金子ノブアキ インタビュー

10月3日にデジタルリリースされる金子ノブアキのNEW EP「illusions」。
SKY-HIをフィーチャリングゲストに迎え、「トライバル」という普遍的なリズムと「東京」という時代の先端を表現した本作は、いかにして生まれたのかを語ってもらった。

バンドへの”アンチテーゼではない方法”での答え方

― 今作では、フィーチャリングゲストを迎えるという初の試みですが、振り返るとソロが始まった2009年のタイミングでも、やれないことではなかったとも思うのですが?

そうですね、バンドをやってるので特にラッパーと組むことには貞操観念や、ある種の枠組みみたいなものが自分の中で出来てたんだなと思うし、ラップの人を入れるならRIZEに呼んでやるっていうことが、なんとなく自分の中にあったんでしょうね。去年1年間をバンドで動いて、最後の武道館で20周年を締めくくって一息ついたときに、何か作ろうとは思ってて。これまでの作品から何かの変化やフレッシュなことをと思ったときに、誰かと一緒にやろうかなと。その中で、漠然とラッパーとやったらカッコイイんじゃないかなみたいなね。僕自身が東京のストリート・カルチャーでずっと過ごしてきて、自分の名義で出る作品もそこにちょっと回帰してて、バンドへのアンチテーゼではない方法での答え方があるんじゃないかなと思ってた。それをやっても、そろそろ力まずにできるかなと思った去年の年末のタイミングで、日高(SKY-HI)君にたまたま街で会うことがあって。そこで「なんかやりましょうよ」って話になって、すぐにトラックを作りました。

― この手の話だと、「またご飯でも行きましょうよ」くらいに社交辞令で終わったちゃうパターンになりそうですけど、日高さんとの偶然の出会いではそうならなかったと。

確かに「いつか何かやりたいですね」みたいな話っていろんな人とするけど、これは今かもしれないなと思って(笑)。僕は彼の高速ラップがすごく好きで、きっかけは家の掃除をしてるときに彼がCMに出てて、調べたらAAAのメンバーだし凄いラッパーがいるなっていうところだったんです。それからほどなく知り合うこともできて、何か作ったりっていうタイミングは、こういったある種の引き寄せや導きみたいなご縁があってこそだと思います。

― 先ほど仰っていた”力まずに”というタイミングが、お互いにとっても重要なんでしょうね。

今だったら、本当にお互いスッと始めれるなと思ったんで。やっぱ力んじゃうと、ザクっと傷ついちゃうんだよね(笑)。スッと刃が入るような状態で誘うことができたし、すぐに差し出さなくっちゃと思って、『illusions』のあらかたできたものを送って。「ちょっと早口で物量多いんだけど、一緒にやってくんないかな?」って。それからはあっという間でしたね。

― 最初に”貞操観念”という表現がありましたが、確かにファン目線からしてもちょっと禁じ手かなという部分もあったと思いますが、そう伺うとバンドへのアンチテーゼではない方法が、今のタイミングならできるっていう。

そうなんです。やっぱり、ラップとビートで20年っていう部分は、RIZEの根幹部分だったり僕とJESSEの関係性みたいなものの象徴でもある。だからこそ、今までは逆説的なリスペクト込めることとして、1番大きなことで僕のソロワークにはベーシストとラッパーがいないっていうこともあって。それはAA=の剛士さんや、KenKenやJESSEにいわゆるアンチテーゼじゃないことで、みんなのことを想いながら作っていることも含めて。だからこそ、バンドの状態が良くなかったりするとできない。でも、今はすごく穏やかな状態だし、僕とJESSEなんか特に”2人おじいちゃん”みたいな感じで、会えばまったり(笑)。この間も、お互い赤ちゃんを連れてご飯に行ったりして、すごく良い状態なんです。だから、今こそストリートの空気をここにもってきたら面白いんじゃないかなって、穏やかであるからこそ単純な遊び心が芽生えたっていうのが、本当に1番収穫ですね。

― また、そこに辿り着く過程として、時間軸的にはソロとして9年が経ちます。フィーチャリングって、ある種対等でないと成立しないと思っていて、その時間を経て自身で金子ノブアキという屋台骨に、自信を持てる状態になったことも大きい気がします。

