高野 哲 × aie 対談インタビュー

THE BLACK COMET CLUB BAND,nil,THE JUNEJULYAUGUST,インディーズ電力,ZIGZOの高野 哲と、the god and death stars,gibkiy gibkiy gibkiy,KEEL,THE MADCAP LAUGHSのaie。
複数のバンドで活動を広げる2人には、バンドマンとして、ミュージシャンとしての想いが幾つも交差していたー
そんな2人だからこそ語れる、特別対談企画がここに実現!

自分で好きにやりたいからそういう選択肢を選んでる ー (哲)

—aieさんは哲さんをリスペクトしている旨を公言してらっしゃるんですけども、2人での対談って初めてですか?

aie:初めてです。

哲:だよね。

aie:一方的に知ったのはMALICE MIZERで、名古屋のMUSIC FARMで観てますね。当時は、MUSIC FARMとかチケットぴあのスケジュールを見てて。

哲:MUSIC FARMで何回かやった記憶はあるけど、そこら辺は覚えていないんだよね。当時ずっと○○吸ってたから。

—書けないようにするのやめてください(笑)。

哲:MALICE MIZERの話を(笑)。当時、インディーバンドで東京から名古屋に行くと、MUSIC FARMっていう時代だったなあ。ところで、aieくんって今何歳なの?

aie:今年40です。

哲:ってことはオレと6歳違うんだ。

aie:僕が高校生の頃ですね。MALICE MIZERのCDを買って、スケジュールを見てたら年末のオールナイトイベントに出てるのは知ったんですけど観れなくて。その次には、もう哲さんは辞めてたのかな?で、高校生の時に僕がやっていたバンドが、MEGA 8BALLとMUSIC FARMで対バンしたんです。

哲:高校生で?

aie:高校生バンドなのに、僕らが地元だからってトリやらされたんです(笑)。MEGA 8BALLのライブを観てたんですけど、本番直前までMUSIC FARMの前で、哲さんが確かキャッチボールしてて、その足でステージに上がってやったので、「うおー痺れるぜー!」って。ステージでもRIKIJIさんと水の掛け合いしてて、カッコイイなっていう。

哲:全然覚えてないけどやってそう(笑)。RIKIJIさんとかギターYOSHIYUKIくん、タイコがNORIちゃん、あの人たちは自然にそういう人たちだったからね。例えば、本当に本番前に野球とかしてたら、バット持ったままステージに上がっちゃって。「音が出ねーなー」って、よく見たらバットを持ってたみたいな、そんな人たち(笑)。それもオレの自然体だったかもしれないけど、オレはMALICE MIZERの脱退直後だったから、それをもっと誇張してたかも。やっぱ、お客さんはメイクしてるバンドの印象で来てるけど、それが急に全く違うスタイルでやってるっていうのをはっきり見せたくて、敢えてしてたんじゃないかなあ。だって22歳とか23歳とかだもんね。

aie:確かにそうでしたね。グラデーションなしって感じ。

哲:0から100ってやつ(笑)。MALICE MIZERもMEGA 8BALLもだけど、オレはミニ・アルバム1枚分しか2バンドとも参加が出来てない。その割には、思い出が濃ゆいんだよね。若い時代に一生懸命やってたからだろうけど。

aie:そうですよね。僕もいくつかやってたんですけど、それこそ化粧してるときもある。それを辞めて10年以上経つんですけど、そっちのほうが濃いなってすごい感じます。

哲:メイクしてるとスイッチのON・OFFが激しいし、それも楽しいんだよね。

aie:その当時のビジュアル系の中だと、哲さんの声がすごい個性的で、いい意味でビジュアル系っぽくない感じがしたんです。他の人だと、割と似た歌い方するっていうか同じに聴こえてて、哲さんだけ違ったなと思ったし、そこがカッコ良かったです。

—MALICE MIZERやMEGA 8BALLを目にしたり、実は共演していた後の接点はいつになるんですか?

aie:まず、初めて挨拶をさせていただいたのは、2005年ぐらいのnilでなんです。当時のnilのPAさんに僕もお世話になってて。

哲:deadmanのときでしょ?山本さん。

aie:そうです。それでもまたしばらく空いて、MEGA 8BALLが渋谷club asiaでライブやったときに、哲さん弾き語りで1人でっていうのが、2度目ましてです。

哲:あれはRIKIJIさんの主催したイベントだったよね。出てたのはthe god and death starsだった?

