coldrain、2月開催の初主催フェス『BLARE FEST. 2020』、地元・名古屋が熱狂し伝説となった二日間のライブレポ公開

 次はcoldrainの2マン・シリーズで2018年5月にも対バンしている米ダラス発のCROWN THE EMPIREが登場。昨年出た最新4thアルバム『SUDDEN SKY』収録曲をメインに据えた内容で、特にAndrew(Vo)のクリーン・ヴォーカルを活かした「BURRY(Out Of Place)」におけるキャッチーな美メロにうっとり聴き入るばかり。重厚なメタルコアを掲げながら、エレクトロを隠し味にした演奏でスケール感に満ちたサウンドに心を奪われた。

 SiMはいきなり伝家の宝刀「KiLLiNG ME」で始まり、フロアを一気に沸点へと導く。「我々はニュー・アルバムの告知で来ました!」とMAH(Vo)らしいMCを挟み、新曲「Devil In Your Heart」を披露。わかりやすいサビを用いた曲調に観客も大騒ぎで盛り上がる。「Masatoの性格を知っているから、裏方はどんなに大変か。6年ぶりに復活するPay money To my Pain、その流れでハイパーなcoldrainを魅せてもらわないと」とプレッシャーをかけまくるMAH。後半、「Blah Blah Blah」演奏中に時間が押していると勘違いして、再び仕切り直す場面もあり、この場ならではの緊張したムードもレアな光景であった。

 10-FEETは3ピースの限界に挑むような多彩なミクスチャーで観客を縦横に揺さぶり、中盤過ぎにTAKUMA(Vo/G)は両手を広げてウォール・オブ・デスを促すと、そのまま閉じて観客を爆笑させていた。その後に放った「RIVER」で大合唱の光景を作り上げ、フロアは完全に一つに束ねていく。「後悔、不満、そのまま引きずってしまえ、燃やし尽くせ!」と吠えると、「その向こうへ」をプレイ。全エモーションを絞り出すような歌声と演奏に鳥肌が立ち、ラスト「ヒトリセカイ」に繋げる流れも素晴しかった。

 「Eye of the Storm」でじわじわと熱を伝えていくONE OK ROCKは貫禄漲るパフォーマンスで会場を掌握していく。「Taking Off」、「We are」と続け、アリーナ・ロック仕様のサウンドにシビれるばかりだ。「苦楽を共にした仲間のフェス、精一杯のお祝いの気持ちで」と告げると、「Stand Out Fit In」へ。「Mighty Long Fall」を挟んだ後、壮大なスケールを描いたバラード風の「Wasted Night」をプレイ。体の奥底から力が漲ってくるような懐の深いメロディに酔いしれてしまった。

 そして、2日目のトリ前を務めたのはPay money To my Painである。PTPコールが起きる中、スクリーンには当時のライヴを含めた映像が流れ、PABLO(G)、T$UYO$HI(B)、ZAX(Dr)の3人が登場。荘厳な「gene」で幕を開け、「Resurrection」からMasato(Vo)、lynch.の葉月(Vo)による熱い掛け合いが繰り広げられ、「聴こえてるか、K!」と曲中に叫ぶMasato。「Weight of my pride」ではSiMのMAH(Vo)がヴォーカルを務め、「いつの間にかK君より歳を取っちまったよ!」と天に向かって言葉を投げかけていた。CrossfaithのKoie(Vo)、ROTTENGRAFFTYのNAOKI(Vo)、NOBUYA(Vo)のトリプル・ヴォーカルで披露されたのは「Respect for the dead man」だ。「しんみりやるつもりはねぇ、HOUSE OF CHAOS(PTP主催のイベント)をよみがえらせる!」とKoieは吠え、野獣性剥き出しの攻撃力を発揮。途中、CrossfaithのTeru(Program/Vision)も歌で参加していた。

 「PTPを通して君たちと繫がれることに感謝」(ZAX)、「人生は誰と過ごすかだと思う。大事な人の手を離さないように・・・」(T$UYO$HI)、「今日やれているのは奇跡、1カ月前まで何も決まってなくて。Masato、coldrainの思いでここに立ってる。今俺たちは生きてて・・・生き続ける限りこの音は鳴り止まない」(PABLO)とメンバー3人はcoldrainに対して感謝を述べ、ここから後半戦に突入だ。「Pictures」ではNOISEMAKERのAG(Vo)、SURVIVE SAID THE PROPHETのYosh(Vo)の2人を招き、後半のウォー!ウォー!のパートが会場全体に響き渡ると、涙を流す観客の姿をたくさん見かけた。「Kは愛情に飢えてて、愛されているのに気付かなくて・・・。ケータイの光りを天に下さい」とT$UYO$HIが言うと、「Voice」を披露。「今も僕の中で生きている彼の声」の歌詞パートでは左手を掲げ、天を見上げて優しく歌い上げるONE OK ROCKのTaka(Vo)。しかも後半にはPABLO、T$UYO$HI、ZAXのメンバー1人ずつと対面で歌い上げる彼のパフォーマンスに惹き付けられた。ラスト2曲はKのヴォーカルを使用して「Rain」、さらに「AIR JAM 2011」に出演した際のPTPのライヴ映像が流れる中で「This Life」をプレイ。映像越しに観るKの姿は、今にも画面から飛び出して来そうな生命力溢れるエネルギーに満ちていた。

 2日間に渡るフェスの大トリをビシッと締めるのはcoldrainだ。しかし、ここで機材トラブルが発生したらしく、開演18時35分を回ってもメンバーが出てくる気配はない。そんな状況を察して、HEY-SMITHの猪狩、SiMのMAH、CrossfaithのKoieなど仲間がステージにぞろぞろ現れ、その場をトークで繫ぐ。結局、1時間押しでcoldrainは登場。「待たせたな、名古屋!」とMasatoが言うと、「The Revelation」でスタート。2万人のヘドバンが広がる異様な光景を作り上げた後、「FEED THE FIRE」、「To Be Alive」、「COEXIST」と畳み掛ける。「心がどこにあるかわからない。今・・・幸せだってこと。やりたい曲はいくつかできなくなった。それもKに与えられた試練かなって、PTP以上のラウド・ロックをやる!」とMasatoは宣言。さらにラウド・ロックが全国区になり、海外のバンドを含めて仲間が増えたことはラウド・ロックという看板を掲げ続けたおかげだと付け加えていた。「F.T.T.T」、「ENVY」と怒濤の攻撃力を魅せつけ、次の「No Escape」においてはMasatoもテンパったのか、「飛べ!あっ、違うわ」とタイミングを間違えてしまい、そうした人間臭いシーンにも心を奪われた。「SEE YOU」をやり終えた後、「アンコールやる時間ないんで、あと2曲やって帰る」と告げると、「REVOLUTION」、「Final Destination」で大団円。特に後者は神がかった超人的なテンションを放出し、これまで観たcoldrainのライヴの中でもぶっちぎりのパワーを発揮。身も心も震えるような感動を覚え、無事にフェスは終了した。

 「奇跡」や「伝説」なんて言葉は軽々しく使うものではない。けれど、一時は途切れるかと思われたバトンは奇跡的にラストまで繋がり、初開催にして「伝説」の名に相応しい2日間となった。何年後でもいい。またいつか名古屋という土地で『BLARE FEST』を絶対に開催してほしい。ここに集まった観客はみんなそう思ったに違いない。

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