おっしゃる通りで、すごく気分的には穏やかなんだけど腹も決まった状態だからこそ、人を迎え入れることができるなっていう。それによって、いろんな想像ができるのもあるし、何より作っていて楽しいのは、ある種の自信が持てるようになったのかなと思う。制作のブレーンである草間さんやPABLO、エンジニアっていう信用できる人間がいるのも大きいです。彼らがいるから、大事なメッセージは入れながら「あんまり聴いたことないものを作ろうよ」っていう悪巧みができる(笑)。僕の活動をちょっとでも知っている人がいたとしたら、きっとアンビエントな方を想像していたと思うんです。「ここでアフリカントライバルが来たら爆笑だろう」っていうところから始まったところに、日高君ともコンタクトが取れたんです。

― ラッパーとやるドラミングは、最大の武器を出すことでもありますしね。

それしかできねえっていうのもあるんだけど(笑)、超得意だしラップが乗りやすいドラムは自信を持ってできるから。そういう、自分が最初からずっとやってきてるものにあった境界線みたいなものを、一度取っ払ってみていいんじゃないかなって思えたり、気楽にそれができるようになったのは、まさに自分の状態が良いんだと思いますね。去年のバンド活動がもたらしたものって非常に大きくて、本当に自信がついたんですよね。僕だけじゃなく、JESSEもKenKenもそうかもしれない。RIZEなんて、変な話ゾンビ化してるような、死なないし不死身みたいなバンドみたいになってきちゃって(笑)。僕としても1つ魂の帰るところだし、ああいう大義が自分たちの中にあると、ソロでも安心して取り組むことができるもんなんだなと思いました。だからこそ、冒険心もくすぐられて、バンドではできないこととして、今回の曲のように相当異端なものができたし、それは東京という情報が集中してくる場所であり、通り過ぎていく場所であるところで、今まで僕の現場で作ってきた音みたいなものを融合させたときに、面白いことが起こるかもなと想像できたからだと思います。

― RIZEという場所があるからこそ、今作では自身の境界線が解かれて自身の武器も含めて開放することができたと。そこへ日高さんに声を掛けたときに、彼に何を求めたのでしょうか?

ご縁があったのは1つですけど、大きいのは彼のキャラクターですよね。特にラッパーって、パーソナリティやキャラクターが如実に出るジャンルだと思っているから。彼が今まで歩んできたキャリアを見ても、マスのど真ん中をひた走ってきつつも”自分はここにいたい”ってラップをして、いろんな現場に行って生き残ってきた。本当にジレンマもたくさんあったと思うし、今はどちらも大成してすごい状態にあると思うんだけど、自分のやりたいことや言いたいことが、はっきりとある研ぎ澄まされた人間と、精神性の共有っていうのは大きく求めたと思います。

― ある意味、同じ匂いも感じますね。

そうかもしれない。彼も彼で、僕と同じで絶対領域がすごくある人だから。清川あさみちゃんやenraとかもそうだと思ってて、変な共依存を生まない関係っていうのは、すごく健康的なんですよね。僕はいろんなラッパーの友達がいるけど、日高君は特にタイプとしては近い。音楽も本当に好きだし、物を作るのが好きだし。四六時中なんか作ってるみたいなイメージがあったからね。

― フィーチャリングといえど、提示する以上は同じベクトルで進める人とでないといけないですしね。

やっぱり”東京でカッコイイものを”って見せていく上で、やっぱりこういうことだろうっていうのを高らかに宣言しなきゃっていうのもあるし、今までを振り返ってみると全然してなかったなって。自分の名前でやる以上は、個人で責任を取る上で「歌詞は結構きわどいことも言ってみようかと思うけど、乗らなかったら全然いいよ」って。それでも、日高君が乗ってくれたのは、精神のベクトルが同じ向きにあったからだと思います。

大人気ないけどちゃんと責任を持って楽しむこと

― キーワードとして”東京”が出てきましたが、制作において日高さんとはどういうキャッチボールをしていったんですか?

