WANIMA 2日間で7万人を動員した初のドーム公演「Everybody!! Tour Final」完遂

 また、こういった大規模な公演ではひとつの完成形を両日にわたって提供するのが常だが、ライヴハウスから叩き上げで育ってきたWANIMAはそこに満足せず、ガラッとセットリストを変え、両日ともに巧みなアプローチを施し、素晴らしきパフォーマンスを披露してくれた。

 まずは初日となった25日。KENTAのタイトルコールで始まった「夏の面影」でいきなり駆け出す彼らのドライブ感によって、いきなりクライマックスのような熱気が充満。バンド史上初のドーム公演かつ最大規模のワンマンではあるが、緊張した様子はなく、時折笑みを浮かべながら、語りかけるよう、問いかけるように強烈なサウンドを放っていく。思わず手を伸ばして近づきたくなる、この圧倒的なオーラ。WANIMAが性別も年齢も問わず、多くの人を惹きつける要素のひとつだ。
 そのスタートダッシュから「CHEEKY」でさらに勢いを増したかと思えば、スイッチを切り替えて「つづくもの」を心地よく響かせる。FUJIの合いの手も絶好調であり、会場全体の温度を上げていく。
 KENTAが「みなさんのためにメットライフドームを貸し切りました!」と力強く口にしてから、ステージ上でのスイカ割り(!!)を挟み、「ララバイ」や「やってみよう」と畳み掛けてからの「Drive」。みんなそれぞれの歌になっていることがわかる大合唱、泣き出しそうな表情で歌うKENTAは印象的な名場面だった。
 驚愕したのがFUJIが恒例のあの人に扮して「出航だー!!」と声を挙げ、なんとイカダに見立てたステージの一部が会場中央へ移動し、回転もしながらそこで披露した「オドルヨル」。その後のMCで「いちばん遠い人の近くへ行きたかった」とKENTAは語っていたが、予想の遥か上をいく、WANIMAのアイデアとサービス精神の賜物に違いない。
 その後も客席内の特設ステージへ移動しながらプレイし、下手側ではアリーナシリーズからおなじみになったアコースティックスタイルで「HOME」を披露。終盤、歌いながらKO-SHINの膝を叩くKENTA。上京したてのKO-SHINの部屋を模したステージ上でのこの仕草から、2人の絆を感じざるを得なかった。
 中盤を過ぎても「ともに」では会場が揺れるほどの歓声と歌声が客席から響き渡り、気持ちを共有した嬉しさからか、メンバーも実にいい表情を見せる。
 終盤、KENTAが「楽しみを作る為に(メットライフドームを)貸し切った。いろんなところを貸し切って、みんなのことを待ってるから、未完成でも不器用でもいいけん、いつでも戻ってきてください」と思いの丈をぶつけて曲へなだれ込んだ「シグナル」。自らの存在意義を宣言するような立ち姿も美しく、鮮やかな光を放っていた。
 本編ラストは「Everybody!!」。名残惜しそうにするかと思いきや、今この瞬間にすべてを届けることが何よりも大事なのだろう。ガムシャラで必死にプレイ。彼らの純粋さがそこには表れていた。
 アンコールは彼ららしい活発で笑いを交えた映像から「20曲分を1曲にこめて」とKENTAが叫び「OLE」。きらびやかな銀テープも舞い、まさしく大団円となった。

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