記念すべき10回目の開催を迎えた、西川貴教主催フェス「イナズマロック フェス 2018」に15万人が熱狂

西川貴教が主催する大型野外フェス「イナズマロック フェス 2018」が、2018年9月22日(土)、23日(日)、24日(月・休)の3日間、地元滋賀県の草津市・烏丸半島芝生広場で開催された。有料エリアの「雷神ステージ」、無料エリアの「風神ステージ」「龍神ステージ」3ステージあわせて3日間で100組以上のアーティストや芸人が出演、合計15万人の観客を動員した。

 西川は2008年、滋賀ふるさと観光大使に就任。「音楽を通じて地元にお返しがしたい」と、滋賀県の全面バックアップのもと2009年にスタートしたのがこの「イナズマロック フェス」である。今年で10回目の節目ということもあり、これまでの2日間から開催日を1日増やし、3日間で行われた。

 「イナズマロック フェス」は、この10年で西日本最大級のイベントに成長。有料エリアのメインステージ「雷神ステージ」では、ロックバンドだけでなく、アイドルやダンスグループ、ベテランから若手まで多彩なアーティストがパフォーマンスを行った。また、ステージ転換の間にはヒロシ、トレンディエンジェル 、ひょっこりはん、U字工事 、じゅんいちダビットソン 、アインシュタイン 、アキラ100%など、話題のお笑い芸人が出演して客席を盛り上げた。

 誰でも無料で入場できるフリーエリアには、アーティストやアイドルのライブが行われる「風神ステージ」、ご当地キャラクターや芸人が出演する「龍神ステージ」、飲食ブースや滋賀県観光PRコーナー、キッズエリアなどが設けられ、地元の家族連れなども多く訪れて賑わった。

 大盛況の「イナズマロック フェス」だが、この10年の道のりは順風満帆だったわけではない。2016年は悪天候で2日目の途中で中断、翌2017年の2日目は台風18号の影響で中止となった。2年連続で悪天候に悩まされ、オーガナイザーである西川もこの2年「悔しい思いをしてきた」という。10周年である2018年の成功は、西川を始めイベントに関わる全ての人の願いであった。

 9月22日、会場付近では朝から断続的に雨が降り続いていたが、10時すぎには晴れ間が出て、イベントが始まる頃には暑いくらいの陽気となった。オープニングアクトは、2016年にメジャーデビューした滋賀県出身のバンドLenny code fiction。2017年のイナズマ2日目のオープニングアクトを予定していたが、イベントの中止により出演ならず、この日1年越しのオンステージとなった。「ずっとライブハウスでプレイしてきて、今イナズマのステージに立っています」と地元での晴れ舞台を喜び、新曲「Make my story」など4曲を披露した。

 ステージ両脇のスクリーンに10年の歴史を振り返るVTRが流れたあと、黒を基調としたレザーの衣装に身を包んだ西川貴教がステージに登場。深く一礼し、「ようこそ滋賀へ!ようこそイナズマロック フェスへ!来てくれたみなさんのおかげでこの天気になりました。去年一昨年、この場所で悔しい思いをしました。だからこそ、10周年があります。関わってくれたみなさん、集まってくれたみなさんに感謝して…行くぞ!イナズマロック フェス、スタート!」と開会宣言、そのまま西川貴教として初のライブへ突入した。

 2018年3月7日にリリースした西川貴教名義でのファーストシングル「Bright Burning Shout」を始め、hideのカバー曲「ever free」、11月14日リリースのセカンドシングルから「His/Story」など6曲をプレイ、MCでは「今回のイナズマロック フェスで一番キャリアが浅く、一番フレッシュです」と笑わせた。10月5日に配信リリースされるFear, and Loathing in Las Vegas(以下、FaLiLV)とのコラボ楽曲「Be Affected」では、FaLiLVのSoとMinamiもステージに登場。イナズマにも2015年、2017年、2018年とたびたび参加しているFaLiLVとの共演に、客席が湧いた。

 続くROTTENGRAFFTYの出演は、西川の直接のオファーがきっかけ。西川が、昨年末に京都で行われたROTTENGRAFFTY主催のライブイベント「ポルノ超特急2017」に出演した際、「イナズマ10周年にロットンを呼ぼうかなと思ってます」と話したことで実現したものだ。「イナズマロック フェス!はじめましての人も、そうじゃない人も、ぶっとべ~!」と、安定したパフォーマンスで全6曲をプレイ、ライブの大定番「金色グラフティー」で締めくくった。

 詩吟や和楽器とロックバンドを融合させたグループ・和楽器バンドは、海外でも人気の新感覚ロックエンタテインメントバンド。昨年のイナズマ2日目に出演予定だったが叶わず、今年再び西川がオファーし、ようやくの参加となった。のっけからカバー曲「千本桜」で独特の世界観を繰り広げ、Drums 和太鼓バトルという彼らならではのパフォーマンスも披露。11月14日リリースのニューシングル「細雪」など全6曲をプレイして客席を魅了した。


 イナズマ初登場となる欅坂46は、名曲「サイレントマジョリティー」でライブをスタート。センター平手友梨奈のパフォーマンスにも、客席の視線が集まる。長濱ねるが「イナズマ10周年おめでとうございます」と挨拶し、バレエやモダンダンスの要素を取り入れた振りが美しい「二人セゾン」や、「風に吹かれても」など全5曲を、息のあったクールな歌とダンスで魅せた。

 2012年以来、2度目のイナズマ出演となるゴールデンボンバー。鬼龍院翔(Vo-karu)は、以前、西川が生放送で鬼龍院の住所をばらしたことが原因と噂される「共演NG説」を完全否定。昨年リリースした47都道府県別限定シングルから、滋賀バージョン「やんややんやNight~踊ろよ滋賀~」を披露。「抱きしめてシュヴァルツ」では、樽美酒研二(Doramu)が、T.M.Revolution「HOT LIMIT」のスーツを細い赤紐にアレンジした衣装で登場、客席の笑いを誘った。他にも、樽美酒の作詞作曲歌唱によるニューシングル「タツオ⋯嫁を俺にくれ」など全部で6曲、観客を驚かせるパフォーマンスで盛り上げた。

 滋賀県出身のバンドUVERworldは、この10年の中で西川をのぞいて最多出演アーティストで、彼らにとっても思い入れの深いイベントである。TAKUYA∞(Vo.)は「イナズマロック フェス、マジで最高だな!」と叫び、「WE ARE GO」「ODD FUTURE」「Q.E.D」「IMPACT」そして未発表曲「EDENへ」など9曲をプレイ。“自分たちも昔は観客側にいて、いいライブを見ると悔しくて、あんな風になりたいと走ってきたからこそ今ステージに立てている。このライブを見た人が何かを感じたら、始めてみてほしい”--UVERworldがイナズマで伝え続けているメッセージで、今年もたくさんのオーディエンスにエールを送った。

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