大きなテーマやタイトルからですね。相手在りきなことだったんで、東京のカッコイイ曲をテーマに掲げて、『illusions』というタイトルを彼に投げました。こういう、いかにもなトラックで、いかにもな人間が真っ向から否定するパンクってあるよなと思って。すぐにラップを返してくれて、もちろん直すところなんて全然ないし、僕もそれに対してコーラスでも入れようと”パクられろ”とか言ってみて(笑)。正論を言ってるんだけど、スゲェヤバいヤツみたいに聴こえるみたいな、表裏一体な感じの面白さって、すごく端的に今のこの街を表してるよなと思って。バンドをやってると、どこに行ってもいろんなヤツがいるからさ、そういうやつらには本当に怒るし、ミクスチャー界のマトリと呼ばれてるんで(笑)。

― (笑)。だからこそ、ストリート・カルチャーでやってきたプライドみたいなものもあるでしょうし。

そう。それで生き残ってきたっていう自負があるんですよね。「やっちゃいけないことはやっちゃいけないから」っていうところで活動してきた。それを作品化して、今だったら良い感じにトンチも効いて、力を抜いた状態でできるかもしれないなと。そう思ったのはバンドをやってるからかもしれないし、子どもが生まれたからかかもしれない。子どもが生まれて最初の曲がこれっていうのは、なかなかだなって個人的には思いますけど、非常に爽やかな曲です(笑)。

― 1つ1つの単語を追うのも重要ではありますが、今回は正しい大人の悪巧みですしね(笑)。

ですね(笑)。僕が思ってることを音で遊びながら「そういうふうに聴こえるでしょ?」って、遊び心はちゃんと持ったままメッセージを発信したいなというのは、今回は特に思ってましたね。

― 今までは、結構大きいテーマの中にいる個人っていう世界を見せてくれていましたが、そういう遊びはきっと元々持っていたものでもあるかなと。

そうですね。大きい世界だから当たり前だけどあたりさわりはないし、そういうのをいっぱい作ってきて、ちょっと飽きてたっていうのもあると思う(笑)。今回の歌詞の内容とかも、新しいシーズンっていう部分があるし。子どもが生まれて僕自身が1番変わったなって思うのは、自分の中で意識してちゃんと大人げない部分のチャンネルを1個開けて、バランスを作る必要があるって気付いたこと。そうしないとやっぱり老け込んだりもするし、”子どもの為に”っていう盾を作ってしまう気がしてて。ちゃんと育てながら、でもどっかでははっちゃけて大人げなかったりするけど、言ってることはこういうことっていう。

― わかります。それがバンドマンのアティチュードだったりしますもん。

それはすごく大きい。僕は本当にバンドマンだし、いわゆる褒められた優等生な人生ではないんだけれど、そうやって生き残ってきて、本当に良い友達にも恵まれて今もこうやってやってこれてる。そこで1つ牙を剥く方法というか、子どもに迷惑がかかっちゃったらヤバいんだけどさ(笑)、大人気ないけどちゃんと責任を持って楽しむことに取り組んでる気がします。あとは情熱を持ってとか自分が納得してとか、”お前は燃えてるか!”みたいなことをすごい問われてるような気がして。大義名分がバンと真ん中に生まれて、その選択をする大人をダメとは言わないし、むしろ素晴らしいと思うんだけど、だからこそ、今作のように楽しんでカッコイイもの作ろうよっていう、シンプルな所に立ち返ったっていうのもあって、自分が持ってるものや信じてるもの、好きなもの、今欲しいものや聴きたいものを作ることに、素直に向かわせてもらえてるのは本当にありがたいです。

― 根幹にはあって、いつかは聴いてみたいですけど。これでいきなり愛だ恋だって言われたら、逆にちょっと騙された感じはしますよね(笑)。

嘘つけ!みたいなね(笑)。もちろん、家族や周りの人間が無事で元気でいることは人生最大の幸せなんだけど、僕らがやってることはある種の娯楽でありアートであり自己表現だから。それを共有する為に作品やライヴがあるけど、音楽は特に「人は1人で生きられない」っていうところと「最後は1人だから」っていうところが、背中合わせで同居してるジャンルだと思うんですよね。バンドの現場だと、みんなで1つにワーッと盛り上がって”俺たちは1人じゃない”ってやるんだけど、家に帰ったら”1人でいたいときもあるじゃん”っていうのも、リアルだし表現したくてソロをやってるっていうのはあるんですよね。音楽って、すごく人間くさいジャンルだけど、やっぱり生きるための最優先かというと、本当に今も北海道が大変だけど、災害とか起きたらそれどころじゃないのも事実で、「今、牙を剥いているときなのか?」って自問しながらも、そのバランスが重要なんだと思います。

