The Cheserasera 満員の観客たちと迎えた追加公演! 再会は冬のリクエストワンマンで!

たくさんの手がステージへと伸びた「Youth」でも、バンドサウンドの強靭さが物を言った。エッジの効いた宍戸のギターを筆頭に、疾走感あふれる曲調が会場を駆け巡り、満員の観客たちひとりひとりの体を揺らしてゆく。そしてライヴも折り返しを迎えようというタイミングで、セットリストはミドルナンバーへとシフト。コーラスワークで魅せる「You Say No」、宍戸の歌が伸びやかに響いた「カサブランカの花束」と、バンドの持つ繊細な魅力が前面に打ち出される。そして「バンドを辞めた友達と、俺たち全ての青春に捧げます」と宍戸が告げて始めた「Blues Driver」はステージもフロアも、それぞれの思いを噛み締めながら曲と向かい合うような、そんな時間だった。その後のMCで宍戸は、どこに行っても誰に会っても何をしても満たされない思いがあると打ち明け、「そんな時に側にいられるような音楽でありたい」と感極まった様子で語った。それは彼自身がソングライターとしてずっと持ち続けてきたテーマであり、バンドの在り方そのものでもある。やるせなさに苛まれた孤独な叫びから、そっと誰かに寄り沿う音楽へ。ケセラセラというバンドは、そうやって一歩ずつ歩を進めてきたのだ。

再びロックモードにギアを入れ直し、ラストスパートへ。このツアーのテーマソングとも呼ぶべきキラーチューン、「最後の恋」では、待ってました!と言わんばかりに手拍子が巻き起こる。直後の「物語はいつも」ではリズムも歌も暴れに暴れ、さらに観客たちを沸かせていった。そして宍戸による「つかぬことをお伺いしますが、みなさんクソみたいな恋愛をしたことがありますか?」という問い掛けで始まった「I Hate Love Song」は、曲中でも宍戸が煽り、観客たちが〈笑わせんなよ!〉の部分を歌って返す。この応酬は何度見ても痛快だ。そして「Drape」で本編を締め括った後、2度のアンコールに応え、「SHORT HOPE」で春の喧騒ツアーはようやく幕を下ろしたのだった。

進化もするし、変化もする。だけどたったひとりも、たったひとつの感情も置いてけぼりにはしない。この日の彼らのステージからはそんな誠実さと決意が感じられた。MCでも紹介があったが、11月の新宿SAMURAIを皮切りに「2018 冬の煌星 ワンマンツアー」がスタートする。このツアーではツイッターで受け付けたリクエストを元にセットリストが決まるとのこと。この企画に際して宍戸は「今⽇までのあなたに響いた歌を歌って、これからの未来を⼀緒にのぞめたら」とコメントを寄せている。初日のSAMURAIは残念ながら早くもソールドアウトしてしまったが、ファイナルの新代田FEVERを含む全4公演については絶賛発売中だ。ぜひお気に入りの曲をツイートしてライヴ会場へ足を運んでほしい。

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