aie:そうです。それからよりギュッとなれたのがTHE MADCAP LAUGHSですね。

哲:そうだね。最初のレコーディングのとき、歌のディレクションでちょっと立ち会ったね。

—そうなるまでに、哲さんもaieさんもバンドが変わるだけでなく、バンド自体を並行して持っているという、互いの共通項がありますよね。

aie:当時から複数のバンドでやれたとは思うんですけど、それこそ会社に所属してるときはダメだって言われたんです。

哲:そりゃそうだよね。

aie:ギャラ云々じゃなくて、ただやりたいっていう衝動だけなんですけどね。今はフリーだからいいんですけど、事務所に所属してるバンドでも、何個もやってる人が増えてきたらいいなと思いますね。未だにDJはOKだけどバンドはNGで、コピーバンドならOKとか多いですし。

哲:事務所に所属してても、所属先が個人事務所、みたいな人も増えてるよね。
巨大事務所にいる人たちは制約はあるよね。ある種の契約社員だったりするから、自由がきかないのは当然だけどね。自由にやってる人たちって、いろんなものを経て、個人事務所とかフリーに近い状態でやってる人が多いだろうから。フリーだから個人事務所だからいろんなことをやろうとかじゃなくて、制約なく自分で好きにやりたいからそういう選択肢を選んでる人の方が多いと思う。

—バンド単位はそうだとして、それはこういう音楽がやりたいからということではない?

aie:そうですね。寧ろ、やりたい人とやってるって感じなんで。

哲:そうね。俺はこんな音楽やりたいからこうやってて、今度はこっちの音楽やりたいからこっちのってよりは、流れでそうなってて。あとタイミングとか行動力がある人が多い気がする。

aie:そうですね。朝まで飲んでると、大抵バンドを組みがちですから(笑)。

哲:組みがちだね。ただ、殆どリハにも入らず自然消滅しがちだけど(笑)。

aie:(笑)。だから、バンドを複数やっていても、スイッチの切り替え方とか特にないです。

哲:オレもない。

aie:哲さんは「これはこのバンド用の曲だな」とか、曲を作るときにありますか?

哲:ないかな。今は自然と制作期間とかがはっきりしてきてるからね。でも「今求めてる感じじゃねぇな、これ」とか思っても、「割りといいなあ、ちょっと覚えておこう」みたいなのはある(笑)。

aie:なるほど。僕もそういう意識をしてないスイッチの切り替えはしてるかもしんないです。あと、演奏してるメンバーが違えば当然変わるし。

哲:そうね。曲を作るときに「アイツだったらこうするよなあ」って、思い描きながらやるからね。

—人在りきでやるからこそ、そういった複数の描き方ができるのは、1つの醍醐味としてありそうですね。

aie:楽しいのは、同じ楽器でも人によって全然違ったりするんですよね。例えばsakuraさんだと、全く他のドラマーと違う。もし、1人のドラマーとしかバンドをやってなかったら、ストレスになっちゃうこともあるかもしれないけど、他の人ともやってるから、楽しみでいられるっていうか。バンドにストレスを感じなくなりましたね。

哲:それはあるなあ。

aie:だから、それぞれのバンドで解散とか理由がないなと思います。

哲:最近、オレも同じこと考えたことあって。どのバンドも、解散っていうのはないだろうな。寧ろ、こちとらは50オーバーのメンバーもいるので、体の心配する(笑)。

aie:そうですね、健康を考えます。

哲:もし、健康上の問題!ってのが起こったら、バンドの解散を考えるんだろうなとは思う。だからaieくんの言ったことに同感で。1つのバンドで「ここでガチっとやらなきゃいけないんだ」って言われると、当然それぞれのメンバーとの好みとか意見の違いっていうのが生まれやすいから。それはいくつもバンドがあることによって分散されるし。20数年も、曲を作ってレコーディングしてツアーやってって生活してると、自然と身についてくる。「ストレス溜めないように音楽続けていくには?」っていう、いい意味での手の抜き方や力の抜き方、気持ちの休め方と入れ方。よく「切り替えどうやってやってんですか」って言われるけど、実は身につけたことで自然とやれてると思うし。もしかしたら、どのバンドもフォローしてくれてるファンの人たちも、切り替えなんてしてないんじゃないか?って思う。

aie:ホントそうですね。全部、自然とこうなってこれた部分が大きいです。

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