― でも無くしちゃいけないものだとも思いますし、そういうもがき方もリアルだったりします。

時間と余裕とWi-Fiあったら聴いてみてぐらいの感じで。縁があった人には何でも力になりたいけど、全人類を救うことはできないじゃんっていうのもあったり。そこを永久に行ったり来たりしてる。変な言い方だけど、今回はそういうとことは全然切り離した無責任なところで、正直にやろうっていう中で『illusions』が生まれたっていうのはありますね。

― その生まれた『illusions』のMVでは、先ほどからキーワードになっている”東京”がフィーチャーされています。個人的な興味でもあるのですが、東京で生まれ育って、ずっと東京で生きている人から見る東京は、どう映っていますか?

街としては、メチャメチャ受動的ですよね。やっぱり、外から来た人が回してくれてる街だと思うし、回ってる場所って人が集まってるからそういうことになると思うし、情報の通り道であっても終着点ではないです。個人的には、そこで止まってるイメージがなくてパーっと通り過ぎていくし、それをインストールしていく感じ。島国で戦争に負けた歴史の中で、いろんな文化が開かれてバーッと入ってくるようになってる。例えば、オリンピックが2年後っていうのも含めて、今すごく活性化しているけどそれがワーッと引いて、そのときに何が残るかっていうと、この街の受け身な部分っていうか、元々暮らしてる人たちはただ普通にしてるはずだと思うんですよね。そのときも、僕はこういうものを作ってたいなと思うし、『illusions』はその始まりの曲かもしれない。そういう意味では、テーマ性も合ってて、祭りのあともちゃんと気高くやってるんだっていうことを、ずっと宣言し続けなきゃいけないと思う。

― 今のお話を伺うと、『defeat illusions』もすっと入ってきますね。『illusions』と相反するような、静寂にある灯火のようなサウンドも、金子ノブアキの真骨頂というか。

個人的にですが、カップリングやリミックスでよく意識するのは、肉体と意識みたいなところなんです。今回は表題曲がこれでもかっていうくらいの肉体性を持ってるんで、逆に引いてったら面白いだろうなと思って。『defeat illusions』の方はPABLOのギターをすごいフィーチャーしてるんだけど、レコーディングではギターが1番最後だったんです。彼はカッコイイ音をたくさん送ってきてくれたんだけど、入り切る場所が限られてて。それで、ギターの音とかもMIDI化したりして、彼の音を基にリスペクトも込めてあの曲になっていったんですよね。あとは逆張りのリスペクトで、日高君のラップはブリッジから出てくるっていう作りで、極限まで引いていったところでも、あのラップを響かせてみたくて。テンポもコードも『illusions』と同じままで、半分は遊びかもしれないですけど、そういう感覚を大事にしながら、禁じ手やってナンボみたいなとこもあるかなと(笑)。『whitenight』もそういう意識で作りました。

時代が進むとやっぱ面白いことがある

― 繊細でいながら、飽きが全く来ないんですよね。

元々はあさみちゃんと美術館の個展の曲として存在してたんだけど、それを草間さんと2人で改良して。アンビエントだと、同じものが出ずに繰り返さないっていうは重要なんです。本当にゆっくりと通り過ぎてく感じで、ストーリーを作るのは難しいです。おっしゃる通り、音を作っても”これは◯分ぐらいから入れよう”って、意外と繊細なんですよね。

― 逆にロックをずっとやってきて、リフレインの良さを知っていながらのこのアプローチは驚かされました。

ロックだと音もでかいし、ある程度は誤魔化せるんだけどゆっくりになると、打点に誤魔化しがきかないし、掛け違えたまんまゆっくりいくとか超気持ち悪い(笑)。そう考えると、すごく納得のいく内容になりましたね。

― 『illusions』もそうですが、こうやって金子ノブアキとして今の時代に何を提示していくかということが、どの曲にも凝縮されているからその納得度も高い気がします。

