
佐々木とアオキが向かい合ってギターを鳴らし、リズム隊が呼吸を合わせる。予定調和ではない生々しいグルーヴが心地よい緊張感を会場にもたらす中、観客たちの耳目を独り占めしたのがアオキによるギターソロだった。刃物のような鋭さと、聴く者の懐にあっという間に入り込む人懐っこさで、観客たちを沸かせてゆく。彼のギターを聴くといつも、アオキテツという人物がそのまま音になったようだ、と思う。ナニワのヤンキー然とした出で立ちながら、今やバンドの弟分としてすっかり愛されキャラが定着している。そんな憎めなさと、やんちゃさが彼のプレイに表れているのだろう。ソロが終わるや否や、熱烈なテツコールがフロアから次々と飛んでくる。「最近のロックバンドの中では一番長いギターソロを決めてくれたと思う」と佐々木も絶賛。そしていよいよライヴは後半戦へと突入する。
「さっき楽屋で聞いたんだけどさ」とおもむろにアオキが口を開く。その続きはこうだった。なんとa flood of circleは正式メンバー4人でワンマンライヴを開催するのは、この日で3度目だという。しかも1度はデビュー前、2度目は学園際とのことだ。この事実には観客たちも驚いた表情を見せたが、アオキが「少なくね?」とツッコミを入れるとたちまち笑いが巻き起こった。冒頭にも書いた通り、逆境を生き抜いてきたバンドだと思っていたが、この事実は衝撃的だった。しかし佐々木は「攻めが最大の防御だと思ってる」と語る。だからこそ、今まで一度たりとも守ったことはないのだ、と。そして「Where Is My Freedom」ではその‟攻めの姿勢”を体現して見せる。マイクスタンドを後ろに退けて、ハンドマイクになった佐々木はステージを縦横無尽に練り歩きながらラップを披露すると、そのままフロアへ乗り込んだ。佐々木めがけて一斉に押し寄せる観客と、揉まれながらもマイクを握りしめ熱唱する佐々木。その関係性はファンとミュージシャンのそれではなく、互いにロックンロール魂をぶつけあうファイター同士に近いものがあった。ラストは佐々木が観客の上に倒れ込んで終了。ステージの定位置につくまで、健闘を称える歓声と拍手が贈られ続けたのだった。















