた。

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アンコールは、ファンの手拍子と「ハッピーバースデー」の歌声に招き入れられる形でスタート。スマートフォンのライトを見てSUGIZOは「皆本当に美しいよ。本当にありがとう」と客席をじっと見つめた。誕生日にライヴをするのは初めてで、これまでは恥ずかしいと感じていたこと、祝われる資格がないと思っていたことなどを吐露。「半世紀なので」と踏み切ったそうで、「ここまで続けてきて、本当に幸せを感じています」とも。「世界に想いを馳せつつ…」との話の途中で、「ハッピーバースデー」を歌いながらケーキを乗せたワゴンを清春が押し、その後ろにTERU、TAKURO、HISASHI、TKが続いてカットイン。観客の興奮と歓喜は最高潮へ。フラワーオブライフのモチーフを描いた黒い円形巨大ケーキを前に、記念撮影。SUGIZOは、途中で遮られた大事な話に戻り、「今でも被災地で、仮設住宅で暮らしている人もいる。でも、誰もが幸せを享受してもいいんだよ、と最後に言いたかった」と言葉を補った。TAKUROの音頭でSUGIZOは蝋燭を吹き消した。清春が残り、続いては「VOICE」をセッション。

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SUGIZOが「黒夢とGLAYは25年ぐらいですよね?」と尋ねると、清春は「一緒」と頷き、SUGIZOが「ロフトに黒夢を観に行って、GLAYは鹿鳴館で…」と振り返ると、「LUNA SEAはその頃何やってたの?」と清春。「『ROSIER』のレコーディングしてたぐらい」とSUGIZOは答え、「そんな中こうやって25年も長い付き合いができてとっても光栄に思っています。この曲をやらないわけにはいきません」とやはり『ONENESS M』で清春が歌い、MVにも出演した名曲だ。清春は気怠い色気をまといながら、やがて、激しくギターを掻き鳴らすSUGIZOと向き合って歌う場面では肩を抱いた。グラマラスな妖気漂う2人は、共に誰にも似ていないオリジナルであり続けている孤高の存在。通じ合うのも納得である。最後には、「The Voyage Home」を、ピアニストのMAIKOを迎え、再びHATAKENも招き入れて届けた。SUGIZOは、地球プリントを表に、裏にはシリア難民の子どもたちの笑顔をモノクロでプリントした衣装〝ガイア″をまとってヴァイオリン演奏を披露する。SUGIZOが〝fanicon″を通じ、この曲ではスマートフォンのライトを灯してほしいと呼び掛けたのにファンが応じ、白い光が揺れめく暗闇に、この曲は祈りそのもののように美しく響いた。「すごく綺麗だった。世界平和の灯のように感じられて…」とSUGIZO、「これからもどうぞよろしくお願いします。ありがとうございます」と結んだ。

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半世紀を迎えて初めて行われた誕生日イベントは、豪華出演者たちが集い、それぞれとの関係性には長い時の流れが背後にあり、心を打つものだった。また、単なるお祝いムードだけで終わることなく、SUGIZOの精神性が隅々まで浸透したSUGIZOらしいものでもあった。これからも更なる高みを目指し、音楽と真摯に向き合うのはもちろん、疎外され弱い立場に追いやられたすべての人々に想いを寄せていくに違いない。

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Text by大前多恵

SUGIZO 聖誕半世紀祭
HALF CENTURY ANNIVERSARY FES.

会場:中野サンプラザホール
2019年7月7日(日)OPEN 16:30 / START 17:00
2019年7月8日(月)OPEN 18:00 / START 18:30

出演者
■7月7日(日)
OPENING ACT:S.T.K.
lynch.
sukekiyo
SUGIZO

■7月8日(月)
OPENING ACT:SUGIZO × HATAKEN
TK from 凛として時雨
TAKURO (GLAY) Journey without a map BAND
SUGIZO

GUEST:
TERU(GLAY)
清春

特設サイト https://sugizo.com/190707-08

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