個人レベルの名前でリリースというのは、ものすごい提示に近くなりますよね。バンドで「一緒にいこうぜ」とか「ライヴにきてくれ」ってやってるときよりも、「俺はこう思うけどみんなはどうだ?」っていう、押し付けない提示みたいなね。青臭いですけど、バンドって青春なので、最近だと映画の『SUNNY』みたいに一瞬で15、6歳に立ち返るような美しさがあるけど、僕個人でやってるときはもうちょっと違いますよね。提示そのものというか、手渡しでそれを渡すんなら渡すし、ここに置いとくんでぐらいの感じと思ってもらえるとすごく嬉しくて。バンドも僕個人も同じぐらいの熱量と繊細さで臨んで、そこにあったある種の境界線が取っ払われたっていうのは、初めてのことだし個人的にもすごく興味深いんです。アンビエントとラップでいけるじゃんみたいな盛り上がりあるし、すごく異端でどこにもないみたいなものを企みたいんですけど、その発端が『illusions』なのかもしれません。

― イントロからすでに彷彿してますからね。

38秒ぐらい歌が出てこないからね(笑)。先日も『illusions』のテレビ収録(Love Music)があったんですけど、この曲で民放がフル尺ですからね。昔出ていたポンキッキーズとかの頃を思い出したりして、胸が熱くなってました。バンドでも来たけど、ソロでも来てまさかの生演奏でフル尺はスゲェと思って。RIZEを始めた頃に「覚えてろよ!」と思ったときから、時代が進むとやっぱ面白いことがあるなと、本当に胸がいっぱいでした。

― (笑)。その気持ちって、すべての原動力の源じゃないですか。

エンジンですよね。説教くさいけど、若いときに苦労は買ってでもしろみたいなのって、案外あながちだなと思った。

― 今年の頭に、ニューヨークタイムズの調査で10代に聴いた音楽が、成人になったときの好みを形成するっていう内容があって。音楽はもちろんのこと、そのときに感じたことが今に繋がっているんだろうなと思います。

間違いないですね。僕はこっちの現場で、今回の日高君からenraや清川あさみちゃんっていう、同じ根幹だけど物理的な方法が違う人とやってるのは、学生時代、周りに歌舞伎役者とかバレエダンサーとかいっぱいいた環境だったのは大きいと思う。そのバレエダンサーのヤツが仲間内でやってた舞台があるんですけど、そのBGMを僕が作ったりしてたんですよ。最近、ふと思い返したときに”原体験はなんだろう?”ってまさに13歳から18歳までなんです。90年代のストリートカルチャーと所謂古典も含めた芸能のあらゆる表現をする人と、同じ学び舎にいた体験が財産ですね。

― 自分へのギフトみたいな感じですよね。今バンドもソロもやっているのは、そういう原体験があってっていうのはとても納得できます。

報酬ですよね、本当に。中学でRIZEを始めて、高校で表現者たちとの交流があって。僕は子役時代も含めて、今成立して飯が食えてるのはかなり運が良くて、そう考えると時間がもたらすものって計り知れないものがありますよね。だからこそ、現在進行形のものに関しては、やっぱり切り開いて破壊していかなきゃいけないなって。作り始めたときに、同じことを出しちゃうと「それは停滞だ!」って自分が感じるところにいたんでしょうね。みんなを良い意味で裏切りたいし、今回のように「トライバルかい!」みたいな(笑)。

― (笑)。ある種、原始的な立ち還りもありながら、そういった破壊をすることでもたらされる新しさが、この『illusions』にはありますよね。

そうそう。トライバルに乗せてグレゴリオ聖歌みたいなコーラスも入れてね(笑)。両極なところだけど、それを東京でやったらカッコイイだろうなというのに、僕なりのパンク精神が込められているんです。”マジでバカはパクられろ!”ってことをトラックに乗せて言っていくことだと思った。

― 『illusions』はその象徴的な作品ですが、金子ノブアキ・RIZE・AA=・俳優業のどのチャンネルからも、金子ノブアキの姿勢とか生き様を見せてもらってる感じがするんですよね。

それは嬉しいですけど、まさか全部をやれれるとは思っていなかったんで(笑)。それでも唯一、まだまだ掘りたいのは、映画のサントラや舞台の音楽監督とか、表に立たない裏方の仕事ですね。40歳手前で家族もできて、年齢的にもどういう風になったら1番いいかなみたいな。生涯現役はもちろんなんだけど、僕はドラマーっていう性分もあるから、相手ありきでバランスをとることが得意な気がしてるんです。

― 昔からすごいフロントマンとバンド組んでますからね(笑)。

ものすごく恵まれてきたキャリアですね(笑)。JESSEと子どものときからバンドを組んでやってたっていうね。そういう中で、映画のサントラや舞台の音楽監督というとこにリーチし始めているから、足りないスキルも分かってきてて、とにかくそれを磨く時間が欲しいのが今です(笑)。

― こんなに忙しいのに(笑)。情熱を注いで、どうこの時代に爪痕を残してやろうかみたいな気概は、表に立っていなくても出せますしね。逆に作品が手を離れて、秋から始まる「nobuaki kaneko showcase 2018」があるように、もう1度オーディエンスと作り上げていくことには、どういった楽しみを期待していますか?

