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T$UYO$HI ( The BONEZ ) インタビューvol.55

最新にして最高のアルバム「WOKE」をリリースしたThe BONEZ。
約2年振りのアルバムとなった今作は、バンドのストーリーや感情が余すことなく詰め込まれており、The BONEZはいかにして今作を作り上げたのか?
そして、PTP以来となるZEPP TOKYOへの思いをT$UYO$HIから存分に語ってもらった。

ー明らかに前作と違うところは、全員でメロディーへの取り組みをした

すごいアルバム作りましたね。これまでを広げるというより、これまでの武器や細胞を全部使って、純度100%のThe BONEZみたいな。
T$UYO$HI:今回は幅を広げることはやったつもりはなくて、俺的には「To a person that may save someone」と「Astronaut」の間をいったイメージかな。

壮大さもあるし、でも荒々しい部分も残してっていう。これ、褒めの言葉として捉えていただきたいんですけど、「Until you wake up」を聴いた瞬間「Foo Fightersじゃん!」って思って。

T$UYO$HI:あ、俺はそういうつもりでこの曲の始まり方をアレンジしたよ(笑)。JESSEの弾き語りで始まるけど、最初はバンドインの「ワンー・ツー・スリー・フォー」から始まる曲だった。でも最初からバーンと始まるんじゃなくて、JESSEのイメージがある人がこれを聴いたらドキっとするかなっと思って「こういう始まり方やってみない?」って、弾き語りを頭にくっつけて。で、「これ1曲目にしたら面白いと思うんだけど?」ってこうなった。まさに俺はFoo Fightersの「The Colour And The Shape」の始まり方のイメージだった。

これは気持ちよく裏切られましたね。アルバムの1曲目を飾るからこその威力もあるし。
T$UYO$HI:最初は、俺の中で1曲目に「Rude Boy」かなと想定してたんですけど、「Until you wake up」にこのイントロくっつけたことで、アルバムを飾る1曲目になった。曲順を決めたのは最後なんだけど、このアレンジができてこれが1曲目確定の上でそれ以降のアルバムの曲順を考えた感じ。

さらに、U2ばりの壮大さがある「Bird ~people with wings~」が2曲目だったのは、このアルバムの凄さを示すには充分すぎる楽曲だったなと。
T$UYO$HI:「Bird ~people with wings~」を2曲目にするか否かで、結構ギリギリまで意見が分かれてて。ZAXは「このアルバムは名盤やなって感じさせたいから2曲目にしたい」って。JESSEと俺は「”今回はライブ感のあるアルバムにしよう”って言ったのに、2曲目で「Bird ~people with wings~」はいきなり壮大過ぎないかな?」みたいな意見だったり。ホント最後のギリギリで、この位置になった。

この位置に収まるまで紆余曲折あったにせよ、この曲は特別な感じもするんですよね。
T$UYO$HI:今年の1月に、LAへ行ったときに出来た曲なんで重要です。アルバムジャケットのインディアンも、この曲のイメージでショウちゃんが描いたもので。最初は緑バックじゃなくて、星空にインディアンが描いてある絵だったんだけど、曲が出ていくに連れて、そのインディアンがあくまで「Bird ~people with wings~」のイメージ過ぎて、アルバムを象徴しているものではないんじゃないかっていう意見も出てきて。

他の曲も強力だから、逆に引っ張られ過ぎちゃってる?
T$UYO$HI:そう。「Bird ~people with wings~」ができた後に作っていった、後半の曲が予想以上に強力過ぎて(笑)。実は前半のレコーディングで「Bird ~people with wings~」を含めた4曲ぐらい録れてたんですけど、ちょっと俺的には「Bird ~people with wings~」の歌のテイクが、どうもしっくりきてなくて。結局、最後の方で歌をJESSEに録り直してもらったんです。

他の曲と何かズレていたりとか?
T$UYO$HI:なんか固いっていうか、デモで録った歌の方が伸びやかでいいなあと思って。歌のピッチはバッチリ合ってるんだけど、何かぐっとこない感じがしてて。で、JESSEに「”Bird ~people with wings~”の歌なんだけど、もう1回録り直さない?」って。そしたら、実はJESSEも気にいってなくて。最後のタームで録り直してMIXしたら、メチャクチャ良くなって蘇った感じ。ピッチは良くても無機質だったところが、LAでの俺らのグルーヴや雰囲気、感情がバッチリ出て、そういうニュアンスって大事だなって思った。

そういう歌へのこだわりは、JESSE以外のメンバーも積極的に意見をし合う環境なんですか?
T$UYO$HI:今回、明らかに前作と違うところは、全員でメロディーへの取り組みをしたってところです。レコーディング前半までや前作は、楽器テックの永野さんにジャッジをしてもらって、綺麗に歌を歌うことはできた。でも、いまいち感情が入りきれてない気がするっていう、JESSEの思いがあって。で、永野さんにも相談して、後半はメンバーとJESSEで基本ジャッジをしていくっていう録り方に挑戦してみようと。
それからCharさんのスタジオにプリプロで4日間入って、「LIFE」「Anthem」「One more」「See you again」とかの歌メロが出来て、そのときの集中力が凄かった。例えば「LIFE」にしても、俺は元から仮タイトルに”LIFE”ってつけてたんだけど、そういうイメージワードを元に、ただのハッピーなパーティーソングじゃなくて、大きいテーマな歌詞にして欲しいんだよねって投げると、それをJESSEはすぐ広げる。メロディーを作ってるときも「JESSE、そこのメロディー◯◯」とか、ハモも「こうじゃない?」とかって、歌メロってものに対して全員でやったんだよね。みんなでメロディーを考えつつ、その場でJESSEは歌詞も書く。その場で歌詞の意味もみんなに説明してくれたりとかしてやりながら、マジで集中してたから精神と時の部屋じゃないけど、その分ドッと疲れたっていうか。家に帰ってからみんな言ってたんだけど「すげー爆睡しちゃってさ」みたいな(笑)。

(笑)。今回のアルバム制作において、メンバーが歌へ向き合ってる姿勢が曲と同じくらい強いですよね。
T$UYO$HI: NAKAは前々から、歌詞や歌をみんなでやるのもいいと思うって言ってて。最初のきっかけはやっぱ「Bird ~people with wings~」かな。具体的に言うと、最初にJESSEがつけたメロは1Aは低いキーで歌って、2Aはそれの1オクターブ上で歌うっていう作り方をしてたんだけど、メロはいい感じだけどJESSEが歌うには、低すぎるし高すぎると思った。それを今の完成したヴァージョンに「こういうメロはどう?」って作り変えたんだけど、JESSEも歌いやすいってなって。その辺から、キーやメロに対する取り組み方が始まってった感じかな。
俺も昔は、歌はあんまわかんねえから任せるよって感じだったのが、映画『咲-Saki-』の劇伴の仕事とかやったお陰で、コードに対してのメロディーやハモのつけ方がわかってきた部分が大きい。

個々の活動での反映や活かし方あるっていうのはデカイですね。そこにJESSEの意見を受け止める姿勢もあってこそだし。
T$UYO$HI:そう。俺らも、ジャッジを任せちゃった部分が良くなかったなって。プリプロで、メンバーだけでやった時のニュアンスがJESSEはすごく良かったらしくて「俺はメンバーが今のテイクどう思うかとかちゃんと聞けてなかったから、今回こうやって聞けてやれたのがすげえいいから、この感覚でやりたい」って。そのプリプロができたことは、このアルバムを作る上で大事だったと思う。

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