The Cheserasera 『最後の恋 e.p. 』を引っ提げた完売御礼のツアーファイナル

The Cheserasera(ザ・ケセラセラ) による「春の喧騒 2018 スリーマンTour」が、5月27日、東京・新代田FEVERにて千秋楽を迎えた。会場限定CD『最後の恋 e.p. 』を引っ提げ、盟友たちと各地で熱いスリーマンライヴを開催すること2ヵ月半。完売御礼の会場は彼らの凱旋を待ちわびた多くの観客たちで賑わっていた。

ツアーファイナルの一番手はマカロニえんぴつ。ケセラセラとは初共演とのことだが、観客たちとの相性は抜群のようだ。キーボードを擁した5人編成で繰り出すカラフルかつパワフルなサウンドで瞬く間に会場をひとつにしてみせる。メンバー全員が音大出身という高いスキルを持つバンドならではの強みを感じさせたスキルフルな「MUSIC」や、〈ワンドリンク別〉!の大合唱が巻き起こった高速ロックチューン「ワンドリンク別」など、テンポ良くステージを展開してゆく。そしてラストはピアノを効かせた「ハートロッカー」を披露し、多彩な曲調と親しみのあるメロディーで、最後までガッチリとフロアのハートを掴んだまま離すことなくステージを終えた。

続いて登場したFOMAREは、ケセラセラと同じ3ピースバンドながら、ベースヴォーカルのスタイルを採っている。衝動に駆られるがまま、「君と夜明け」「雨の日も風の日も」を続けざまに演奏。サビではアマダシンスケ(Ba / Vo)とカマタリョウガ(Gt / Cho)の2声が揃って畳み掛け、熱気溢れるステージで観客たちを沸かせてゆく。そしてポップな新曲「夢から覚めても」からは粗熱が取れ、曲の持つストーリーもしっかりと聴かせる。壮大なスケールの「stay with me」や、想いを切々と訴える「かわらないもの」など、前半とは違った表情を見せていた。そして最後はアマダの呼びかけに応え、全員で拳を突き上げた「HOME」で終了。「素晴らしいイベントを組んだ自負がある」とケセラセラの宍戸翼(Vo / Gt)が後のMCで語ったように、それぞれ熱演を繰り広げThe Cheseraseraへバトンを繋いだのだった。

マカロニえんぴつとFOMAREの作った熱気が消え残る会場にドリス・デイの「Que Sera, Sera」が流れると、The Cheseraseraの3人がステージに姿を現した。美代一貴(Dr)がスティックを打ち鳴らし「うたかたの日々」でスタート。宍戸の歌声は伸びやかに響き、バンドサウンドも1曲目とは思えない一体感をみせる。「今ここにいてもいなくても、前にいても後ろにいても、この世にいなくても、全ての仲間にこの歌を!」と宍戸が宣言して始めた「Youth」では、西田裕作(Ba)によるメロディアスなベースラインを筆頭に、力強い演奏で会場の熱気を底上げしてゆく。ツアーを経て、またひと回りバンドとして強固になったようだ。序盤を観ただけでも、みなぎる熱に振り回されず、しっかりとグルーヴへ昇華させる頼もしさを感じた。

宍戸はThe Cheseraseraの今を「一番良い状態にある」と語ったが、バンドを取り巻く状況は決して楽なものではない。彼らは昨年メジャーレーベルを離れて自主レーベルを立ち上げ、今は事務所との二人三脚で活動をしている。通常ならば逆境ともいえるこの状況が、彼らにとってはどうやら追い風になったようだ。その一因は、メンバー自らがバンドを動かしてゆく上で生まれた〈手作り〉の風土だろう。ジャケット写真やミュージックビデオなど、楽曲以外の要素もメンバー自ら手掛けるようになった。そして手をかければ愛おしくなるのは当然で、メンバーが作品に対する想いを語る場面も増え、それがより多くの人を惹きつけるという好循環が生まれていったのだ。

だからこそ、このタイミングで彼らが『最後の恋 e.p.』という作品を会場限定で発売したことはとても自然な流れに思えた。手作りしたCDを自分の足で全国に届ける。そういう地道だけど血の通った歩みがバンドをより強く、そして雄弁にしていったのだろう。ライヴの中盤は、その『最後の恋 e.p.』の収録曲で固める。焦燥感と繊細さを併せもつ美代のドラムが肝の「退屈」と、しょうもないけど愛しい青春を転がるビートに乗っけた「物語はいつも」を立て続けに演奏すると、新曲を心待ちにしていた観客たちの歓びも最高潮に達していった。

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