とにかく、びっくりするぐらいどんどん変わっていくんですよね。よく「ライヴで育っていく」って言うけど、本当にそうで。先日のテレビ収録で生演奏でさえ、メチャクチャ新鮮ですごい楽しかったんですよね。今回は3本ですけど、特にこんな曲を出して回るツアーだから、過去の作品とかがすごく際立ってくると思うんですよね。この曲をどの辺に入れ込むかっていうのもあって悩んでます(笑)。

― コントラストは、間違いなくハンパないと思います(笑)。

例えばパティスミスがやってる朗読は素人ながらパンクじゃんと思える。今回ラップを乗せたのはそういう精神があるからで、誰もいないところに行きたいからなんです。振り返れば、急に芸能界へ戻ったこともそうだったかもしれないし、バタフライエフェクト的にいろんなことが起こるように、どんな場所にいてもちょっとした穴を見つけて開きたいんですよね。

― RIZEを始めたことでさえ、パンクの精神じゃないと組まないですからね。

本当そう、親が全員バリバリのミュージシャンの2世で生まれちゃったしね(笑)。人間は育った環境がほとんどだと思うし、それこそさっきの10代で構成されてるところから、その中でもどんどん変わっていけるんだっていう、僕自身の欲望みたいなもを凝縮しているのが、全ての活動で出していると思う。そこに自分の何かを軽く当てはめてもらえたら、それが1番幸せなことですね。

― 『illusions』で見つけた穴が、大人の悪巧みでどう開かれていくかが楽しみです。

「これオモロくね?」「これ本気で出すの?」「ヤバイ、何これ?」みたいなリアクションが来たら、最高に嬉しいです。やっぱり、僕たちみたいなヤツらは気持ち良く、楽しくてカッコイイと思ってることを、純粋にパコーンとやるのが1番良いでしょ。それがアンビエントみたいな音像でもやる精神性が重要だし、草間さんと作ってきたアンビエントの音源をまとめたものがあるんだけど、どこかで使えないかなと今も悪巧み中です(笑)。


interview & text Atsushi Tsuji @classic0330
Photo Atsushi Tsuji

デジタル配信 EP「illusions」


2018年10月3日リリース
1. illusions feat. SKY-HI
2. defeat illusions
3. whitenight
4. オルカ Live from Voyager 2017※
5. Firebird Live from Voyager 2017※
※2017 年 enra × 金子ノブアキ VOYEGER 世田谷パブリックシアター LIVE 音源
Spotify:https://open.spotify.com/album/0DGR7ZB0DHRDgNzC0tjcIj
iTunes:https://itunes.apple.com/jp/album/id1435484520?at=10l7qr&app=itunes&ls=1
Apple Music:https://itunes.apple.com/jp/album/id1435484520?at=10l7qr&app=music&ls=1

ライブ情報

nobuaki kaneko showcase 2018 autumn

10月27日 (土) 大阪・バナナホール
10月29日 (月) 名古屋・ブルーノート
11月4日 (日) 渋谷・WWW X
チケットぴあ:http://w.pia.jp/t/kanekonobuaki/
ローソンチケット:http://l-tike.com/nobuakikaneko
イープラス: http://eplus.jp/kanekonobuaki/
楽天チケット:http://r-t.jp/nobuakikaneko
名古屋公演:https://www.nagoya-bluenote.com/ticket/rsvpub/seatsel.aspx?eventdatefrom=18/10/29&eventdateto=18/10/29

enra × 金子ノブアキ「VOYAGER」

開催日:12/9(日)
会場:仙台 電力ホール
時間:OPEN 15:30/START 16:00
チケット:全席指定 ¥6,000

金子ノブアキ

ホームページ:http://kanekonobuaki.com
Twitter:https://twitter.com/KanekoNobuaki
Instagram:https://www.instagram.com/nobuakikaneko_official