Sting、2年振りの日本ツアーが福岡よりスタート

写真:田中紀彦

「次の曲は何年も前にメアリー・J・ブライジとレコーディングした曲で、今夜は美しいメリッサ(・ムジーク)と」という紹介で披露されたのは2003年の7thアルバム『セイクレッド・ラヴ』に収録されているデュエット曲「ホェンエヴァー・アイ・セイ・ユア・ネーム」。
ソウルフルなメリッサの力強い熱唱に会場はこれまでの雰囲気から一転。
オーディエンスも2人の歌声をじっくりと聴き入り引き込まれていきました。
そして曲は「フィールズ・オブ・ゴールド」(『TEN SUMMONER’S TALES』収録)。
個人的にはSTINGのソロ・バラードの中でも最も好きな曲で美しいメロディと歌詞の世界が素晴らしいナンバー。
間奏の印象的なアコースティック・ギターのソロ・パートをドミニクではなく息子のルーファスに託していたのが驚きでした!この曲でここまでの高ぶった気持ちがクールダウンされてから、心地よいレゲエのリズムに一転しての「イフ・ユー・キャント・ファインド・ラヴ」。
昨年リリースされたSHAGGYとのコラボレーション・アルバム『44/876』収録のナンバーを今回のセットリストに盛り込んだことからも、いかに彼がSHAGGYをリスペクトし共演したことを誇りに思っているかが伺えます。
そしてここでも間髪入れず次なる楽曲「シェイプ・オブ・マイ・ハート」(『TEN SUMMONER’S TALES』収録)へ。
先の「フィールズ・オブ・ゴールド」と並んで多くのファンに愛されている彼の代表的バラード・ナンバーの筆頭。ここでもシェーンのハーモニカが活躍します。
随所でオリジナルには無い、コーラスのジーンによるエモーシォナルなヴォーカル・パートが加えられたことで楽曲に新たな感動を吹き込んでいました。

写真:田中紀彦

感傷的なムードの中で次に重ねられてきた演目は「アラウンド・ユア・フィンガー」(「WARAPPED AROUND YOUR FINGER」/ザ・ポリス1983年のラスト・アルバム『SYNCHRONICITY』収録)。
まるでボブ・マーリーのレパートリーかのようなスロウなレゲエ・ビートにリアレンジされたのに加え、オリジナルのハイトーンな歌唱も低いトーンで静かに歌われたことで聴き手をゆっくりと包み込む不思議な感覚に曲の印象が変貌を遂げていました。
続いてSTINGの「ワン、トゥー!」というカウントからドラムのジョシュ・フリーズの手数の多い激しいプレイが炸裂する「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」(『REGGATTA DE BLANC』収録)へ。
曲間では「イェーオ~♪」というフレーズの大合唱が起こり、そのバックにジョシュの重厚でアクロバティックなドラムが絡むという、これまで聴いてきたこの曲のライヴ・アレンジでは今回のヴァージョンが一番カッコイイ!と思いました。
途中「ゲット・アップ、スタンド・アップ/ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(1973年)」の一節が盛り込まれていたこともVERY GOOD!! 今日のライヴのハイライトのひとつでした。
そしてこの曲のアウトロが終わるのを待たずに再びSTINGの「ワン、トゥー、スリー」のカウントからダメ押しレゲエ・リズムでたたみかける「ソー・ロンリー」(ザ・ポリス1978年1stアルバム『OUTLANDOS D’AMOUR』収録)。
「アラウンド・ユア・フィンガー」から続く3曲の流れからも、彼の音楽ルーツの深く太い部分がレゲエ・ミュージックで占められていることを改めて思い知らされる一幕でした。
途中で「待ってました!」と思わず声を上げたくなるドミニク・ミラーによるギター・ソロも少し披露されて大満足。
それにしても「寂しくてたまらない、僕はひとりぼっち…」という内容の歌なのに、サビでは大合唱+手拍子で盛り上がる「不思議な曲」であることも改めて気付かされました。おそるべし!(笑)

写真:田中紀彦

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